オーガンジーとは?由来や特徴とは?

    「オーガンジー生地」と言えば、美しいハリと透け感のある上品な生地で、ウェディングドレスなどのドレス地には欠かせない生地ですよね。

    福島の斎栄織物による髪の毛の1/6の細さの超極細絹糸使いの世界最薄シルクオーガンジーの「妖精の羽」や天池合繊(※現在は小松マテーレが事業継承)の「天女の羽衣Super Organza」など世界的にも日本の加工技術が評価されてきた分野でもあります。

    身にまとうだけで、一気に華やかさを増してくれるのは、オーガンジー生地の魅力です。

    今回は、「オーガンジー生地」について紹介したいと思います。

    目次
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    オーガンジー(Organdy)とは?

    オーガンジー(Organdy)

    「オーガンジー」とは、薄くてハリのある織物生地です。ベーシックな平織組織の生地です。もともとは、細番手強撚糸の綿などに硫酸処理と呼ばれる工程を施すことにより、透明度が高く、硬いハリ感ある風合いにした生地を指していました。

    時代に応じて、シルク、そしてその廉価版のキュプラ、ポリエステルなどの化合繊に置き換わり、現在はオーガンジーでイメージされるものはポリエステルで作られているものの流通が多いです。

    オーガンジー生地は、見た目の華やかさから、ドレス地、ストールやコサージュ、レースカーテンなどの装飾生地として多く使用されています。シースルーを活かして袖などに使用されたり、重ね着して膨らみや華やかさを増すために使用されたりと、用途の多い生地です。

    「オーガンジー(Organdy)」と「オーガンザ(Organza)」との違いや由来とは?

    「オーガンジー(Organdy)」と「オーガンザ(Organza)」との違い

    「オーガンジー(Organdy)」と似た名前で、「オーガンザ(Organza)」と呼ばれる生地をご存じでしょうか?オーガンザも、薄地で透け感とハリのある平織物で、特徴も名前もオーガンジーと似ている生地です。

    「オーガンジー」は元々、天然繊維であるコットンの糸を使って生産されていました。

    「オーガンザ」は、オーガンジーとは原料が異なり、元々はシルクを使って生産されていた中国発祥の織物です。オーガンザという名前は、シルク繊維を撚って絹糸を作るプロセスを指す「organzine」という言葉に由来していると言われています。この「organzine」という言葉は、シルクが生まれた中国ではなく、シルクロードの中でも活気あふれる街であったトルキスタンのUrgang(ウルガング)という町から生まれた言葉です。

    オーガンザは、シルクロードを経由して中国からヨーロッパに到着し、ドレスの素材などに重宝され発展していきました。やがてフランスやイタリアなどのヨーロッパの国でも、オーガンザは生産されるようになっていきます。そして、イギリスの植民地であったインドから、コットンが輸入されるようになり、コットンで作られる「オーガンジー」が誕生しました。「オーガンジー」の名前の由来は、「オーガンザ」から来ていたのです。

    日本におけるオーガンジーの歴史

    日本では、昭和30年代ごろ、桐生産地でシルクのオーガンジーが作られるようになり、輸出向けで盛んに生産されていました。その後、北陸産地でもシルクは高価だったため、キュプラ(ベンベルグ)やポリエステルを使った化合繊のオーガンジーが主力へ移り変わっていきました。

    分繊によって作られたモノフィラメントは細くてもハリコシがある糸なので、極細糸による薄いオーガンジーを作る技術開発が進み、現在でも北陸産地のオーガンジーはプルミエールビジョンなど海外の素材展でも度々受賞し高く評価されています。

    伝統的なシルクオーガンザや、コットンオーガンジーは、今でも生産されていますが、合繊繊維などの素材の置き換えによって日本では「薄手でハリと透け感のある平織物」と広義の意味で、オーガンジーと呼ばれるようにもなっています。

    オーガンジーの特徴とは?

