サステイナブルなビジネス展開が進歩している海外とのテキスタイルビジネスにおいて、重要な要素となるのが、サステイナブル認証書です。
繊維業界は、環境汚染や労働環境問題など、さまざまな問題を抱えています。そんなテキスタイル業界において、環境改善を行うべく、環境配慮基準が設けられ、サステイナブル認証書への需要が年々高まっています。
そんなサステイナブル関連の各種認証書はどのようなものがあるのでしょうか?
リサイクルマテリアルの認証
有限資源の再利用として、リサイクルマテリアルの採用も、以前に比べて活発になってきています。そんなリサイクル資源への認証とは、どのようなものがあるのでしょうか?
Global Recycled Standard(GRS)
引用:Recycled Claim Standard (RCS) + Global Recycled Standard (GRS) – Textile Exchange
Global Recycled Standard (GRS)は、「リサイクル含有物」、「加工流通過程管理」、「社会および環境慣行・労働環境」、「化学規制」に対する国際的で自発的な完全製品基準です。GRS の目標は要件を定義し、正確な含有物の申告と適切な作業条件、および有害な環境的および化学的影響が最小化されることを保証することです。リサイクル含有率に留まらず、環境配慮までが認証の範囲となるため、複雑で厳しい基準が設けられています。認証取得となれば、リサイクル資源の活用に加えて、社会への悪影響が少ないサステイナブルに貢献した生産であることが証明できます。
Recycled Claim Standard (RCS)
引用:Recycled Claim Standard (RCS) + Global Recycled Standard (GRS) – Textile Exchange
Recycled Claim Standard (RCS)は、GRSとは違って、リサイクルマテリアルのトレーサビリティに関することのみが、要求事項となります。GRSの場合は、労働環境なども含み、厳しい基準となりますが、RCSはリサイクル原料が他の商品との混入なく、原料から加工場や縫製工場に渡っているかが認証の対象となります。GRSと比べて、比較的に認証が取得しやすいため、ハードルは低めです。
繊維製品やトレースの認証
OEKO-TEX®(エコテックス)
OEKO-TEX®(エコテックス) は、繊維業界において世界最高水準の安全な製品を証明する認証書です。繊維製品の有害物質の有無の確認に加えて、生産工程の安全性や労働環境、さらに高いトレーサビリティを誇ります。
世界100か国以上、20万件以上の豊富な採用実績があり、認知度の高い安全証明です。特に、サステイナブルな取り組みが進む欧州では、製品購入の際の指標になるほど、業界以外にも一般の消費者にまで、認知されている安全認証です。
bluesign®(ブルーサイン)
引用:bluesign® services for a sustainable global textile industry
bluesign®(ブルーサイン)もOEKO-TEX®に並んで、認知度の高い繊維の安全証明機関です。
繊維業界の環境保護と労働者・消費者の安全に関する基準で、世界最高水準の安全基準を設けられた厳格な認証とされています。
認証を受けた企業は、ブルーサイン ・パートナーと呼ばれ、労働者、消費者と環境への最小限の影響や資源の節約を証明することができます。サステイナブル企業として有名なPatagoniaもブルーサイン・パートナーとして知られています。
Global Organic Textile Standard(GOTS)
引用:GOTS the leading organic textile standard – GOTS (global-standard.org)
Global Organic Textile Standard(GOTS)は、オーガニック繊維製品の基準と認証です。有機栽培された原料を使用して、環境に配慮した加工と流通が証明されます。収穫・加工・製造・流通までの全ての範囲が対象となり、優れたトレーサビリティによる透明性の高い商品であることが証明されます。
2002年に設立されて以降、10,388件の採用実績があります。(2020年12月31日時点)
Organic Content Standard(OCS)
引用:Organic Content Standard (OCS) – Textile Exchange
Organic Content Standard認証は、オーガニック繊維を含む製品の生産・製造に対する認証です。原料の収穫から、認証製品ができるまでの全ての工程において、製品の混合や汚染がないように整えられた管理体制やトレーサビリティを対象に監査が行われます。そして、製品のオーガニック繊維の含有率を最終消費者へ保証する基準です。
FAIRTRADE
FAIRTRADEとは、FAIRETRADE INTERNATIONALによって創設され、生産の各工程で、「社会的」・「環境的」・「経済的基準」を定めた国際フェアトレード基準が守られていることを証明します。生産者への適正な価格と、労働環境や人権への配慮、農薬・薬品の使用削減、土壌や水、生物多様性の保全に加えて地域発展など、社会や環境への配慮が定められています。繊維では、「コットン」がFAIRTRADE製品の対象となり、コットンへの適正取引がされていることを証明することができます。
Better Cotton Initiative (BCI)
Better Cotton Initiative(BCI)は、国際的な非営利団体であり、世界最大の綿花の持続プログラムです。BCIの原則と基準に従って栽培された綿花を使用することで、従来の綿花栽培が持つ環境への悪影響を抑えている原材料であることを証明します。
BCIの長期目標は、人の健康と環境に影響を与える水や農薬の使用量を減らし、土壌の改善、綿花生産労働者のための労働環境を整えること、より持続可能な綿花生産を推進するための世界的な知見交換の促進、などが挙げられています。
しかし、BCIの場合は、オーガニックコットンのようなラベルが存在しないため、購入者にとってはプレミア価値が分かりづらいことがデメリットです。BCIは、コスト削減により、綿花生産者への利益増加を重点に置いています。
まとめ
リサイクルマテリアルの認証
- Global Recycled Standard(GRS)
- Recycled Claim Standard (RCS)
繊維製品やトレースの認証
- OEKO-TEX®(エコテックス)
- bluesign®(ブルーサイン)
- Global Organic Textile Standard(GOTS)
- Organic Content Standard(OCS)
- FAIRTRADE
- Better Cotton Initiative (BCI)
アパレル業界がもたらす環境への悪影響が報告されて以降、たくさんの環境や人体安定性、労働環境についての基準が設けられてきました。今後のテキスタイルビジネスには、これらの認証機関は欠かせない必須認証となるかもしれません。現に、一部のアパレル企業の中では、すでにこれらの認証で証明された原材料や加工場に絞って生産ラインを組んでいます。
今後も国際認証の必要性が加速することが予想されるので、注目していきましょう。