商談やアイデアをもらえる場である展示会。新しい取り組みや活動の幅を広げるにも、一度は参加してみたいですよね。最新の生地や、世間で注目される生地を一気にたくさん見ることができるので、効率よく情報収集ができます。
そんなテキスタイル展示会とは、どのようなものがあるのでしょうか?代表的な合同展示会を調べてみました。
海外のテキスタイル展示会
Milano Unica(ミラノ・ウニカ)
(引用: Italian textile fair – Milano Unica)
Milano Unica(ミラノ・ウニカ) とは
ミラノ・ウニカは、イタリアにとっての基幹産業であるテキスタイル産業の振興をはかるため、イデア・コモ、イデア・ビエラ、モーダ・イン、シャツ・アベニューの展示会を統合したテキスタイルの見本市です。
イタリアの繊維業界の展示会と言えば、PITTI FILATI(ピッティ・フィラーティ)を思い浮かべる方も多いでしょうが、ピッティ・フィラーティは、糸とニットの展示会になります。
世界的なテキスタイルの見本市は他にもドイツ・ミュンヘンで開催されるFABRIC START(ファブリック・スタート)や上海で開催されるインターテキスタイル上海などがありますが、ファッション業界への影響力で言えば、プルミエール・ビジョンとミラノ・ウニカが双璧をなすのではないでしょうか。
ミラノ・ウニカもまた、積極的に日本企業が進出しています。従来、イタリアのテキスタイルサプライヤーのための展示会でしたが、2014年より、一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構、独立行政法人日本貿易振興機構が主催し、The Japan Observatoryという名称で日本のテキスタイルサプライヤーの参加をサポートしています。
ミラノ・ウニカ オンライン展示会プラットフォーム e-MilanoUnica Connect
デジタル対応も進めており、オンライン展示会プラットフォーム e-MilanoUnica Connectを運営しています。
PremiereVision( プルミエール・ヴィジョン )
PremiereVision( プルミエール・ヴィジョン ) とは
プルミエール・ヴィジョンは、パリ・ノール ヴィルパント見本市会場にて、例年、年2回開催されているファッション素材展であり、業界トレンドを発信するファッション業界最高峰のテキスタイル展示会と位置づけらています。日本のアパレルメーカーの企画担当者は、実際に原料の買い付けのために出張する高価格帯ブランド以外もトレンド傾向のリサーチのためにこぞって出張しています。
従来は、テキスタイルを プルミエール・ヴィジョン 、服飾資材をModamont(モーダモン)と分けて、同時開催されていました。
業界最高峰だけあって、出展には、厳しい審査があることでも知られており、レベルの高いプレゼンテーションができるテキスタイルメーカーのみが出展することができます。
以前は、欧州のテキスタイルサプライヤーに限定されており、アジアのテキスタイルサプライヤーは出展することができず、同時開催されるテックスワールドに出展するケースが多かったです。
現在、モーダモンは、プルミエールビジョンの服飾資材カテゴリーとして開催され、プルミエールビジョンへの出展資格が、アジアのテキスタイルサプライヤーにも開放されるようになりました。ますますプルミエールビジョンの存在感が増しています。
アジアのサプライヤーにも出展資格が開放されて以降、日本のテキスタイルサプライヤーも続々と出展しています。プルミエールビジョンでは、テキスタイルコンテストが行われており、過去には、小松マテーレ株式会社(当時は小松精練株式会社)、株式会社エイガールズがグランプリを受賞しています。日本のテキスタイルが高く評価されているのがわかります。
PremiereVision BtoB ECサイト、MARKETPLACEPREMIERE VISION
PremiereVision( プルミエール・ヴィジョン )は、デジタルへの対応としてBtoB ECサイト、MARKETPLACEPREMIERE VISION を運営しています。
コロナウィルスの影響を受け、2021年2月期は、デジタル展のみとなりましたが、フィジカル(リアル)展への要望は大きく2021年9月期は、デジタルとリアル両方での開催が予定されています。
ISPO
(引用: ISPO Munich: the leading sports fair. Online.)