    ハリがある

    オーガンジーの生地の特徴の一つは、生地のハリ感やシャリ感がある点です。薄手でありながら、ハリがあるので、ペラペラな生地といった安っぽい印象を与えません。

    このハリは、オーガンジー生地を作る工程の一つである「硫酸処理」によって生み出されます。硫酸処理は、擬麻(ぎま)加工とも呼ばれる加工法で、麻に似た風合いや外観を持たせる加工法です。コットン素材でありながら、シャリ感の強いリネンのような風合いに仕上げることができ、手触りを硬くすることができます。これによって、オーガンジー独特のハリのある生地を生み出すことができるのです。

    シースルーな見た目

    オーガンジーの生地は、透け感のあることで知られています。密度が甘く、織目が見えるほど粗いので、糸と糸の間に隙間があり、透けやすい生地の作りをしています。透け感のある見た目は、清涼感を与えてくれる他にも、レイヤーを重ねて使用することで、奥行きのある色や見た目を生み出せます。

    弾力性のある生地

    オーガンジーは、ハリのある生地のため、薄手の生地にない弾力性があります。折り曲げても跳ね返るような弾力性があるので、スカートのボリュームやシルエット作りに使用されるパニエなどの用途にも使用されます。それほど、生地がヘタらずにしっかりとしたハリと弾力性がある点が魅力です。

    シワになりにくい

    折り曲げても折り目がつきにくく、シワにならないメリットがあります。生地に弾力性とハリがあるため、シワに関しては、心配する必要はないでしょう。

    ポリエステル繊維などの熱可塑性のある糸を使用していれば、熱処理加工によってプリーツなどのシワ加工をすることでシワを作ることは可能です。

    熱可塑性・・・(ポリエステル含む)プラスチックは常温では変形しないが、熱をかけると溶けて、冷えると固まる性質があります。

    上品な光沢感がある

    オーガンジー生地は、美しい光沢感がある生地です。光沢があるため華やかさと高級感が出ます。光を通す組織に、強撚で作られる光沢のあるコットン糸を使用することで、光に反射した時に美しく輝きます。華やかな場面で活躍するドレスや、装飾品のコサージュなどに使用するには最適の生地です。

    薄くて軽い

    薄くて軽いことは、レイヤー使いをすることの多いオーガンジー生地には重要な要素です。生地を重ねると厚く重たくなってしまいますが、オーガンジー生地であれば、重ね着しても負荷は大きくかかりません。風にふわりとなびくほどの軽さで、着ている感覚がないほどの軽さを味わうことができるでしょう。

    丈夫で耐久性がある

    薄くて軽いことに反して、オーガンジー生地は丈夫な生地と言われています。擬麻加工によって、薄地でありながらも強度を併せた生地に仕上がります。

    刺繍などの装飾と相性がいい

    オーガンジー生地を基布として、刺繍などのデザインを施されます。透け感のある生地で、主張が強くない分、どんな刺繡デザインを施しても邪魔しないでしょう。オーガンジー素材に刺繍を施した生地はたくさんあります。それほど刺繍とも相性がいい生地です。

    プリント加工しやすい

    ポリエステルのオーガンジーは昇華転写プリントが可能なため、小ロットで作成が求められる舞台衣装のドレスなどの素材によく利用されています。

    まとめ

    POINT

    オーガンジー(Organdy)

    • 薄くてハリのある平織物
    • 硫酸処理が加工で施される

    「オーガンジー(Organdy)」と「オーガンザ(Organza)」との違い

    • オーガンジー:元々はコットンで作られた平織物
    • オーガンザ:元々はシルクで作られた平織物

    オーガンジーの特徴

    • ハリがある
    • シースルーな見た目
    • 弾力性のある生地
    • シワになりにくい
    • 上品な光沢感がある
    • 薄くて軽い
    • 丈夫で耐久性がある

    プルミエールビジョンなどでも人気メーカーとなっているサンコロナ小田は、オーガンジーで真っ先に思い浮かぶメーカーだと思います。サンコロナ小田のオーガンジー生地は、ネット販売もされているので、興味のある方は購入してみてはいかがでしょうか。

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