「エナメル」といえば、なんといっても美しい光沢が魅力ですよね。他の加工では出せないツヤ感は、一気におしゃれ度をあげてくれる加工の一つです。
今回はそんな「エナメル加工」にフォーカスしてみたいと思います。
エナメル加工とは?
エナメル(Enamel)
エナメル加工とは、油性のワニス(透明な塗膜)に顔料を加えて作られるエナメル塗料を生地の表面に塗布する加工です。美しい光沢が出せることから、見た目のファッション性を上げてくれるとして施される加工の一つです。コートやバッグ・靴などの衣料品の他にも、ソファーなどのインテリアや外壁塗装や装飾品の仕上げなどの建築関係からホビー関連などの幅広い用途で使用されます。
エナメル加工が施されたのは、元々は革製品の傷を防ぐためにコーティングされたのがきっかけと言われています。今では傷を防ぐだけではなく、おしゃれなファッション要素も含まれ、ファッションには欠かせない加工の一つです。2000年前には、さまざまな有名ブランドがエナメル製品を取り扱うようになりました。以降、エナメルの認知度は上がり、世界中に愛されるようになりました。
エナメル加工に使われる生地とは?
加工に使用される基布は、本物の動物の皮革で作られる“リアルレザー”や、人工的に作られる“フェイクレザー”のほかにも“織物で作られた目の詰まった生地”に加工されるのが一般的です。編み目が伸びやすいニットは、コーティング漏れや、生地が伸びた際に、エナメル塗料がひび割れする可能性があるので、基本的にはニット品にエナメル加工は施されません。
エナメル加工の特徴
美しい光沢感
エナメル加工の最大の特徴として、美しい光沢感があげられるでしょう。生地本来のままでは出すことのできない、ツルツルとした光沢は、エナメル加工ならではの加工法です。目を引くような艶やかな光沢は、ファッションのワンポイントになったり、目を引くアイテムの一つになれるでしょう。
深みのある色を出すことができる
エナメル塗料は発色性が非常によく、深みのある色味を出すことができます。コーティングする用途として使われるのは様々です。
高級感がある
美しい光沢と深みのある色合いもあって、エナメル加工を施すことで高級感のある印象を与えることができるでしょう。実際にフォーマルな場面やパーティーなどの華やかな装いが要求されるような場面でも、エナメル製品は愛用されています。
ツルツルした表面
織物やニット、皮革などの表面は本来ザラザラしていたり、多少なりとも凹凸はある表面をしています。それらの基布にエナメル塗料をコーティングすることで、表面はなめらかにツルツルした手触りに仕上がります。
汚れがつきにくい
表面がフラットでツルツルしているので、汚れが付着しづらく、清潔な表面を保つことができます。汚れがついてしまっても、軽く拭き取るだけで、ほとんどの汚れは問題なく落とすことができるでしょう。洗濯までしなくても、簡単に汚れを拭き取れる手軽さはエナメル加工の魅力の一つです。
防水性がある
生地の表面にコーティング加工するので、防水性ももたらしてくれます。ちょっとした雨でも中まで濡れることはないので、急な天気の変化でも心配はいりません。
ただし、長時間濡れたままで放置していると、加水分解が進行します。加水分解とは、水に反応して分解される性質を指します。エナメル樹脂に水分が多く含まれたままでいると、表面のコーティングが分解されて、ボロボロと剝がれ落ちる可能性があるので、濡れたら拭いて十分に乾かしましょう。
ムラになりにくい
エナメル塗料は、塗料の結びつきがいいので、生地にしっかり密着します。また塗料同士の結びつきもいいため、樹脂を塗布後もムラになりにくいことも利点と言われています。
エナメル製品のお手入れや保管方法とは?
お手入れ方法
少しでも長くエナメル製品の寿命を延ばすためには、正しいケアが重要となります。
ホコリや汚れを落とす
使用後は、馬毛ブラシなどの柔らかい毛質のブラシやクロスなどを使用して、表面のホコリや汚れを落とします。
防水加工を施す
エナメル塗料は、加水分解しやすく、水に分解される性質を持っています。そのため、防水スプレーなどをあらかじめ振っておくと、コーティングに水分が浸透することを防いでくれるので、加水分解を予防することができます。
エナメル専用のクリームで磨く
エナメル用のクリームには、樹脂を柔らかくする効果とツヤ出しの効果があります。樹脂を柔らかくすることで、ひび割れを防いでくれる他にも、ツヤを足してくれるので、美しい光沢をキープすることができます。
保管方法
高温多湿での保管は避ける
エナメル塗料は、高温多湿の環境下で保管していると、表面のひび割れを起こしやすくなります。表面のひび割れから、コーティング塗料が剥がれ落ちる可能性もあり、見栄えに大きく影響を与えてしまいます。
また、エナメルは温度によって硬度が変化する可能性があるので、なるべく温度環境も一定に保てる方がベターです。直射日光の当たらない風通しのいい場所に保管することで、コーティングの劣化を防ぐことができます。湿度が高くなりやすい梅雨の時期には、注意が必要で、除湿剤などの使用も効果的でしょう。
エナメル素材同士を密着させない
高い密着性のあるエナメル塗料は、長い時間エナメル加工を施した生地同士をくっつけて保管していると、素材同士が貼り付いてしまう可能性があります。例えば、エナメルのバッグが2つあって、そのバッグを隣同士引っ付いた状態で長期保管していると、2つのバッグが貼り付いてしまい、それを引き離すことによって、コーティングが剥がれてしまうきっかけとなるかもしれません。エナメル品の服の場合は、畳まずにハンガーにかけて、その上から袋をかぶせたりするなどの対策が必要です。
まとめ
エナメル加工
- 油性のワニス(透明な塗膜)に顔料を加えて作られるエナメル塗料を生地の表面に塗布する加工
- 元々は革製品の傷を防ぐために開発された
エナメル加工に使われる生地
- リアルレザー
- フェイクレザー
- 織物
エナメル加工の特徴
- 美しい光沢感
- 深みのある色を出すことができる
- 高級感がある
- ツルツルした表面
- 汚れがつきにくい
- 防水性がある
- ムラになりにくい
エナメル製品のお手入れ方法
- ホコリや汚れを落とす
- 防水加工を施す
- エナメル専用のクリームで磨く
エナメル製品の保管方法
- 高温多湿での保管は避ける
- エナメル素材同士を密着させない
多くの有名ブランドがエナメル製品を取り扱っていることもあり、エナメル製品は高級品としての印象がありますよね。エナメル製品を身に着けると、背伸びしているような気分にもなります。美しい光沢をまといながら、しっかりメンテナンスも忘れずに長くずっと愛用できるようにケアしていきましょう。