生地検査はなぜ必要?~異素材・濃淡組み合わせの企画をする際の注意点~

近頃、よく異素材や濃淡の組み合わせがある洋服を目にする機会が多いです。

このような洋服を企画する理由は「動きやすさを重視するため」や「デザイン性を高めるため」など様々あると思います。しかし、単純に『可動域が必要な場所は伸びやすいカットソー素材がよい!』や『あの生地とこの生地を組み合わせると素敵な洋服ができる!』などという安易な考えで洋服を企画生産すると大きな問題が発生する場合があります。

このような洋服を企画する際に、気をつけておかないといけない代表的な生地検査の項目を紹介していきたいと思います。

目次

代表的な生地検査の項目

寸法変化率

組み合わせる物の寸法変化率の差が大きいと洗濯後に縫製部分にシワなどが発生し、外観が著しく悪くなってしまいます。また、最悪の場合は破損してしまうこともあります。事前に寸法変化率を確認することでこのような事象は防ぐことができます。また生地問屋さんから生地を仕入れる場合は生地問屋さんが取得されたデータがある場合もあります。事前にデータを見せてもらい、差が大きくない物を使うようにしましょう。

堅牢度

一般的な堅牢度

「濃淡の組み合わせ」がある場合は重要になってきます。

(「濃淡組み合わせ」とは、濃色と淡色を組み合わさった物を差します。組み合わせる生地同士の「濃淡組み合わせ」もありますが、チェックなど一つの生地の中で「濃淡組み合わせ」が発生する場合もあります。)

濃色部分の「洗濯堅牢度」、「ドライ堅牢度」、「汗堅牢度」、「色泣き」の試験結果が悪い生地だと洗濯やドライクリーニングに出した際、汗をかいた際に色が薄い方へ色が移ってしまう可能性があります。

昇華堅牢度

また、分散染料を使用して染色されたポリエステル等の生地は「昇華堅牢度」にも気をつけないといけません。

「昇華堅牢度」が悪い場合は、洋服が袋に入ったまま倉庫で保管している場合や、風通しの悪いタンスやクローゼットで保管していると濃色部から淡色部に色が移ってしまう場合があり、「移行昇華」と呼びます。消費者へは「保管の際は風通しの良い場所でお願いします。」という付記用語をつけて注意喚起ができますが、出荷前に倉庫で保管されている袋に入った商品ではそういった対応が難しくなります。濃淡部分が重なり合わない様に紙を挟む等の対策はとれますが、元から昇華堅牢度が悪いとそういった対応を取っていても防ぐことは難しくなります。

レインウェアなどのアウター素材で、ポリウレタンのコーティングやボンディングなどの後加工をする場合に、この移行昇華が発生するケースも多く、企画時点で、ポリエステルではなくナイロンを使用するなどの注意が必要になります。

生地問屋さんが取得したデータには色泣きや昇華堅牢度が入っていない場合も多いです。事前に昇華堅牢度も確認しておき、企画内容によっては、追加で試験をしたほうが良いかもしれません。

          

まとめ~組み合わせ企画は、最終的には製品で確認しましょう~

今回は生地検査の項目で最低限これだけは気を付けて頂きたい項目を挙げました。実際に縫製する際にも気をつけないといけないポイントはいくつもあります。特に「厚地・薄地の組み合わせ」「織物と編み物の組み合わせ」については注意が必要で、見栄えばかり気にしていると、組み合わせた部分が破綻してしまうこともあります。縫製仕様に気を付けるのはもちろん、サンプルが完成時点で組み合わせ部分は試着を繰り返すなど入念に確認する必要があります。

また、堅牢度や寸法変化率は検査データ上問題なくても製品の仕様によっては望ましくない結果になることもあります。最終的には製品サンプルで洗濯試験(ドライクリーニング試験)を実施し、製品の外観に変化がないか確認することが一番良いです。外観変化の確認は慣れていないと判定は難しいと思います。また、第三者の目で確認した方が厳しい目で評価できると思います。ぜひ繊維製品の検査機関へご相談ください。

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