【糸番手換算ツール付き】繊維や生地の太さや重さの表し方とは?デニール・テックス・番手や目付とは?

    糸の太さや重さは、生地の選定には重要な要素ですよね?

    そんな繊維の太さや重さを表す単位に、「デニール」「テックス」「番手」があります。

    それぞれの違いをご存知でしょうか?

    今回は、繊維の単位と、生地の重さの表し方について、解説しようと思います。

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    繊維の太さや重さを表す単位と種類とは?

    デニール

    「デニール」は繊維や糸の太さの目安や、重さを表わす繊度の単位です。

    生地サンプル帳では、「75dシフォン」など、よく「d」と短縮して表記されています。

    デニールは女性にはなんとなく馴染みがあるかもしれませんが、タイツなどの購入の際にデニールの表記がされていますよね。30デニールのタイツは薄く透け感があり、110デニールのタイツは濃くて分厚いですよね。なんとなく、デニールが少ない方が薄い印象をお持ちかと思います。その通りで、デニールは数字が大きければ大きいほど、糸は太く、重くなります。

    そもそもデニールというのは、9,000mで重量が1g のものを1デニールと表します。つまり、30デニールのタイツの場合は、9,000mの時に、30gであることになります。

    デニールは、ナイロンやポリエステルなどの化学繊維や、長繊維のフィラメントヤーンの太さの目安と重さを表す単位として使用されます。なぜ目安と表現するのかというと、同じ重さと長さの糸であっても、糸加工により撚糸などによって、太さが変わる可能性があるからです。撚糸が甘ければ、ふわっとした太く軽い糸になりますが、撚糸が強いと締まりのある糸で固く重たくなります。

    1デニール: 1g= 9,000m

    テックス

    「テックス」もデニールと同様に、繊維や糸の太さを表す単位です。

    デニールの場合は、9,000mの時の重量ですが、テックスは長さが1,000mの時の重量で表します。

    1テックスの繊維の場合は、1,000mの時に1gになり、数字が大きければ大きいほど、太く重い糸になります。

    テックスのほかにも、「デシテックス」と表現されることもありますが、デシテックスはテックスの1/10になります。

    1テックス: 1g= 1,000m 

    1デシテックス: 1g=10,000m


    番手

    「番手」は、紡績した糸の太さの目安を表わす単位で、一定の重量に対して、長さがいくらあるかで表わします。コットンやリネン、ウールなどの短繊維に使用される単位です。デニールやテックスは数字が大きいほど太くなることに対して、番手の場合は、数字が大きければ大きいほど、糸は細くなるので、混同しないようにしましょう。

    さらに、番手の場合は素材によって、換算定義が異なるので、注意が必要です。

    <コットン/綿番手>

    1番手: 1ポンド(453.6g)= 840ヤード

    <リネン/麻番手>

    1番手: 1ポンド(453.6g)=300ヤード

    <ウール/毛番手>

    1番手=1g=1m

    「綿番手」の場合は、重さが1ポンド(453.6g) で長さが840ヤード(768.1m)の時に、1番手とします。重さが1ポンドで長さが1,680ヤードの場合は、2番手となります。基準が1ポンド当たりの長さになるため、番手の数が大きくなるほど、糸が細くなることが分かります。

    「麻番手」の場合は、1ポンドで300ヤード(約274 m)の長さを1番手とします。

    「毛番手」の場合は、1gで1mの長さを1番手とします。

    コットンとリネンは、1ポンド当たりの重量を基準に、ウールの場合は、1g当たりを基準にしています。トリッキーに感じるかもしれませんが、覚えるしかないですね。番手は全て数字が大きくなるほど、細く軽くなるので、そのイメージだけ持っていても役立つかと思います。

    単糸・双糸

    生地サンプル帳で、「コットン30/1(※30/ーも同じ意味です)天竺」、「コットン60/2バーバリー」などという表記をよく目にすると思います。30は綿30番手、60は綿60番手を現していますが、そのあとの数字は何本撚り合わせているかを表現しています。「30/1」は綿30番手が1本ですが、「60/2」は、綿60番手を2本撚り合わせて1本の糸にしています。60番手は、30番手の半分の太さなので、30/1≒60/2 でほぼ同じ糸の太さです。

    綿の場合は、綿30番手単糸の場合、「30/1」 と番手・糸の本数の順で表記されますが、麻・毛は麻40番手単糸の場合、「1/40」,毛番14番単糸 の場合、「1/14」と逆になります。

    30番手の太さの糸を使いたい際、60番手の繊細な糸を2本撚り合わせ、60/2の糸を使ったほうが、目面がきれいになるというメリットがあります。特に、ジャージ組織の場合、糸の撚り方向をもともとの糸の撚り方向と逆側に撚り合わせて、双糸にすることで、解撚(撚りが戻される)し、斜行しにくくなるというメリットがあります。また、ストレッチの生地を企画する際は、この双糸の間にポリウレタンを入れ込むことで、ポリウレタンが表面に出ず、物性のいいストレッチ生地を作ることができます。

