
ストレッチ性があることで、ストレスなく着られるニット。愛用している方も多いでしょう。
ニットの中でも、「ジャージー」と名付けられた服を見ることはありませんか?体操服のようなジャージを思い浮かぶ方もいらっしゃるかもしれません。正確にいうと、ジャージーは、運動用のジャージ服を指しているわけではなく、ニットの組織名を指します。
今回は、そんな「ジャージー組織」とはどのような組織なのかについて、深掘りしていきたいと思います。
ジャージー組織とは?
ジャージー組織
ジャージー組織とは、ニットの組織の一つです。英語でもそのまま「Jersey」または、「Circular Knit」と呼ばれています。日本語では、ジャージー組織以外にも、「丸編み」や「メリヤス編み」などとも呼ばれています。この丸編みとも呼ばれるように、丸編み機で編まれたものが、ジャージー組織としていることが一般的です。
丸編み機は円型の編み機で、筒状の編み機の中をグルグルと回転しながら編み目のループがつながれていきます。円形状に編み上げられた生地は、最後にカットして切り開き、反物にします。生地ロスも少なく、また生産ロットも抑えられるので、小ロットオーダーにも適しています。無駄がなく、余剰な在庫を抱える必要がない点は、エコとも言えますね。
ニットには、経編みと緯編みがあるのですが、このジャージー組織は緯編みに該当します。緯編みは経編みと比較してもストレッチ性が高い生地です。

ジャージー組織の発祥

ジャージー組織は、イギリスとフランスの間にあるジャージー島で生まれたと言われています。ジャージー島と聞くと、ジャージー牛乳が思い浮かびませんでしたか?その通り、ジャージー牛乳発祥のジャージ島は、実はニットのジャージ組織の発祥の地でもあったのです。
ジャージー島では、牛の毛を使って防寒用のセーターを作っていたそうですが、それがジャージー組織として、ヨーロッパさらに全世界に広がっていきました。ジャージーは牛の毛から始まり、ウールなどの素材が使用されていました。広められた当時は、ジャージーは「ウールのニット」を指していたそうですが、現在では定義が広がり、丸編み組織全体を指すように解釈されています。動きやすく、しっかり編みこまれた生地は、スポーツ向けの衣料品にもよく使用され、アメリカなどではトレーニングウェアそのものを「ジャージ」と呼ぶようになり、定義のあり方も多様化しています。
ジャージー組織の種類と特徴とは?
ジャージー組織はなんといってもストレッチ性が高い生地です。ニット全般に該当しますが、ループ状の輪っかを作りながら編むので、目が詰まる織物に比べてシワになりにくい特徴があります。
ジャージー組織の中でも大きく分けて、「シングルジャージー」と「ダブルジャージー」に分けられます。それぞれどのような違いがあるのでしょうか?
シングルジャージー

「シングルジャージー」とは、主に竺編み(平編み)の組織を基本に、この平編みの変化組織(パール編みなど)も含まれています。天竺編みは、緯編みの中でも単純な配列組織で、一番多く編まれる組織の一つです。私たちが持っている肌着やニット服にも多く用いられる編み方になります。
シングルジャージーは、編機の針が一列のシングル・ニードルで編まれた生地を指します。「シングルニット」などとも呼ばれます。

基本組織である天竺の編み目は、全て同じ方向に引き出して編まれます。表と裏の編み地が異なり、表は同じ編み目が整列、裏は出っ張りがある編み目です。表側を表天竺、裏側を裏天竺と表現します。薄くて軽いことが特徴で、糸の使用量も一番削減することができます。
天竺編み自体ストレッチ性が高いですが、さらに弾性繊維であるポリウレタン繊維の糸を使用した天竺編みのことを特に「ベア天ジャージー」や「ベア天(竺)」などと呼ばれてます。ポリウレタン繊維のおかげで伸縮性が高まり、さらにハリ感が出ます。ポリウレタン繊維は、キックバック性を高めてくれるので、生地が伸びっぱなしにならずに、元の形状に戻る役割もあります。
天竺編みは軽くてストレッチ性が高いことで、スポーツ向けから肌着、一般衣料にまで万能に使用されています。Tシャツの多くが天竺編みの組織を用いられます。私たちがよく浮かべるようなトレーニングウェアっぽさとは遠いですが、多くのTシャツもこのジャージー組織に該当します。

ダブルジャージー

「ダブルジャージー」とは、編機の針が二列のダブル・ニードルで編まれた生地を「ダブルジャージー」といいます。主に、ゴム編みやインターロックジャージーを指します。両面編みやスムースなどとも呼ばれ、二列のダブル・ニードルで表と裏の両面から編んでいます。「ダブルニット」とも呼ばれます。
インターロックジャージーは、凹凸が少なく滑らかな表面であることから「スムース」とも呼ばれています。二重になっているので、厚みとハリがあります。シングルジャージーに比べて重たくはなりますが、ヘタらないハリ感と弾力性のある生地は、ダブルジャージーだからこそ生み出せる風合いです。編み目間が詰まっているので、型崩れしにくく、目面も整うことが特徴です。目が詰まっている分、ストレッチ性がシングルジャージーより劣りますが、ニット自体が伸びるので、スポーツ用途にも使用されます。学校の体操服などのジャージーは、ダブルジャージーの組織が一般的なようです。透けにくいことから、パンツ用途やアウタージャケットなどにも使用されます。
「シングルジャージー」と「ダブルジャージー」の違い以外にも、糸種によってもそれぞれの良さが出ます。流通量が多く安いポリエステル素材から、コットンやシルクなどの素材を使うことで、それぞれの風合いの違いやアドバンテージを楽しんでみてはいかがでしょうか?
まとめ
ジャージー組織
- 丸編み機で編まれた緯編みの組織の総称
- ジャージー島発祥の組織
ジャージー組織の種類
- シングルジャージー:編機の針が一列のシングル・ニードルで編まれた生地
- ダブルジャージー:編機の針が二列のダブル・ニードルで編まれた生地
ジャージー組織
- 丸編み機で編まれた緯編みの組織の総称
- ジャージー島発祥の組織
ジャージー組織の種類
- シングルジャージー:編機の針が一列のシングル・ニードルで編まれた生地
- ダブルジャージー:編機の針が二列のダブル・ニードルで編まれた生地
当初は「ウールのニット」を指していたジャージーですが、アメリカなどではトレーニングウェアを指す言葉に使用されています。そして、今では丸編み全般を指すようになり、Tシャツもジャージー組織.. 多様化が進み、なんだか複雑な経緯がありますが、なんとなくでもジャージー組織の特徴を覚えてもらえると嬉しいです。
身の回りの多くのニット素材が、ジャージー組織でできています。生活に欠かせない組織と言っても過言ではないでしょう。