ISPO とは
ISPO は世界最大級のスポーツ用品展示会で、スポーツメーカー関係者であれば、認知度の高い展示会です。1970年の開催から50年以上続いており、歴史のある展示会です。1970年開催当初は、815社の参加でしたが、今では2,800社を超える企業が各世界から集まり、展示ブースを設けるほどに拡大しました。来場者は8万人を超えるほどで、テキスタイル業界ではとても影響力のある展示会です。
毎年ドイツのミュンヘンで4日間に渡り開催されるISPOの会場は、総面積は34万㎡と広大な敷地を持つ「メッセ・ミュンヘン」で行われています。1日では回り切れないほど大きな規模であることが、創造できますよね。そのため、訪問企業を絞りながら数日間に分けて回る方が多いです。ミュンヘン会場の他にも、中国の北京や上海でも開催されています。
ISPOにはスポーツメーカー最大のNikeやAdidasなどの大手アパレルブランドに加え、帝人や豊田通商といった大手のテキスタイルサプライメーカーなども参加しています。テキスタイルだけではなく、ジッパーなどの縫製品パーツや生地の糸など、アパレルに関わる全てのパーツの展示品を見ることができます。世界最大規模とあって、出展こそなくても、商談のためにビジターとして多くの有名アパレルデザイナーやデベロッパーも訪れています。これだけたくさんの有名ブランドが一度に集い、商談できる場は他にはなかなかないでしょう。
2021年のISPOは、新型コロナウィルスの影響もあり、史上初めてオンラインで開催されました。オンラインでの参加者は例年の1/4と落ち込みましたが、この新たなオンラインでの取り組みは今後の展示会に大きな影響を与えるであろうと評価されています。今後は、現地開催とオンライン開催のハイブリッド展示会になる可能性もあるかもしれないとも言われています。
PERFROMANCE DAYS
(引用:PERFORMANCE DAYS – Exhibitor List – PERFORMANCE DAYS functional fabric fair)
PERFROMANCE DAYS とは
PERFORMANCE DAYSもドイツのミュンヘンで毎年開催されるテキスタイル展示会です。機能性生地を中心に、生地やアクセサリーなどのサプライヤー主体の展示会となります。
毎年、4月~5月と10月~11月頃に開催されて、アパレルブランドの出展がない分、ISPOより規模は小さくなります。世界約30か国、約280企業が参加すると言われ、大手有名ブランドのバイヤーも多く参加しています。
会場には、Forumと呼ばれる、その開催時のメインテーマやハイライト生地が展示されているスペースがあるので、一目で各企業の最新商品や一押し商品を見ることができます。出展者は、自社商品をたくさんの人の目に入る機会を設けられますし、ビジターにとっても、一度にハイライト生地を1か所に集約してもらえることで効率よく商談したい企業を見つけられるサービスです。
国内のテキスタイル展示会
Premium Textile Japan
(引用:JFW Premium Textile Japan (ptjapan.com))
Premium Textile Japan とは
Premium Textile Japan(PTJ)は、一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構が開催する高品質テキスタイルを提案するビジネス商談会です。海外出展社枠もありますが、主に日本のテキスタイルサプライヤーが集い行われます。来場者は、バイヤーもしくは招待者に限定されています。
以前は、JAPAN CREATIONとして開催されていましたが、より実践的な商談の場とすべく、出展基準を厳格化し、来場者もバイヤーのみとしたPTJと従来の基準で継続開催されているJAPAN CREATIONとにわけて同時開催しています。
PTJの出展基準は下記の通りです。
- 日本製テキスタイルを販売する日本企業:団体参加不可 (海外出展社枠は別途設置)
- 商品のプライス・ロット・納期が明確になっており、販売体制が整っていること
- オリジナル商品を取り扱い、継続して新製品を開発・発表する企画提案力があること
- PTJの開催趣旨に賛同し、JFW(Japan Fashion Week)が定める出展に関する規定を順守すること
