スパンデックス、ライクラ、ポリウレタン、エラスタンの違いやメリット、デメリットとは?

    ストレッチ生地のタグで見かける「スパンデックス」や「ライクラ」、「ポリウレタン」、「エラスタン」などの表記ですが、どのような違いがあるのでしょうか。違いや特徴について調査しました。

    目次
    アパレル業界をリアルな視点で描く本格お仕事マンガ
    ¥792 (2025/11/10 11:29時点 | Amazon調べ)
    \2025/12/4 23:59 まで無料で読めます/
    Amazon

    スパンデックス・ライクラ・ポリウレタン・エラスタン

    スパンデックス・ライクラ・ポリウレタン・エラスタンの違い

    ストレッチ生地で見られる素材、「スパンデックス」や「ライクラ」、「ポリウレタン」、「エラスタン」。これらの違いはどういったものなのでしょうか?

    端的にいうと、どれも素材は同じと言えます。商標や地域によっての呼び方の違いがありますが、どれもポリウレタン弾性繊維であることは共通しています。

    スパンデックス(Spundex)ポリウレタン弾性繊維の一般名称、主にアメリカで使われる名称。
    ライクラ(LYCRA®)スパンデックスのデュポン社登録商標、素材表記は「LY」
    ポリウレタン(Polyurethane)弾性繊維であり、スパンデックスとも呼ばれる。素材表記は「PU」
    エラスタン(Elastin)ポリウレタン弾性繊維で、主にヨーロッパで使われる名称。素材表記は「EA」

    アメリカでは、「スパンデックス」の名称が一般的に使用され、ヨーロッパでは主に「エラスタン」という名称がよく使用されています。地域によって、採用される表記方が変わりますが、上記の4つの名称は基本的に同じ素材の認識で問題ないです。日本の家庭用品品質表示法では、「ポリウレタン」の用語が使用されるため、ポリウレタンが一番馴染のある表現でしょうか。

    ライクラはデュポン社の商標に当たるため、デュポン社以外のポリウレタン繊維のことをライクラとして販売することは、侵害に当たりますので、素材表記の際は注意しましょう。ポリウレタン弾性繊維の商標登録は他にも、旭化成の「ロイカ」などもあります。

    ポリウレタン弾性繊維とは?

    そもそもポリウレタン弾性繊維とは、どのような繊維なのでしょうか。ポリウレタン弾性繊維は、プラスチックから作られる化学繊維のひとつです。ゴムの代用品として開発され、現在では多くのファッションで活躍しています。ポリウレタンは、繊維だけにとどまらず、防水樹脂や接着樹脂などの様々な用途に使用されるほど、使用用途が広く使い勝手のいい素材です。

     

    ポリウレタンのメリット

    ポリウレタン弾性繊維の一番の特徴といえば、ゴムのように伸びるストレッチです。ポリウレタン弾性繊維は、一般的に5倍ほど伸びることができます。ストレッチ性に加えて、キックバックと呼ばれるストレッチ回復力も高く、引っ張った後に糸が伸び切らないことも魅力です。ゴムよりも耐久性があることもポリウレタン繊維のアドバンテージです。ピタッと密着するヨガウェアやランニングウェアには、定番的に使用される繊維です。

    • 高いストレッチ性
    • キックバック
    • 軽い
    • 細い糸も太い糸も作れる
    • しわができにくい

    ポリウレタンには、ゴムには作れない細い繊維も作ることが可能で、かつゴムよりも高いストレッチ性を持ち合わせています。ゴムと比べても軽くて丈夫なため、ゴムの代替品として今では欠かせない繊維の一つになりました。

    生地に使われるポリウレタンは、100%ポリウレタン繊維使用ではなく、他の繊維と組み合わせて数パーセント混ぜ込まれることがほとんどです。ポリウレタン繊維をわずか2-3%使用するだけでも、十分なストレッチ性を実感することができます。

