世界の水問題とWater footprintとは?

    私たちが生きていく上で、水の存在は欠かせません。飲み水や食料を育てたることや、動物や植物が生きていくため、繊維商品の生産にも必要です。そんな貴重な水が、現在水不足に陥っているのです。世界では人口の40%である約36億人にも上る人が水不足に直面していると推計されています。

    過剰な水の消費を抑えるために設立されたのが、「Water Footprint Network」です。「Water Footprint Network」とはどのような活動なのでしょうか?

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    Water Footprint Networkとは?

    Water Footprint Network

    引用:Home (waterfootprint.org)

    Water Footprint Networkとは、企業や組織、個人が協力し合って、公平でスマートな水の利用を促すために設立されたプラットフォームです。直訳すると「水の足跡」という意味となり、水の使用量を示す指標となります。また、水の消費量の測定以外にも水の消費する地域についても分析します。

    有限資源である水を、必要以上に使用せず、正しく使うためにも、「Water Footprint Network」の存在は欠かせません。Water Footprint Networkでは、商品を生産するために使用される水の量を測定します。さらには、特定の河川流域または帯水層で、どれだけの水が消費されているかも示すことができます。数字の出し方は、消費または汚染された水の量における人の真水の割り当ての尺度で示します。この数値のおかげで、サプライチェーンにおける経済的な選択とプロセスが、適切な水資源の利用可能性や世界中の他の生態学的現実にどのように影響するかを把握できます。

    アパレルの製造は、川下・川中・川上に分かれて、非常に長いプロセスと、大量の水が消費されます。そのため、水問題に取り組むためにも、アパレル企業のWater Footprintへの関心は年々高まっています。

    Water Footprint Networkの歴史

    Water Footprint Networkの誕生のきっかけは、2003年に遡ります。オランダのDelft(デルフト)に拠点を置く、「UNESCO-IHE」が設立されました。UNESCO-IHEでは、水工学・水管理・環境・衛生などの幅広い分野で相互に補完し、強化する教育や研究をするために設立されたWater Footprint Networkの基盤となる機関です。このUNESCO-IHEに所属していた、研究者であるArjen Hoekstra教授によってWater Footprint Networkが提唱されました。

    引用:UNESCO-IHE | Unesco Groundwater Portal

    Water Footprint Networkは、地球上の水循環などを考える水文学の考えをベースに作られました。商品を生産するために使用される水の量を、サプライチェーン全体で測定する指標を表すための算定法を確立させました。世界中で水問題の関心が高まり、UNESCO-IHEだけではなく、さまざまな分野の試験や測定などを行う「ISO(国際標準化機構)」でも、国際規格のWater Footprintの実施がされるようになりました。2014年には、ISO 14046が発行され、水の使用および水質汚染による環境影響を国際基準で算定できるようになりました。これにより、商品に関わる水の消費と汚染の現状を把握・改善するために、多くの企業でWater Footprintの実施が行われるようになりました。

    Water Footprint Networkの測定範囲

    Water Footprint Networkは、さまざまな尺度で水の量を測定することができます。例えば、生産1トンあたりや農地1ヘクタール当たりなど、範囲を限定した水の量を測定することで、より具体的な水の消費量を把握することができます。

    場所の範囲指定

    特定の農地、村、市、州、国など

    消費者の範囲指定

    個人、企業、グループ企業など

    生産の範囲指定

    商品、サービス、単一または特定のプロセスの指定など

    コットンの栽培や糸の生産などの特定のプロセスのみを測定することや、商品作り全体の生産プロセスでの水の消費と汚染を測定することも可能です。

    Water Footprintの種類

    Water Footprintには、「Green」「Blue」「Grey」の3つの要素で成り立っています。3つの要素を組み合わせることで、消費される水源と、汚染物質の浄化に必要な淡水の量を明確にすることができます。これにより、水の使用の全体像を把握することに繋がります。

    Green Water Footprint

    土壌に蓄えられ、蒸発・蒸散または植物によって取り込まれた降水や土壌水に関する水が対象です。特に農業・園芸・林業製品になどに関連しています。

    Blue Water Footprint

    商品の製造で消費または蒸発される水や、人体に取り込まれる地表水または地下水資源から供給された水が対象です。主に家庭・産業・灌漑農業などに関わる水に関連しています。

    Grey Water Footprint

    水の汚染量を示す指標で、環境水質基準に基づいて特定の水質基準を満たすために汚染物質を希釈するのに必要な水の量を算出します。下水管を通って直接廃棄される排水や、土壌などで浄水にろ過される間接的な排水に関連します。

    まとめ

    POINT

    Water Footprint Network

    • 企業や組織、個人が協力し合って、公平でスマートな水の利用を促すために設立されたプラットフォーム
    • 商品を生産するために使用される水の量と汚染の量を算定する

    Water Footprint Networkの歴史

    • 2003年:Water Footprintの元となる「UNESCO-IHE」が設立
    • 研究者であるArjen Hoekstra教授によってWater Footprint Networkが提唱される
    • ISO(国際標準化機構)」でも、国際規格のWater Footprintを実施

    Water Footprint Networkの測定範囲

    • 場所:特定の農地、村、市、州、国など
    • 消費者:個人、企業、グループ企業など
    • 生産:商品、サービス、単一または特定のプロセスの指定など

    Water Footprintの種類

    • Green Water Footprint
    • Blue Water Footprint
    • Grey Water Footprint

    水に囲まれた島国である日本では、水不足の関心はあまり高くないかもしれません。しかし、産業によって水が汚染され、地球温暖化の影響によって安全な水の確保に危機が迫ることが将来あるかもしれません。現状を知るためには、Water Footprintは大いに役に立つ指標となります。個人・企業・世界規模で、水問題の重要性に重きを向けなければならないでしょう。

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