最近は個人でも趣味で服などを作られる方も増えてきました。特に、コロナウイルスの影響で外に出ることが制限される中、新たな趣味や中には副業としても服作りやマスクなどの小物作りに、人気が高まってきました。また、ユーチューバーの方などインフルエンサーの方が自分のブランドを立ち上げたいというお話などアパレルメーカーの企業様だけではなく、生地の仕入れをしてみたいというニーズは高まりつつあるように感じています。
そんな中、「どのように生地を探したらいいのか分からない」「生地はどこで仕入れしたらいいかわからない」という方も多いのではないでしょうか。今回は、生地の仕入れ方・探し方についてまとめてみました。
生地の仕入れ方・探し方には具体的にどのような方法があるのでしょうか?
生地の仕入れ方・探し方①ECサイト
テキスタイルECサイトは、昔に比べると増えていて、生地の仕入れにはメジャーな探し方の一つになりました。ECサイトとは、「Electronic Commerce」の頭文字から来ており、日本語では「電子商取引」と訳されます。この電子商取引は、インターネット上に開設した商品やサービスを販売するウェブサイトのことを指します。いわゆる「ネットショッピング」のことです。
このECサイトを利用して、さまざまな生地が販売されています。手軽に検索できて、たくさんの種類の商品を探すことができる点が大きな利点です。自分の足で探さなくても、携帯やPC一つでどこでも探すことができるので、まずはECサイトで探してみるのもいいかもしれません。
ECサイトには、楽天やAmazonなどの有名なECサイトはもちろん、テキスタイルに特化したECサイトもたくさん出てきています。老舗のリネン 生地の通販企業が運営する「生地の森」 や大手テキスタイルコンバーター、サンウェル直営のネットショップ「布地の店 ソールパーノ」など以前では考えられないくらい生地が探しやすくなっています。
テキスタイルに特化したECサイトの場合は、生地についての詳細を確認できたり、質問できるサービスなどもあります。直接触って見られない場合、このようなサービスがあると安心ですよね。
生地の仕入れ方・探し方②小売り店舗を持っている生地卸問屋
小売り店舗を持っている生地の卸問屋に行くことも一つの方法です。
直接店舗販売しているので、実際の生地に触れて、見た目だけではなく生地の厚みや風合いも確かめられることで、自分が探していた生地なのかどうかを見極めることができます。個人や趣味で服を作る方は、恐らく家庭用ミシンなどの使用が多いでしょう。家庭用ミシンは、生地の厚みに制限もあるので、実際に触って確認できることで、後のトラブルも少ないでしょう。
生地卸問屋での生地の販売は、通常、反物単位(1反が約30メーター~50メーター程度)の仕入れが必要です。しかし、多くの生地問屋の小売店舗では、生地の販売は1メーター単位など、少量からの購入も可能です。そこまで量を必要としない場合は、メーター単位で販売してくれると助かりますよね。
また、分からないことがあれば、直接店員さんに聞くことができることも、大きなメリットではないでしょうか?相談しながら購入できるので、生地の知識を増やしたり、作りたいモノつくりにピッタリの生地を紹介してもらえるかもしれません。
例えば、大阪であれば中央区にある船場センタービル、東京ですと、日暮里繊維街が有名です。
見切り品でお得な掘り出し物も
店舗によっては、なかなか見かけることのない、防水膜を使用したアウトドア用生地などの機能性生地が手頃な値段で購入できたりもします。テキスタイルメーカーで作られた試験品や通称「見切り品」と呼ばれているる在庫処分などで転売された生地を、卸問屋が安く仕入れすることもあるので、仮にアパレルメーカーが、通常ルートで仕入れて既製服として販売すれば数万円するレベルの生地も売られていたりするのです。掘り出し物・探しをすることも楽しいかもしれません。
身近にある卸販売店を訪れてみると、モノつくりのアイデアも浮かぶかもしれませんね。
生地の仕入れ方・探し方③手芸用品店
なかなか生地問屋の小売店舗が近くで見つからない方は、手芸用品店に行ってみてはいかがでしょうか?ユザワヤなどの大手の手芸用品店でも、生地を探すことはできます。こちらも、メーター単位などで購入でき、必要最低限の仕入れで済ますことができます。
カラーバリエーションも豊富で、生地の種類はベーシックで使いやすい生地が多い印象です。大手手芸用品店であれば、自社の客層に向けたオリジナル生地の開発・販売をしていることもあります。そのお店でないと手に入らない生地を買うこともできます。
服飾副資材の専門商社、増見哲が運営する 999+1(スリーナインプラスワン)のように、専門商社直営の強みを活かした独自の品揃えをしている店舗もあります。
一方、自社の客層に向けて品揃えしているということは、逆に言うと、売れ行きが悪い生地は取り扱い自体を辞めてしまいます。柔らかい合繊生地で縫いずらい生地などは、取り扱っていない場合もありますので、各手芸店の特徴をつかむことが重要です。
生地の仕入れ方・探し方④テキスタイル展示会
最新の生地や、流行の生地を見つけたい方は、展示会に参加してみるといいかもしれません。たくさんの企業が、その時に力を入れている生地を展示しているので、魅力のある生地に出会えるでしょう。
展示会は、たくさんの企業が1か所に集まる大型合同展示会もあれば、帝人や旭化成などの大手テキスタイルメーカーが個別で開催する単独展示会など様々にあります。日本に留まらず、世界各国のアパレルやテキスタイルメーカーが集う大きな展示会もあるので、一度に目移りするほどたくさんの生地を見ることができるでしょう。その場で商談することも可能ですし、生地の作成に携わった人から直接話を聞けるので、かなり詳しく生地について知ることができるでしょう。
