ローン生地とは?メリットやデメリットとは?

「ローン生地」といえば、これからの春夏向けの季節にぴったりの素材のひとつです。

今回は「ローン生地」のメリットやデメリットについて紹介します。

目次

「ローン生地」とは?

「ローン生地」

「ローン生地」とは、コットンで作られた薄い平織り生地を指します。「ローン」は、フランス北部の町である「Laon」が、この生地の発祥であることから名づけられています。Laon地区では、元々はリネンを使用して作られていましたが、現在ではコットンで作られる「コットン・ローン」が主流となっています。

60~80番手のコットン糸で織られることが多く、打ち込みが甘く(糸密度が少なく)製織されることが特徴です。逆に、打ち込み本数が多い細番手高密度の平織生地はタイプライターと呼ばれています。

番手とは、紡績した糸の太さの目安を表わす単位で、一定の重量に対して、長さがいくらあるかで表わします。数字が大きいほど糸は細くなります。定番素材として最も流通しているのは60番手のものとなり、打ち込み本数も90本×88本が定番の規格となっています。80番手の方がより薄く、エレガントな生地に仕上がります。80番手以上に細い番手を使用すると、透け感が強くなり、肌にも張り付きやすかったりと使いにくい素材と感じる可能性があるので、番手は重要なポイントになります。

「ローン生地」と「シフォン生地」の違いとは?

「ローン生地」とよく比較される生地としては、「シフォン生地」が挙げられます。どちらも薄くて透け感のある平織物であることは共通していますが、主に使用する原材料に違いがあります。ローン生地は主にコットンを使用しているのに対して、シフォン生地はシルクを使った生地です。実際のところシフォンは、シルクが高級のため、ポリエステルなどの合成繊維も使われるようになってきているので、明確な違いがあやふやにはなってきています。

(写真:ポリエステル シフォン)

「ローン生地」の特徴

薄く透け感がある

ローン生地は、コットン生地の中でも薄い生地で、シーツなどにも使われるコットン製のシーチング素材よりも薄い生地です。透け感がある生地のため、見た目も涼し気で清涼感のある素材です。春夏向けに特に活躍する素材です。番手を細かくすれば、するほど透け感が増すので、製品の用途によって、番手選びをしてみるのもいいでしょう。

ハリがある

薄手な生地ですがペラペラの生地ではなく、ハリ感があるので、高見えする生地です。空気の入ったようなふくらみ感もあり、ゴツゴツした印象を与えません。リネンはハリが強く、少しシャリシャリした硬さがありますが、コットン・ローンの場合はそれほどシャリ感も強くないので、衣料品には使いやすい適度なハリ感があることが特徴です。

ドレープ性がある

コットン・ローンは、リネンほどの強いハリがないので、ほどよい落ち感とドレープ性があります。ほどよく体にフィットするので、美しいシルエットをキープできるとして、婦人服にもよく使用されます。リネン製に比べるとハリ感とドレープ性のバランスがよく、万人受けする風合いを持っています。

さらっとした肌触り

リネンの風合いを表現するために作られたので、リネンのようなさらっとした質感があります。汗をかいてもべたっとしないので、着心地のいい生地です。

吸湿性に優れている

コットン・ローンは、コットンの特徴でもある吸湿性に優れています。汗の吸収をしてくれるので、肌に直接触れるトップスやインナーとしても適しています。

通気性・速乾性に優れている

薄手の生地であるローン生地は、通気性がいいので、汗をかいても衣服内のムレを外に追い出してくれます。吸水性も高いですが、さらに乾くスピードも速いので、汗冷えや不快な着心地から防いでくれます。そのため、見た目だけではなく、機能面でも春夏向けの素材としてピッタリです。

滑らかで柔らかい肌触り

さらっと感だけではなく、滑らかさも持ち合わせています。ローンは、細番手で作らせる生地です。コットン糸は、細くなればなるほど、滑らかで柔らかい生地に仕上がります。また繊維長が細いことで、1本1本の糸が細く柔らかくなります。そのため、ソフトな風合いで肌触りのいい生地に仕上がります。

