「スナッギング」・「ピリング」・「アブレーション」の違いとは?

生地を取り扱っていると、「スナッグ」や「ピリング」、「アブレーション」などと言った言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか?どれもなんとなく似ている要素があるので、混同しやすいのですが、それぞれの違いとは何でしょうか?

目次

「スナッギング」・「ピリング」・「アブレーション」の違いとは?

「スナッグ」・「ピリング」・「アブレーション」は、繊維業界に携わらない方には聞き馴染みのない言葉かもしれません。どれも生地が摩擦などによってダメージが発生した場合に生じる現象ですが、発生の原因が少し異なります。それぞれ起こりやすい生地の特徴や対策が変わるのですが、どのような違いがあるのでしょうか?

「スナッギング」とは?

「スナッギング」とは、引っかかりなどによって、繊維が生地の表面に浮き出て突出する現象です。繊維の引き連れの状態を指しており、引き連れた糸はスナッグと呼ばれます。登山などで木に引っかかったり、ペットの爪などのような突起物や鋭利なもので引っかかった際に、服の生地から糸が飛び出してしまう経験はないでしょうか?この糸が飛び出た状態が、繊維業界で表現される「スナッギング」です。

糸引けは繊維の長いフィラメント糸に発生しやすい傾向があります。スパン糸の場合は、糸ヒケが起きた場合は、繊維が短いので抜けきってしまうことがあります。糸ヒケは目立つので、見た目に大きな影響を与えます。せっかく購入した服が、簡単に糸ヒケを起こしてしまうとショックですよね。

スナッグ試験方法

スナッグの耐性を調べるには、スナッグ試験をすることで、引っかかりに対する生地の抵抗力と強度を測定することができます。スナッグテストは、JIS L 1058 A法(スナッグA法:ICI形メース試験機法(メース法))が、日本では一般的に採用されています。

引用:スナッグ試験(JIS L 1058) | 一般財団法人カケンテストセンター (kaken.or.jp)

スナッグテストでは、トゲのついたボール(メース)を生地に引っかけて、どれくらいの引っかかりや糸抜けが起きるかを測定します。測定結果は、見た目と引き連れの度合いによって、1~5等級の中で半等級ずつ(0.5等級)に数値があがる9段階(1<1.5<2< 2.5・・・)にレベル分けされます。数値が大きいほど、スナッグの耐性が優れていることを表します。

「ピリング」とは?

ピリングとは、繊維が絡まって表面に毛玉が出た状態を指します。生地の表面が摩擦によって、毛羽立って絡み合い、小さな球状の毛玉が生じてしまいます。ニットなどの生地が、着用するにつれて、毛玉で絡まってしまった経験があるかと思います。ピルは毛玉を指し、この絡まった毛玉の状態を指す言葉が「ピリング」です。

ピリングはスパン糸の方が発生しやすい傾向にあります。スパン糸は元々毛羽が多い繊維のため、摩擦などの影響によって表面の毛羽がもつれやすく毛玉に発展しやすい傾向があります。

ピリングもスナッグ同様に見た目の印象に大きな影響を与えます。毛玉だらけの生地を好んで着る人はいないと思うので、ピリング耐性の強い生地の方がいいですよね。

ピリング試験方法

引用:ピリング試験(JIS L 1076) | 一般財団法人カケンテストセンター (kaken.or.jp)

ピリングの耐性は、ピリング試験の数値で判断することができます。ピリング試験の一つであるJIS L1076の場合は、上記の写真のようなピリング試験機の中に生地を入れて回転させて測定します。回転箱の中は、コルク版が貼られていて、生地とコルク版を摩擦起こして生地にダメージを与えることで測定します。スナッグと同様、1~5等級の内の9段階で評価されます。

ピリングはある程度、仕方ないと理解してくれる消費者もいますが、普段使いでもすぐに毛玉だらけになると消費者クレームに繋がる可能性があります。抗ピリングが弱い生地の場合は、たった一度の使用でも毛玉が発生してしまう場合があります。ピリングへのある程度の耐久性を持っている生地の目安としては、3~4級以上の生地が推奨されています。特に高級ゾーンや、摩擦などが起きやすいスポーツウェアなどはなるべく抗ピリング生地を使用した方がベターでしょう。

「アブレーション(摩耗)」とは?

アブレーションは、英語では擦りむけや摩損箇所などの意味があります。摩耗性を表す際に表現されます。リュックなどを背負っていると、服とリュックの間で摩擦が起きて、生地の摩耗がしやすくなります。ズボンの内股の箇所や脇なども、生地と生地同士の摩擦が発生しやすく、すり減りやすい箇所です。アブレーションは、生地のすり減りや摩擦に対する強度を示します。

アブレーションは、糸の強度や密度などに影響されます。糸の繊維が細いとどうしても糸が破断しやすくなるので、脇や肘などの摩擦が起きやすい箇所に使用する際は注意が必要です。摩擦が起きやすい箇所は、耐アブレーションの高い生地を部分使いした縫製品も多く見かけます。パーツを工夫したり、生地そのもの自体を耐摩耗性の高い生地を使用することをおすすめします。

特に、後加工などで帯電防止剤をコーティングした場合は、使用による摩擦や洗濯などを繰り返すことで、効果が落ちてしまいます。その度に新しいものを買うこと以外にも、持続性を持たせる方法はあります。

アブレーション(摩耗)試験方法

アブレーションの試験は、日本ではJIS L 1096の測定が一般的な評価法の一つです。その中でも「A法(ユニバーサル形法)」、「B法(スコット形法)」、「C法(テーバー形法)」、「D法(アクセレロータ形法)」、「E法(マーチンデール法)」、「F法(ユニホーム形法)」といった細かい条件分けがあります。生地の厚みや測定したい条件によって試験測定法が使い分けられています。基本的には生地を機械の摩擦台に乗せて、規定の圧力をかけて回転しながら摩擦をかけます。糸切れ時の耐久回転数、または指定した回転数での糸切れの数を測定することができます。さらには、摩擦をかけた時の、外観変化を調べることもできるので、変色や退色がないかを見る目的としても摩耗試験が行われます。

引用:摩耗強さ – JWIF 一般財団法人 ケケン試験認証センター

まとめ

POINT

スナッギング

  • 引っかかりなどによって、繊維が生地の表面に浮き出て突出する現象
  • フィラメント糸に発生しやすい

ピリング

  • 繊維が絡まって表面に毛玉が出た状態
  • スパン糸に発生しやすい

アブレーション(摩耗)

  • 摩耗による擦りむけや摩損を表す
  • 繊維が細い糸を使用する際に、発生しやすい

「スナッギング」・「ピリング」・「アブレーション」の違いは伝わったでしょうか?摩耗やスナッグが発展するとピリングしやすくなったりと、全く関係のないわけではありませんが、基本的にはそれぞれ少しずつ対策が異なります。発生要因を知ることで、それぞれに適した対処を取ることができます。

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