参加条件が設けられているので、質の高いサプライヤーとマッチすることができると評価されているようです。出展審査資料の提出も必要なため、透明性の高いサプライヤーと出会うことができるでしょう。
テキスタイルポータルサイト JFWテキスタイル・オンライン・サロン
JFWは、デジタル対応として、テキスタイルポータルサイト JFWテキスタイル・オンライン・サロンを運営しています。発注機能はありませんが、日本国内産地のテキスタイル情報を閲覧・検索できるサイトになっています。
T・N JAPAN(TNJ)
T・N JAPANとは
TEXTILE NETWORK JAPAN(テキスタイルネットワークジャパン)は、日本全国のテキスタイル職人による合同個展です。
1996年の「World Fashion Trade fair大阪」の一角で始めたことをきっかけに、今ではTNJの定期開催が行われるほど大きく成長しました。
TNJでは対象顧客を、“素材を活かした服づくりのアパレルメーカー”と定めており、来場者を、アパレルデザイナーやアパレル素材のバイヤーに絞っています。服の創り手と生地の創り手が直接顔を合わせて話ができる場を提供する展示会です。
2009年に、TEXTILE NETWORK JAPANから「T・N JAPAN」と改称し、海外への発信強化にも力を入れてきました。デザイナーと生地の創り手との共同開発やグローバルポジションを狙った情報発信が行われています。
ヨーロピアン・テキスタイル・フェア
ヨーロピアン・テキスタイル・フェアとは
一般社団法人 JITAC (旧日本輸入繊維代理店協会)が主催するヨーロッパからのインポート生地の展示会になります。 コロナ禍で海外出張が難しい状況の中では、ますますヨーロッパのサプライヤーの生地の仕入れができる貴重な機会となっています。
産地生地展示会
日本の各生地産地でも組合などが主催者となり、産地の産元商社、機屋、ニッターなどをとりまとめた合同展示会を開催しています。
尾州産地のBishu Material Exhibition、西脇産地の播州織総合素材展、高野口産地の高野口パイルファブリック展ーぷわぷわなど産地ごとに開催されています。
サスティナブルファッションの展示会
サステナブルファッションは、企業だけではなく、個人の購買動向にも浸透するほど注目されていますよね。サステナブルファッションションにフォーカスを当てた展示会もあります。今後ますます発展が期待される展示会になるでしょう。
国際サステナブルファッションEXPO
国際サステナブルファッションEXPOとは
日本でもSDGsの普及から、サステナブルファッションは徐々に関心が高まってきています。そんな中で、2021年3月23~25日に「第1回国際サステナブルファッションEXPO春」が開催されました。さらに、今年の2021年10月18~20日にかけて「第1回国際サステナブルファッションEXPO秋」が開催される予定として、注目されています。秋の展示会では、「エコ」、「リサイクル」、「アニマルフリー」、「エシカルファッション」、「オーガニック」、「フェアトレード」といったサステナビリティを考慮したファッション製品や素材を扱う世界各国の企業が出展予定です。
今年3月に開催された「第1回国際サステナブルファッションEXPO春」では、コロナウイルスの影響を受けながらも、約1万3,000人の来場者が集まりました。オンライン上での参加もあり、海外の有力バイヤーとの商談も進められ、初回の展示会はとても活況であったと報じられています。実際に、同展示会は、「ファッションワールド東京2021年春」の大型展示会の中の複数ある展示ブースのうちの一部ではありましたが、展示会の参加者によるとこのサステイナブルファッションブースが圧倒的に賑わっていたそうです。いかに、サステナブルファッションが現代社会の中で重要なポジションを担っていることが分かる結果となりました。
サステナブルファッションEXPOは、メディアからの注目も高く、第1回春のEXPOでは7つのテレビメディアが取材を行いました。メディアを通して、世界中にサステナブルファッションの重要性と活動内容をアピールすることに有効な展示会です。
上記以外にもテキスタイル展示会はたくさんあります。新しいアイデアをもらったり、トレンドを知れたり、商談ができたりと展示会で得られることはたくさんあります。このご時世、なかなか足を運べる展示会場は限られているかもしれませんが、状況が緩和され、早く展示会に参加できるようになればいいですね。