    ポリウレタンの伸縮性の弾力性のある糸のおかげで、服にしわが入りにくいことも特徴です。ストレッチ性に加えて、シワになりにくく軽量感のあるポリウレタンは、服を作ることに適している繊維ですよね。

     

    ポリウレタンのデメリット

    たくさんの利点のあるポリウレタンですが、デメリットとして挙げられるのが寿命の短さです。ポリウレタン繊維の弱点としては、ゴム以上に耐久性はあるものの、性質上劣化を避けることはできず、経年劣化とも呼ばれる寿命があります。ポリウレタンは、取り扱い方にもよりますが、製造から2-3年ほどと言われています。

    ポリウレタン繊維の場合、劣化が進むとポリウレタン繊維が飛び出して白色の糸が浮いて見えることもあります。見た目はもちろん、ストレッチ力にも影響します。

    ポリウレタンの劣化を進める要因として、下記のような例があります。

    • 加水分解(空気中の水分)
    • 塩素
    • 排気ガス
    • 日光・紫外線
    • 皮脂、汗等

    ポリウレタンの劣化の要因の一つとして「加水分解」があげられます。加水分解とは、水に反応して分解される性質で、空気中の水分からも影響を受けるため、完全に防ぐことは難しいでしょう。ポリウレタン合成樹脂で作られる安価なレザー風バッグが数年でボロボロにフィルムが剝れ落ちてしまうのは、この加水分解が原因です。

    ポリウレタンは塩素に弱く、漂白剤の使用は避けた方がベターです。

    そして高温多湿を避けながら、日陰で保管することが大切です。濡れた場合は、十分に乾燥させるなどを意識してみてください。他にも、長時間の直射日光を避けることや、皮脂などの付着の後に優しく洗ったり、拭き取りするなどのケアにより、長く使用することができるようになります。

    ポリウレタンの糸加工

    ポリウレタンの多くは、カバリングヤーンと呼ばれる加工を施されています。カバリングヤーンは、ポリウレタンの糸をナイロンやポリエステルなどの超繊維でカバリングして作られる糸です。エアーカバリング機などを使用して、圧縮空気によって起こされた乱流を利用してこれらの糸を空気交絡させ製造される糸です。ポリウレタンの周りをナイロンなどの繊維で覆うことで、ポリウレタンの露出を減らし、劣化を遅らせる効果もあります。

    カバリングヤーンには、「SCY(シングルカバーリングヤーン)」「DCY(ダブルカバーリングヤーン)」と呼ばれる2種類の加工法があります。

    SCYは、芯糸(ポリウレタン弾性糸など)を延伸したところに、鞘糸(ナイロン糸など)を、S方向またはZ方向に一重に巻きつけた糸のことです。DCYと比べて、伸縮性が高く柔らかい糸になります。

    DCYは、芯糸(ポリウレタン弾性糸など)を延伸したところに、鞘糸(ナイロン糸等)をS方向とZ方向に二重に巻きつけた糸のことを指します。SCYと比較すると、伸縮性は劣るが、フィット感と耐久性に優れています。

    まとめ

    POINT

    ポリウレタン弾性繊維:

    • スパンデックス:主にアメリカで使われる名称
    • ライクラ:スパンデックスのデュポン社登録商標
    • ポリウレタン:スパンデックスとも呼ばれる
    • エラスタン:主にヨーロッパで使われる名称

    ポリウレタン弾性繊維の特徴

    • ストレッチ性・キックバック・軽い・細番手から太番手まで生成可・耐シワ
    • 注意点:劣化しやすい

    ストレッチ生地には欠かせないポリウレタンには、様々な呼び方があります。

    基本的な原料や物性はどれも同じですが、商標登録されたものを虚偽してタグ表記することには注意しましょう。

    ポリウレタン弾性繊維は、多くの利点がありますが、寿命が短いことが難点です。せっかく買った服がすぐに使えなくなることのないように、タグの取り扱い表記に沿ってケアしていきましょう。

    この記事が気に入ったら
    フォローしてね!

    よかったらシェアしてね!
    • URLをコピーしました!
    • URLをコピーしました!
    目次