    このように、双糸を使って生地の企画をすることで高品質の生地を作ることができるため、こだわったモノづくりをする際にはよく活用されています。先ほど、「30/1≒60/2」と記載したのですが、解撚の結果、60/2のほうが、ふくらみがでて、若干、太さが変わってくるという場合が多いためです。

    3本撚り合わせた三子撚りの糸を使うこともあります。この場合は、「60/3」と表記されます。

    デニール・テックス・番手の換算法

    デニール表記に慣れていると、1番手当たりの重さがイメージしづらく、1番手が何デニールになるか換算したくなるのではないでしょうか?そんな時は、下記の換算表を参考にしてみてください。また糸番手換算プログラムを掲載していますので、そちらで計算してみてください。

    単位換算表

    $$テックス=\frac{590.54}{デニール(x)}$$

    $$デシテックス=\frac{5900.540}{デニール(x)}$$

    $$綿番手=\frac{5,314.88}{デニール(x)}$$

    $$麻番手=\frac{14,881.60}{デニール(x)}$$

    $$毛番手=\frac{9,000.00}{デニール(x)}$$

    例えば、20テックスの場合、

    20テックス= 590.54 / x(デニール)となり、20テックス= 29.527となります。20テックス=約30デニールとなり、デニールに慣れている方は、重さのイメージができたのではないでしょうか?

    綿番手が20番手の場合、

    20綿番手= 5,314.88 / x(デニール)

    20番手= 265.744 ≒ 266デニールとなります。

    麻番手が20番手の場合、

    20麻番手= 14,881.60 / x(デニール)

    20番手=744.08 ≒ 744デニールとなります。

    20デニールというと、かなり軽量の部類に入りますが、綿の20番手に単位を変えるといかに違いがあるか分かりますね。綿番手の場合は266デニールとなり、衣料で使うには冬物などの重量感のある生地であることが想像できます。これが、麻の20番手となると、約744デニールとなり、工業資材レベルなどで使用されるような頑丈で分厚い糸であることが想像できます。

    糸番手換算プログラム

    糸番手換算プログラム

    素材ごとの糸番手の計算を自動で行うプログラムです。
    綿番手/麻番手/毛番手/デシテックス/デニールを変換します。

     生地の重さの表し方

    目付(めつけ)

    デニールや番手などは、糸の太さや重さを表す単位でしたが、目付(めつけ)は織物や編み物の生地の重さを意味します。

    目付の表記としては、2種類あります。

    xx g/m(1メーターの全巾に対する重さ)

    xx g/㎡(1メーター×1メーターに対する重さ)

    生地の送料に関わる情報でもあるので、輸出業務に関わる方などはよく見る表記だと思います。原反規格書などには、g/㎡で表記されることが多いかと思いますので、実際の送料の計算の際などは生地巾に換算して計算する必要があります。

    英語表記では、

    全巾に対する重さを

    ・リニアメーター  gram per linear meter、XXg /LM

    1メーター×1メーターに対する重さ

    ・スクエアーメーター gram per Square Meter、XXg/SM

    と表記されます。

    糸の重さが分かっても、組織や密度に加えて染色や後加工によって、最終的な重さは変わります。糸だけでは判断できないので、生地の選定の際は、最終的な目付が重要なポイントになるでしょう。

    最終仕上がり品として、目付のイメージを持つことも大切ですが、目付は、染色時に使用する染料の量などの指標にもなります。重ければ重いほど、使用する染料も多くなったり、一度で染色できる量が減るので、加工賃にも影響します。同じ加工をしても、軽い生地と重い生地では、染料や生産効率が異なるため、必ずしも同じ加工賃でできるとは限らないのです。軽くても、繊細な生地であれば、加工に高い技術が必要であったり、工程が増える可能性もあるので、一概に言えませんが、目付の重い生地の方が、工賃は高い傾向にあります。

    まとめ

    POINT

    繊維や糸の太さの目安や、重さを表わす繊度の単位

    • デニール – 1デニール: 1g= 9,000m
    • テックス – 1テックス: 1g= 1,000m
    • 綿番手 – 1番手: 1ポンド(453.6g)= 840ヤード
    • 麻番手 – 1番手: 1ポンド(453.6g)=300ヤード
    • 毛番手 – 1番手=1g=1m

    生地の重さの表し方

    • 目付:1㎡(または1m全巾)の生地の重さ(g)

    デニールや番手に加えて、目付の数値で、どのくらいの生地になるか想像することができると、生地の選定もスムーズになります。サイト上の商品にも、目付を載せている商品がありますので、そこからどのくらいの重さ感か想像することもできます。

    繊維経験の長い人は、生地目付と加工内容や組織を見るだけで、どのくらいのデニールや番手の糸を使用しているかわかる方もいらっしゃるほどです。身の回りの服や製品の重さやデニール数を、想像してみるのも面白いかもしれません。

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