モノフィラメントとは?メリットやデメリットとは?

前項では、「ハイマルチフィラメント」について紹介しましたが、今回は「モノフィラメント」に焦点を当てたいと思います。マルチフィラメントとは異なる特徴を持っているのですが、どのような特徴があるのでしょうか?

目次

モノフィラメント(Mono-filament)とは?

モノフィラメント(Mono-filament)

モノフィラメントとは、1本のフィラメントで構成された糸を指します。英語でも同じく「Mono-filament」と呼び、”Mono“には”一つの“という意味があります。

同じデニールでも、マルチフィラメントは細い繊維が束になっているのに対して、モノフィラメントは太い1本の糸でできています。例えば、20d/1fと20d/24fは同じ重さの20デニールを指していますが、1本のフィラメントと24本のマルチフィラメントで糸ができているかの違いを表します。

モノフィラメントの素材は主に、ナイロンやポリエステル、ポリプロピレンなどの合成繊維でできています。

モノフィラメントのメリット

強度が強い

モノフィラメントは、1本の繊維が太いので、強い強度を持っています。細い繊維の集まりでできているマルチフィラメント糸は、モノフィラメントに比べると繊維1本1本の太さが細いため、モノフィラメントと比べると切れやすくなります。

このモノフィラメントの強度の高さを活かして、アパレル以外にも産業用資材やスポーツ用品にも多く利用されています。例えば、アパレル関連では、洋服はもちろん縫い糸などにも使用されます。スポーツ用品では、テニスのラケットに張られるガットやテグス(釣り糸)・漁網などにも使われています。釣りをされる方には、ナイロン製のモノフィラメント釣り糸は親しみのあることでしょう。たった1本の糸だけで、大きくて重たい魚を釣り上げることができるのは、すごいことですよね。

糸の透明度が高い

モノフィラメントは、糸自体に染料を混ぜ込み原着糸にしたり、酸化チタンを混ぜ込んで光沢感を消したり、撚糸などの糸加工を施さない限りは、透明にかなり近い糸を作ることができます。

比較となるマルチフィラメントの場合は、複雑に絡み合う繊維間で光が真っ直ぐに通らず屈折することで、光が乱反射するため透明ではなく、白っぽい糸に仕上がりますが、モノフィラメントの場合は、1本の糸で構成されるため、光が真っすぐ通り抜けることで澱みのない透明な糸に見えます。

この透明性が買われて、アパレル製品の縫製の糸としてもよく使用されます。透明度の高い糸を使用することで、糸の存在が目立ちにくくなるので、デザインを邪魔しません。

透け感を出しやすい

糸が透明に近い状態であるモノフィラメント糸は、透け感のある生地を作りやすくなります。ガーメントスタイルによっては、透け感のある生地が好まれる場合もありますが、モノフィラメントは一番透け感を出すには適した糸になります。清涼感があり、透け感のある生地は、夏やレイヤー用の服にはぴったりです。

独特の光沢感が出る

アパレル用途での使用の場合は、部分使いとしてモノフィラメントが使用されることが多いですが、モノフィラメント糸を使用した生地の仕上がりはモノフィラメント独特の光沢感がある生地に仕上がります。糸を透明度の高い糸は、マルチフィラメントには出せない透き通るような光沢感が出ます。

ハリが出る

モノフィラメントは、フィラメント1本自体が太いので、ハリのある生地に仕上がります。通常20dや30dクラスの細い糸は、マルチフィラメントの場合は繊維1本がかなり細くなるので、ハリのなりペラペラな生地に仕上がる可能性があります。モノフィラメントは、20dクラスの糸でも、硬さのあるしっかりした糸のため、ハリのある生地に仕上がります。

毛羽立たない

モノフィラメント糸は、1本のフィラメントで構成されているため、複数のフィラメントで構成されるマルチフィラメントとは異なり、糸の表面が毛羽立つことはありません。毛羽が出ていると見た目が悪くなったり、清潔感に欠ける印象となります。モノフィラメントは毛羽が発生しないので、手入れが不要です。

モノフィラメントのデメリット

風合いが硬くなる

モノフィラメントの糸自体が硬いため、モノフィラメントだけで洋服用の生地を作るには難しいでしょう。かなり硬くなるので、皮膚への刺激が強すぎるのと、着心地はかなり悪くなるでしょう。そのため、アパレル用にはモノフィラメントはあまり多くは使用されていません。衣料品に使用される場合は、マルチフィラメントや他の柔らかい素材と混ぜ合わせて、モノフィラメントの混率を調整されることがほとんどです。

紫外線を通しやすい

透明度が高く、光を通しやすいモノフィラメントは、紫外線の透過率も高くなります。透け感の高い服で紫外線を長時間浴びると、長袖生地であっても肌が焼けてしまうこともあるかもしれません。

モノフィラメントが危険と言われる理由とは?

モノフィラメントは使用を間違えると危険な糸とも言われることがあります。繊維製品を筆頭に多くの製品の品質課題のソリューションパートナーとして立ち上げられた一般財団法人ニッセンケン品質評価センターによって、モノフィラメントはその強度のためにアパレル向けへの使用の危険性を周知しています。

引用:第15回 :アパレル製品の安全・安心 | 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター (nissenken.or.jp)

アパレル製品の人体危害ハザードの中に、モノフィラメントを素材使いすることや、縫製糸に使用することの危険性が訴えられています。モノフィラメントの特徴でも紹介させていただいた通り、モノフィラメントは糸自体が太く硬いため、皮膚にあたるとかゆみやチクチクしたり、場合によっては痛みを生じる可能性もあります。特に直径が30μmを超えると、皮膚への刺激が強くなりすぎることから、アパレル製品への使用は避けた方がいいと推奨されています。

まとめ

POINT

モノフィラメント(Mono-filament)

  • 1本のフィラメントで構成された糸
  • 合成繊維で作られる

モノフィラメントのメリット

  • 強度が強い
  • 糸の透明度が高い
  • 透け感を出しやすい
  • 独特の光沢感が出る
  • ハリが出る
  • 毛羽立たない

モノフィラメントのデメリット

  • 風合いが硬くなる
  • 紫外線を通しやすい

モノフィラメントが危険と言われる理由とは?

  • 素材使いすることや、縫製糸に使用することで、皮膚刺激を与える可能性がある

モノフィラメントは、マルチフィラメントや他の糸にはない独特の特徴がたくさんあります。魅力はたくさんありますが、使い方を間違えると人体の危険になるかもしれませんので、注意が必要です。しかし、用途を把握したうえで、うまく利用することで、オリジナリティあふれる魅力的な製品作りができるでしょう。

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