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はじめに
24回目となるPTJ展は、2024年S/Sに向けたテキスタイルビジネス商談会として開催されました。シーズンがら70社を超える参加の中でも特に綿、麻を中心に複合化や自然を強調した加工がなされ、機能やタッチ、布の表情などに魅力を添えています。
伝統を大切にしながらこれからの消費者に向けた新しい提案をいくつかご紹介します。
SHIBAYA 柴屋(株)
充実した品揃えで定評のある天日干しは同社の人気商品でもある。


コットンヘンプのタイプライターファナージュ C80/ヘンプ20 目付け151g/m
柔らかく適度なハリ感もあり、サマージャケットにもボトムスにも適切。
ファナージュとは小さな窯で染め手仕事で作りあげる方法で、ゆっくり丁寧に染めた素材の天日干しは自然の風合いを損なわずナチュラルな感覚をキープする特徴がある。全16色。

サニードライポプリン天日干しワッシャー C100 目付け210g/m
用途の広いポプリン。生成りは染めを行わず原料の色目をそのまま使用。
全32色。

タイプライター天日干しワッシャー
C100 目付け 130g/m
タイプライター独特のパリパリ感を残しながら、優しい自然味もある。
生成りは染めていない。 全12色。
その他 1/40、 1/60のリネンのファナージュも人気。


コットン/パイナップル帆布
C/97 パイナップル/3 目付け 350g/m
パインの葉から取り出したパイナップルリーフ繊維を混ぜた自然循環型素材。
アウトドアや帽子、バッグに適している。

オニベジリサイクルナイロン・ライトシェルタフタ
リサイクルナイロン100% 目付け 115g/m
エコタフタとも言いプレコンシューマー・リサイクルナイロン系(工場内の生産過程のリサイクル工程の中でできたナイロン)を使用。更に玉ねぎの皮など棄てる ものを使った染色「オニベジ」でより自然な色を楽しむことができる。他にもワイン、オリーブ、米、竹炭、インディゴ、ブドウの搾りかすなどが使われる。


BEANEX ECO +グログラン
N100%(植物由来28%) 目付け 199g/m
エコナイロンともいわれるバイオベースのナイロンスパン素材。吸湿性、発色性に優れた環境配慮型素材。



コットン和紙シャンブレー
和紙/55 C/45 (30%がリサイクル紙の「REPAC30」を使用) 目付け20g/m
REPACは牛乳パックを中心とした古紙をリサイクルし、美濃和紙を混ぜたもの。
綿×再生紙の生地として注目。
高島ちぢみ
江戸時代から続く縮みの産地、滋賀県高島市では綿のヨコ糸に強撚糸を使ってシボを作ることにより、表面に独特のシワを出し通気性抜群の織物を「高島ちぢみ」としてブランド化しました。ちぢみはクレープとも呼ばれ夏の衣料としてお馴染みです。
琵琶湖の北西に位置する高島市新旭町では撚糸から織り、晒し、染色加工の一連の工程がすべて地域内でできることも特徴。現在7社で共同組合を作り商品開発に力を注いでいます。
日本の暑い夏には最適なちぢみは新しい時代に向けてSDGsは勿論、寝間着や下着のみならずアウトドアやスポーツなどにも広がり、シーズンを問わず使われる素材を目指しています。そのための製品にも力を入れ、新しいデザイン、機能性の追求、発想の転換など、新しいライフスタイルに向けたアイテムへの挑戦が始まっています。
テキスタイルとしてコットンにこだわる事やシボや楊柳の独特の表現とともに、製品分野でのコラボレーションやブランド化によるアッピールに期待したいところです。
高島ちぢみホームページURL
https://takashimasarashi.com/




滋賀麻工業(株)
麻素材の生産では日本一を誇る滋賀麻は、麻(リネン)を中心にコットン、バンブー、和紙との複合に力を入れています。麻の味を更に深めるリネンとヘンプのミックスは
柔らかさと同時に高級感があります。
先染めのように見えるボーダー柄のプリント、新しいナチュラル感が盛り込まれたような和紙と麻の融合などが特に注目されます。
中でもL47/ S/20 W/33 の織物はシルクとも麻ともウールとも異なる新感覚が新鮮です。
滋賀麻工業(株)ホームページURL
https://www.shigaasa.jp/






日本蚕毛染色(株)
シルクを中心に新機能を備えた素材開発に力を入れています。特に洗濯機でもえるシルクとして「CEREZA CARMEN セレーサカルメン」を開発し、より身近なシルクをうちだしました。
同時にこれらのシルクを使った製品として「KYNUキヌ京都」をブランド化しています。
「GumGum Silkガムガムシルク」は織物のヨコ糸に使用することにより、軽さ、薄さ、光沢、ストレッチ性、シボが特徴となって更に伸縮性が優れた布が出来上がります。
これらはニットにも使われ、高級感のある絹を綿や麻と複合させることも含め、に日常の生活の中で楽しむことのできる魅力あるシルクをアッピールしています。








日本蚕毛染色(株)
