サーキュラーエコノミーとは?

少し前まではファストファッションに重きが置かれ、大量生産・大量消費・大量廃棄を前提としたモノつくりが主流でした。移り変わりの早いファッション業界で、次から次へと新しく製品を作っては買い替えることで、消費者の購買を促しながら流行り廃りが作られてきました。しかし、近年のモノつくりでは欠かすことのできない環境問題に、ファストファッションからサーキュラーエコノミーへと切り替えるように世界中で取り組まれています。

今回は「サーキュラーエコノミー」にフォーカスしていきたいと思います。

目次

サーキュラーエコノミー(Circular Economy)とは?

サーキュラーエコノミー(Circular Economy)

サーキュラーエコノミーは、日本語では「循環型経済」と訳されます。

サーキュラーエコノミーとは、企画・設計の段階から廃棄物や汚染を出さない前提で、モノつくりやサービスをデザインします。製品や素材を廃棄することなく循環させ続けることが目的としてモノつくりがされ、そうすることで自然を再生させていくことを目的として作られたシステムです。

サーキュラーエコノミーは、環境負荷を減らすことに大きく貢献できる仕組みですが、実際の世界経済全体でのサーキュラーエコノミーは10%も満たないと言われています。まだほとんどの経済の仕組みが限られた有限資源を利用して、生産・廃棄が繰り返されているのです。サーキュラーエコノミーを強化すべく、オランダ政府は2050年までに100%サーキュラーエコノミーを実現する目標を掲げているほか、ヨーロッパ全体でもサーキュラーエコノミーの専門委員会が設置されて法規制化が進んでいます。サーキュラーエコノミーの実現は、多くのハードルはありますが、実現できれば大きなビジネスチャンスにもなりうるでしょう。

サーキュラーエコノミーの3原則

サーキュラーエコノミーの3原則とは、「廃棄物や汚染を出さない」「製品や素材を循環させる」「自然を再生させる」があります。

廃棄物や汚染を出さない

サーキュラーエコノミーの大きな特徴は、廃棄物や汚染などが発生しないような製品つくりやサービスを企画段階から設計することです。

今までの経済の流れは、大量生産・大量消費・大量廃棄の一方通行である「リニアエコノミー(直線型経済)」の流れが主流でした。原材料から生産して消費されたものは、使わなくなれば捨てられるという流れです。

昨今の環境への意識から「リユースエコノミー(リユース経済)」、そして「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」が誕生しました。リユースエコノミーとサーキュラーエコノミーの違いは、リユースエコノミーの場合は3R(リデュース・リユース・リサイクル)の考え方がベースにあるという点です。リユースエコノミーの場合は、廃棄物の一部を最大限利用して、再資源化することを目的としており、使用することが不可能なものに関しては廃棄がされています。サーキュラーエコノミーでは、廃棄物を出さない点から、廃棄物という概念が含まれていません。

製品や素材を循環させる

サーキュラーエコノミーでは、循環させることが目的です。アパレルの製品は複雑なジッパーなどのアクセサリーや複数の素材を使用していることから、なかなか製品のリサイクルが進んでいないことが現状です。表地と裏地の素材が異なっていると、リサイクルする場合は素材別に仕分けする必要があります。リユースやアップサイクルなどで製品をアレンジして別の商品に作り替えることもできますが、生地のダメージが大きくなると廃棄する結末になるでしょう。

製品でのリサイクルを増やすために、モノマテリアル(単一素材で製品を作りあげること)でのモノつくりも注目されています。例えば全てポリエステル素材の生地で製品を作ることで、使用済の衣服を回収して原料ベースにまで戻すことで、新しい商品を生み出すことができます。

自然を再生させる

産業革命後の急速な経済成長によって、私たちは自然資源を多く消費してきました。それにより、自然破壊が進み、生態系も乱す結果となっています。サーキュラーエコノミーでは、自然と経済のバランスを修復する目的があり、よりよい環境作りを目標に掲げられています。

サーキュラーエコノミーで解消される問題

廃棄物問題

廃棄物を作らないシステムが、サーキュラーエコノミーの考え方です。廃棄物をなくして、再利用していくことで、貴重な資源を廃棄することなく、豊かな社会を作ることができます。現在、大量の衣料品が毎年廃棄や焼却処理されています。サーキュラーエコノミーによって、廃棄物の量を減らしていくことが地球を守るためにも重要なカギとなるでしょう。また、海洋の生態系を壊すことが危惧される海洋プラスチック問題の解決にも繋がります。

資源の枯渇

現在の世界の人口が約80億人と発表されていますが、国連によると世界の人口は2050年までに98億人に増加することが予想されています。暮らしが豊かになり、医療の発達によって、命を落とす人は減り、人口は増加傾向にあります。そこで懸念されることが、資源の枯渇問題です。

このまま人口増加をする一方で、資源を乱用し続けると、資源の枯渇は大きな問題となるでしょう。サーキュラーエコノミーの資源を循環することができれば、新しい資源を使わずに繰り返し利用することで、資源を残すことができます。

地球温暖化

過去の気温と比べれば一目瞭然ですが、地球温暖化も地球で生活する私たちにとって大きな問題の一つです。地球温暖化はCO2によるオゾン層の破壊が原因であることが解明されています。繊維の大きな割合を占めるポリエステルなどの合成繊維は、新しく生成するには大量のCO2を生み出します。新しく資源を生み出すことなく、再利用することで、CO2の排出量を抑えることができます。さらに、衣料品を焼却する際に発生するCO2をなくすことができれば、CO2排出量の削減に貢献し、地球温暖化の進行に歯止めをかけることが期待されます。

生態系の破壊

地球温暖化や森林伐採などのさまざまな要因で、生物の生きる生息地が減り、絶滅危惧に値する生き物が多く存在します。サーキュラーエコノミーによって、地球環境の保護や、自然の再生が進めば、生態系を守ることにも繋がります。

まとめ

POINT

サーキュラーエコノミー(Circular Economy)

  • 循環型経済
  • 企画・設計の段階から廃棄物や汚染を出さない前提で、モノつくりやサービスをデザインする

サーキュラーエコノミーの3原則

  • 廃棄物や汚染を出さない
  • 製品や素材を循環させる
  • 自然を再生させる

サーキュラーエコノミーで解消される問題

  • 廃棄物問題
  • 資源の枯渇
  • 地球温暖化
  • 生態系の破壊

現在、世界で衣料品のリサイクルは全体の1%も満たないと言われています。アパレル業界では特にサーキュラーエコノミーに遅れを取っているのです。私たちが住む地球を守るためにも、廃棄することなく循環させるサーキュラーエコノミーへの取り組みを行っていかなければなりません。作る側はもちろん、消費者ひとりのひとりの意識を高め、廃棄物をなくすシステム作りを考えていきましょう。

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