また、大型合同展示会では、展示会主催者により、トレンド情報の打ち出しなどの情報発信がされています。インデックスコーナーを見て回ったり、パンフレットを手に入れるだけでもトレンド情報の収集に役立ちます。
展示会の多くの場合、縫製された製品もイメージとして飾られていることがあるので、より具体的な服のイメージができるかもしれません。1枚の生地で見ることと、縫製品になった後では、少し風合いが変わったりストレッチ感などが変わることもあります。服のイメージを見て、触れることは失敗しない生地選びに繋がるでしょう。
しかし、残念なことに多くの展示会が企業向けに開催されていることがほとんどです。大型の合同展示会は、比較的、来場者の条件が緩やかであるケースが多いので、主催者に問い合わせをしてみることをお勧めします。
テキスタイルメーカーのプライベート展(自社単独開催の展示会)は既存取引先中心となり、新規で問い合わせしても難しい場合が多いです。
生地の仕入れ方・探し方⑤テキスタイル情報SNS
SNSは現代には欠かせない情報資源です。どんどん新しい情報が更新され、トレンドを知るうえで重要な役割を担っています。購入するかは別として、生地の勉強にもなる情報が無料でたくさん配信されているので、チェックしてみてはいかがでしょうか。
代表的なものとしては、インスタグラムなどにも生地の販売や、アイディアをもらえるアカウントがたくさんあります。何万点もの画像がアップロードされていて、ユニークな生地もたくさん見つかるでしょう。個人で服を作る方の投稿も見ることができるので、刺激をもらえるかもしれません。
また、一般的には、インスタグラムほど浸透してませんが、ピンタレストもファッションデザイナーなど企画職の人には、アイディアソース、気になる点をブックマークしておくツールとして人気のSNSです。ウェブ上や自分の画像をボードと呼ばれるカテゴリー毎に、ピン(保存)して、公開できるサービスとなっています。アパレル企画の際に、よくマップと言われるブランドコンセプトをわかりやすくまとめた資料を作成するのですが、それに近いものを簡単に作ることができます。ポートフォリオを作成して公開することもできます。
どんな生地がいいのか全くアイデアが浮かばない人も、生地の種類や知識を増やすことで具体的なイメージを持てるかもしれません。そのために気軽に見ることができるSNSは、うってつけの方法とも言えるでしょう。
生地の仕入れ方・探し方⑥テキスタイル企業D2Cブランド
どんな生地を使えば、どんな服に仕上がるのか、全くイメージが湧いていない方は、テキスタイル企業が自ら運営するファッションブランドをチェックすることもいいかもしれません。最近では、テキスタイル企業が自社の生地の良さを最大限に活かした服を世の中に発信するため、D2Cブランドを運営しているケースも増えてきました。
大手テキスタイルコンバーター スタイレム瀧定大阪が運営するRitoやハイメゾンとの取引も多い和歌山の老舗ニッター、カネマサ莫大小が運営するKANEMASAなどがあります。特に、三菱ケミカルが運営するage3026™は同社のトリアセテート繊維ソアロン™に限定した服づくりをしています。素材の特性を知り尽くしたテキスタイルのプロの服づくりは、どのようにしたら、素材の良さをひき出せるのか大いに参考になるでしょう。
きっとアイデアをもらえるのではないでしょうか?トレンドカラーやトレンドスタイルを確認することもできますよ。
生地の仕入れ方・探し方⑦テキスタイル資料館
産地によっては、今まで企画されたテキスタイルのアーカイブなどを集めたテキスタイル資料館を公開しているところもあります。広くファッションデザイナーなどに開放されている場合が多いです。
テキスタイルマテリアルセンター
一宮、尾州産地のテキスタイルマテリアルセンターは、現地を訪れて、アーカイブを閲覧することもできますし、ウェブでの相談にも対応しています。
fa-bo(ファーボ)
石川県の大手ファブリックメーカー、小松マテーレは、本社工場敷地内のファブリックラボラトリー「fa-bo」(ファーボ)にて、一般の方向けに見学会やワークショップなどを開催されていましたが、それに加えて、今までの開発生地サンプルのアーカイブを2021年10月1日から公開する予定になっています。
気軽に行けるものでは、ありませんが、近くにいく機会があれば、足を延ばしてみてはいかがでしょうか。
生地の仕入れ方・探し方⑧アパレルコワーキングスペース
coromoza
ファッションデザイナー・アパレル向けのコワーキングスペースの中には生地見本を設置して、利用者が閲覧できるところもあります。
生地の仕入れ方・探し方⑨生地問屋の活用
法人化していたり、ある程度、営業している実績がないと難しいですが、生地問屋・テキスタイルコンバーターに問い合わせをして、取引を開始してもらうという方法が、一番正攻法の方法にはなります。
個人で運営しているブランドなど小規模のブランドの場合は、取引き開始を断られる場合も多いですが、口座を持っている生地問屋、テキスタイル卸業者経由で仕入をするという方法もあります。
東京の場合は、杉村株式会社や、大阪の場合は株式会社ケントレーディングなどのテキスタイル卸業者経由することで生地の仕入が可能になります。
入場を断られたテキスタイル展示会でも生地問屋にアテンドしてもらうことで入場できる場合もあります。
生地の仕入れ方・探し方まとめ
まとめてみると生地の仕入れ方・探し方もいろいろな方法がありますね。東京・大阪まで訪れることができる方は、実際に店舗や展示会で探してみると生地の風合いも確認できますから、探しやすいですね。
また、ECサイトやSNSでも最近は、動画を見ることができたり、製品サンプル画像を見ることができるサービスも増えていますので、以前に比べると生地が探しやすくなっていると思います。