絡み織とは?代表組織や特徴とは?

「絡み織(からみおり)」ってご存知でしょうか?ループのような目があるものもあり、編み物のような見た目をしていることから、織物であることに気付かなかった方もいるかもしれません。

絡み織は、透け感があり、涼し気な見た目をしているので、これからの季節にピッタリの織り方です。

今回は、そんな絡み織にフォーカスして、紹介したいと思います。

目次

絡み織(からみおり)とは?

絡み織(からみおり)

絡み織(からみおり)とは、別名「綟り織(もじりおり)」や「搦み織(からみおり)」とも呼ばれる織物の織り方の一種です。その名の通り、糸を絡ませながら織っていく組織で、織物の三原組織である「平織」・「綾織」・「朱子織」には属さない織り方です。経糸が絡み合って、その間に緯糸を通して作られます。

絡み織の代表組織

絡み織には、代表組織と言われる「紗(しゃ)」・「絽(ろ)」・「羅(ら)」があります。それぞれどのような組織なのでしょうか?

からみ織の代表的な織物組織

紗(しゃ)

紗(しゃ)は、組織全体が絡み組織となっているので、透け感の強い生地に仕上がります。緯糸1本に対して、強撚糸の経糸を2本ずつ絡ませて織り上げた組織です。中国では、唐から宋の時代に流行した織り方で、日本では平安時代に夏物の衣料向けに使用されていたと記録されています。ぼんやりした様子や、陰りを表す表現として、“紗(しゃ)がかかる”と言われることがありますが、これは透け感のある織物の「紗」から来ています。

絽・羅と比較しても、1番透け感の強い仕上がりとなります。

絽(ろ)

絽(ろ)は、紗の変形として生み出された組織です。絽は、絡み織の組織と平織組織を掛け合わせて作られます。絡み織の箇所は透け感があり、平織の箇所は透け感がないことから、ボーダー調の見た目をしています。絽は、3本、5本、7本奇数の段の平織組織に、2本の経糸を絡ませて織っていきます。3本、5本、7本おきに絡み織を混ぜることから、それぞれ「三本絽」、「五本絽」、「七本絽」と呼ばれます。

茶道や華道で着られる着物や喪服等、フォーマルな場で着用される衣料素材には、絽組織は多く見かけられます。

羅(ら)

羅(ら)は、紗や絽が経糸2本を絡み合わせるのに対して、3本以上の奇数の経糸を絡ませて作られます。網のような織目になります。3本の経糸を絡めて作るものを「三本羅(網捩)」、3本の経糸を絡めて作るものを「五本羅(籠捩)」と呼びます。

羅は、中国では漢の時代に誕生したとされていて、日本では飛鳥時代に輸入されたと伝えられています。当時の羅の織物は正倉院に保管されているようです。奈良時代には装束に使われていたようですが、複雑な組織のため筬を使う織機では生産ができず、特別な機械で織るため、技術がうまく伝統できずに、奈良時代の途中からは衰退してしまったようです。現在の技術でも、機械での羅組織の生産は難しく、通常の機械で織ることができる紗や絽に比べると生産量は少ない珍しい織物になっています。

絡み織の素材

絡み織で作られる「紗」・「絽」・「羅」は、元々はシルクを使った絹織物だったようです。昔は高官の羽織り物など、身分の高い人が使用できたようです。現在では、シルク以外にも、コットン製やポリエステル製、レーヨン製などで作られることが多いようです。一つの生地に複数の素材を掛け合わせて作ることもあります。

絡み織の特徴

透け感のある見た目

絡み織の最大の特徴は、透け感のある見た目です。糸を絡ませることで、隙間を作りながら織ることができます。織り方を工夫することで、部分的に透け感を作ったり、透け感の度合いを調整することもできます。違い組織を混ぜることで、模様や柄を付けることもできます。

通気性が高い

織り目が大きく開いている絡み織は、通気性も抜群です。風を通すので、衣服内が蒸れることはなく、快適な着心地をキープできるでしょう。清涼感があるので、夏物の服や着物などによく使用されます。

速乾性が高い

通気性が高いことで、生地が濡れてもすぐに乾くことができます。汗をかいても汗ジミを心配する必要もないので、夏場には強い味方です。

シワになりにくい

絡み織は、編み物のように織目がループ状になっていることから、シワになりにくい生地です。シワがないと清潔感が出るので、身だしなみにはかかせないチェックポイントですよね。シワになりにくいので、洗濯後もアイロンは不要で、イージーケアとして優秀な組織です。

織り目スリップが起きにくい

密度が甘い透け感のある織物だと、通常はスリップに懸念があります。スリップが起きると、部分的に目が曲がったり組織が破壊されるので、見た目が悪くなります。サテンなどの生地もスリップしやすく、不安定な組織の場合は、指で左右に引っ張ると、目がずれ切ってしまい、元に戻せないことがあります。

絡み織の場合は、透け感や目の隙間が空いていますが、経糸がしっかり緯糸に絡みついているので、スリップが起きにくい生地に仕上がります。不安定そうな組織に見えて、しっかりとした耐久性があるのです。

立体的な生地に仕上がる

隙間が大きく開いた部分と、しっかり目が詰まった箇所で構成されているので、凹凸がはっきりしています。立体的な見た目をしているので、生地に奥行きを感じたり、高級感のある見た目に仕上がります。

隙間のある組織と、凹凸があることで、肌への接地面積が少なく、蒸れにくい生地を作ることができます。

模様や柄をつけられる

絡み織と様々な組織を組み合わせることで、模様をつけることができます。透ける箇所と透けない箇所を活かして、デザインすることで、一気にファッショナブルな生地に仕上がります。経糸と緯糸の太さを変えたり、色を変えることで、印象を大きく変えることもできるのが、絡み織の面白いところです。

組織で模様をつけられるので、ジャガード織物のように仕上がります。ジャガードの場合は、絡み織ほど、隙間(透け感)を作ることができないので、絡み織ならではのデザインを作ることもできます。

まとめ

ほとんどの織物は、三原組織で作られることが多いので、あまり絡み織を目にする機会は少ないかもしれません。見た目にも、機能性にも優れているので、ぜひ注目してみてはいかがでしょうか?

POINT

絡み織

  • 糸を絡ませながら織っていく織物組織

絡み織の代表組織

  • 紗(しゃ)
  • 絽(ろ)
  • 羅(ら)

絡み織の素材

  • 元々は絹織物
  • 多様化により、シルク・コットン・ポリエステル・レーヨンなどが一般的な素材

絡み織の特徴

  • 透け感のある見た目
  • 通気性が高い
  • 速乾性が高い
  • シワになりにくい
  • 織り目スリップが起きにくい
  • 立体的な生地に仕上がる
  • 模様や柄をつけられる

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