「デシン」生地とは?ジョーゼットとの違いや特徴とは?

    「デシン」という生地を知っていますか?

    女性らしいフェミニンな印象のある生地が特徴です。今回は、「デシン」の特徴と、「デシン」と並べて比較される「ジョーゼット生地」との違いについて紹介したいと思います。

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    「デシン(Decin)」とは?

    「デシン(Decin)」

    「デシン(Decin)」は平織の組織で、経糸には無撚糸または甘撚糸(弱い撚糸)と、緯糸には強撚糸を使って、高密度に織り上げた織物を指します。経糸と緯糸に異なる撚糸の糸を交互に打ち込むことで、表面に細かく繊細なシボがある生地に仕上がります。精練時(紡糸や製編製織等で付着しているサイジング剤や油剤、織り込み汚れなどを除去して不純物を取り除く作業)に、熱をかけてもみこまれることで、緯糸の強撚糸が元に戻ろうとする力が働き、テンションの差から表面に凹凸が浮き上がります。

    デシンは、日本のちりめんで表すと「両縮緬(平縮緬)」に該当します。両縮緬は、全体に均等なシボを表わしたもので、両シボなどとも呼ばれます。ちなみに、一方向にシワ状のシボのある生地は、「片縮緬・片シボ」と呼ばれ、楊柳などの生地がこれにあたります。

    「デシン(Decin)」の発祥

    18世紀初めにフランスのリヨンで、中国の織物を模倣して生まれたのが、「デシン」の誕生です。「デシン」は、「Crepe de Chine(クレープデシン)」とも呼ばれます。フランス語で、Crepeはちりめん、Chineは中国を指していて、「中国のちりめん」という意味があります。元々は中国のシルクロードにより世界中に広がったシルクが、デシンの原料として、使用されていましたが、今では、安価で扱いやすいポリエステルなどの合成繊維を使用して作られるようにもなりました。

    「デシンの特徴」

    繊細なシボがある

    デシンの特徴であるさりげなく繊細なシボによって、ふわっと膨らむようなやわらかな印象を与えます。平面的でぺらっとした生地とは違い、空気を含んだようなシルエットに仕上がります。凹凸も強すぎないので、ブラウスやドレスなどにも使用され、フォーマル向けにも活躍します。

    しなやかでソフトな風合い

    撚糸を使用していて膨らみ感があり、やわらかな肌触りが特徴です。

    軽い

    凹凸からふっくらとした印象もありますが、厚みに反して軽いことも特徴です。

    しわになりにくい

    撚糸を使用した生地は、シワになりにくく、デシンもシワが入りにくい生地でイージーケアとしても人気があります。シワが多少入っても、表面にシボのある生地のため、目立ちにくいです。

    ドレープ性がある

    ふんわりと弾力性もあるので、生地を垂らすとゆったりと自然にひだが入るような落ち感とドレープ性があります。ほどよく体にフィットするので、美しいシルエットをキープできます。

    上品な光沢感

    細かいシボのある表面が、乱反射して繊細で上品な光沢感があります。

    深みのある色

    主な原料となるシルクやポリエステルは、染色性や発色性に優れています。それに加えて、表面の細かい凹凸によって、色に深みがでて、味のある見た目に仕上がります。

    レディース向け生地にマッチする

    見た目・風合い・シルエット感から、女性らしいフェミニンさを感じられるので、レディース向けにとてもマッチする生地です。軽くて、生地をまといながら回るとふんわりと広がるので、ドレスやダンスなどの衣装生地としても人気があります。

    肌に張り付かない

    表面に凹凸があるので、汗をかいても肌に密着しないので、さらさらの着心地をキープできます。薄手で涼しげのある見た目もあり、夏向けの素材としても活躍します。

    プリントとも相性がいい

    シボがそこまで大きくないので、プリント品としても仕上げられます。平面的な生地にプリントを載せるよりも、さりげない凹凸感があるので、立体感のある仕上がりになります。小さめの花柄などの模様から、大き目のストライプなどの模様にも適しています。スカーフやワンピースなどにも多く見受けられる生地です。

    「デシン」と「ジョーゼット」の違いとは?

    「デシン」と似ていて、よく比較される生地に「ジョーゼット」があります。「デシン」との違いはどのような点があるのでしょうか?

    ジョーゼット(Georgette)

    ジョーゼットは、デシン同様にシボ感のある透け感のある薄手の生地です。ジョーゼットの製造法は、経糸と緯糸の両方に強撚糸を使用して、シボを作り出した生地です。正式名称は、「ジョーゼット・クレープ」または「クレープ・ジョーゼット」です。

    20世紀の初めにフランスで誕生した生地です。名前の由来は、ジョーゼット夫人が経営していたフランスの婦人ドレスメーカー「Georgette de la Plante」に由来と言われています。現在では、この製造法で作られたシボの生地をジョーゼットと呼びますが、開発当初は、商標名だったそうです。

    当初は、デシンと同様にシルクが使われていましたが、今ではレーヨンやポリエステルなどの化学繊維も使用されるようになっています。

    「デシン」と「ジョーゼット」の違い

    製造法     

    「デシン」は、経糸には無撚糸または甘撚糸(弱い撚糸)、緯糸には強撚糸を使いますが、「ジョーゼット」は経糸と緯糸の両方が強撚糸を使用しています。

    シボ感

    シボ感の強さは、「ジョーゼット」の方がはっきりとわかるでしょう。シボが細かく、上品な印象を与えるのは、「デシン」で、「ジョーゼット」はもう少しカジュアルな印象を与えます。このシボ感は、肌離れにも繋がり、ジョーゼットの方が肌離れはよくなります。

    風合い

    「デシン」はソフトで柔らかい仕上がりに対して、「ジョーゼット」は凹凸の強さから、少しザラザラとした風合いがあります。

    透け感

    同じデニールの糸を使用した場合、「デシン」の方が透け感のある生地に仕上がります。「ジョーゼット」は凹凸感大きい分、乱反射するので少し透けにくい仕上がりです。

    似ている「デシン」と「ジョーゼット」の生地ですが、これらの観点から、どちらの生地が理想の製品に繋がるのか選定するポイントになるかと思います。

    まとめ

    POINT

    デシン(Decin)

    • 表面に細かく繊細なシボがある平織の織物
    • 別名:Crepe de Chine(クレープデシン)、両縮緬
    • フランス発祥で、中国のちりめん生地を真似して作られた

    デシンの特徴

    • 繊細なシボがある
    • しなやかでソフトな風合い
    • 軽い
    • しわになりにくい
    • ドレープ性がある
    • 上品な光沢感
    • 深みのある色
    • レディース向け生地にマッチする
    • 肌に張り付かない
    • プリントとも相性がいい

    デシンとジョーゼットの違い

    • 製造法
    • シボ感
    • 風合い
    • 透け感

    「デシン」がやわらかで女性らしい雰囲気のある生地が伝わっていれば、幸いです。フェミニンな見た目と風合いから、ドレス衣装からブラウスや下着までのさまざまな素材として利用されています。取り扱いもしやすい素材のため、ぜひレディース向けなどに取り入れてみてはいかがでしょうか?

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