マットな見た目

コットンは短繊維のため、フィラメント糸に比べるとマットな仕上がりになります。ツヤ感がない分、ナチュラルな見た目と、落ち着いた印象を与えることができます。細番手を使用している分、太番手で毛羽感のあるコットンと違い、ヘアリー感やゴワつきのある印象もなく、クリーンな表面をしている点も魅力です。

シーンを選ばない万能素材

特段強い光沢や奇抜な印象もなく、かつハリや落ち感も備わっているローン生地は、フォーマルから普段使いまでシーンを選ばずに使用することができます。

フェミニンな印象を与える

透け感とほどよいハリ感に加えて、ドレープ性もあるローン生地は、フェミニンな印象を与える生地です。

プリントや刺しゅうとも相性がいい

ローン生地は、女性向け春夏服や小物に使用される機会が多いため、花柄などのプリントや刺しゅうを施されることもあります。平織物のため、凹凸が少なくフラットな表面のため、プリント柄がキレイに載ります。

プリントや刺しゅうは華やかさを一気に上げてくれるとして、ポイント使いにもなります。着心地もよく、着る場面を選ばない使いやすい生地のため、無地の生地と柄生地の両方の生地を持っていても使いまわししやすい生地です。

リバティプリントのタナローン

リバティプリントの人気素材の一つがタナローンです。名前の由来は、長綿の産地であったエチオピアのタナ湖にちなんでつけられています。ユニチカの開発素材であり、ユニチカテキスタイル常盤工場で生産されている70番手×100番手の繊細な糸使いのローン生地でプリント映えがする規格となっています。

ローン生地のデメリット

シワに注意

コットン100%で作る場合、シワが入りやすい生地になります。洗濯後の乾燥や手入れを注意するか、アイロンがけが必要となる可能性があります。他の繊維と組み合わせているなどの、シワが入りにくい工夫がされた生地もあるので、購入時は素材の特徴を確かめておくのがベターです。

強度に注意

細番手で薄く作られるローン生地は、強度にかけている点がデメリットとして挙げられます。普段使いで切る分は問題ないですが、スポーツなどの激しい場面や子ども用の服には向いていないでしょう。ガーゼよりもきめ細かい繊細な生地です。強く引っ張ると破れる可能性もあるので、動き回ることが多い場面では着用しない方がいいかもしれません。また、洗濯時はネットに入れた方が生地へのダメージを軽減することができるでしょう。

ローン生地が向いているアイテム

透け感のある柔らかい平織生地という特性を活かし、婦人用のブラウス・シャツを作られることが多いです。布小物として、スカーフやハンカチ用途にもよくつかわれています。

特に70/1、80/1などの細番手ローンは透け感を活かした重ね着用のアイテムなどによく採用されています。

まとめ

POINT

ローン生地

  • コットンで作られた薄い平織り生地
  • フランスのLaon地区が発祥

「ローン生地」と「シフォン生地」の違い

  • ローン生地:コットン素材
  • シフォン生地:シルク素材

ローン生地のメリット

  • 薄く透け感がある
  • ハリがある
  • ドレープ性がある
  • さらっとした肌触り
  • 吸湿性に優れている
  • 通気性・速乾性に優れている
  • 滑らかで柔らかい肌触り
  • マットな見た目
  • シーンを選ばない万能素材
  • フェミニンな印象を与える
  • プリントや刺しゅうとも相性がいい

ローン生地のデメリット

  • シワに注意
  • 強度に注意

ローン生地が向いているアイテム

  • シャツ、ブラウスなどのトップス素材
  • ハンカチ、スカーフなどの布小物

ローン生地は、見た目の清涼感に加えて、吸放湿性にも優れている素材なので、これからの季節にもってこいの生地です。使用用途も広く使いやすい素材なので、ぜひ手に取ってみてはいかがでしたでしょうか?

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