
タイベック®ってご存知でしょうか?
紙のように軽いが、濡れても破れず、強度があるちょっと不思議な素材です。
新型コロナウイルスが猛威を振るっていた時期、防護服を着た人の姿をマスコミでご覧になった方も多いと思いますが、タイベックは防護服にもよく使われる素材です。
また、クラフト素材など雑貨関係でもよく使われている素材でもあります。資材としての需要のほうが、大きい素材であるかと思います。
今回は、タイベック®に焦点を当てたいと思います。
タイベック®とは?
タイベック®の組成、組織は?
タイベック®(Tyvek)を一言で説明するとアメリカの化学メーカー、デュポン社によって1967年に開発された高密度「ポリエチレン」を原料とした「不織布」になります。
ポリエチレンは、プラスチック素材の一種で石油などを原料にして化学的に製造された合成樹脂で、レジ袋をはじめ、洗剤や化粧品の容器などに使われることが多い素材です。
不織布とは一般的な生地の分類である布帛(織物)やジャージ(編み)とは違い、繊維を接着剤や熱で結合させてシート状にしたものです。ファッション業界では、東レのウルトラスェード(エクセーヌ)などが有名です。
タイベック®は、一見すると紙のような質感を持ちながら、繊維のような柔軟性と強度を備えています。このユニークな素材は、建築資材や医療包装、工業用途など幅広い分野で使用されています。
タイベックは、無数の細かいポリエチレン繊維が絡み合って構成されています。これにより、軽量でありながら耐久性が高く、撥水性や通気性といった特性を持つ素材が生まれます。また、化学的に安定しているため、紫外線や多くの化学物質への耐性も優れています。
この素材の歴史は、工業用途からスタートしました。建築現場で使用される防湿シートや、医療器具を包む滅菌包装として採用されていたタイベックは、その後、デザイン性と機能性を兼ね備えたファッション素材としての可能性が広がりました。その背景には、環境意識の高まりや、素材の軽量性・耐久性を重視する現代のライフスタイルの変化があります。
タイベック®の特性と利点
タイベック®がファッション業界で注目される理由は、その独自の特性にあります。ただし、タイベック®には限界も存在します。この章では、タイベックの持つ主な利点と課題について詳しく解説します。
軽量性と耐久性
タイベックは非常に軽量でありながら、引き裂きや摩耗に強い高い耐久性を備えています。たとえば、バッグやアウターウェアといったファッションアイテムでは、日常の使用に耐える丈夫さが求められますが、タイベックはその条件を満たす素材です。また、軽さのため、持ち運びに優れ、旅行やアウトドアアイテムに最適とされています。
耐水性と防護性
タイベックの優れた特徴のひとつは、その耐水性です。水を通さないため、雨や湿気から中身や着用者を保護することができます。ただし、通気性は防護服に使用されるほどですので、あまりなく一般的な衣服用途に使用すると蒸れが発生するため、鞄、雑貨などのアイテムで使用されることが多いです。
環境への配慮とリサイクル性
タイベックは高密度ポリエチレンで作られており、リサイクルが可能な素材です。また、焼却した際も、水と炭酸ガスに分解され、環境負荷の低い素材と言えます。また、耐久性の高さから、製品の寿命を延ばし、結果的に消耗品の買い替えを減らすことにも貢献します。
独特の質感とデザイン性
紙のような見た目と手触りを持つタイベックは、一般的な布や合成素材にはない独特の質感を提供します。この特徴を活かして、クラフト感やミニマルデザインを強調した製品が多く作られています。ただし、タイベックの印刷適性は高くありません。特に複雑なデザインや鮮やかな色合いを再現するのは難しく、プリントを施す場合には特殊な技術が必要です。このため、多くのブランドはタイベックの自然な風合いを活かしたシンプルなデザインを採用しています。
耐薬品性と紫外線耐性
タイベックは多くの化学薬品や紫外線に対する耐性を持っています。このため、アウトドアや特殊環境での利用にも適しており、工業用ウェアやアクセサリーとしても活用されています。これらの特性はファッション用途でも役立ち、耐久性や実用性を求める消費者に支持されています。
ファッション業界・繊維業界でのタイベックの活用
プリンタブルメディア(P下)としての利用
タイベック®は、組成がポリエチレンのため、一般的な捺染工場の設備では染色できませんが、印刷(プリント)加工が可能で、UVオフセット印刷、UVインクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、ラテックス印刷での手法がとられています。
コロナ放電処理により表面に細かな傷をつけ、帯電防止処理を施すことで、インクの定着性を高めた印刷用のタイベック®の品番が販売されています。無地クラフトカラーの雑貨などで販売されているタイベックもプリントで加工されているものが多いです。注意点として、印刷用ではない、タイベック®と比べると耐水圧に劣ります。


スリットヤーン織物でサンシェードとして利用
タイベックは、不織布なのに、織物とはどういうことか?と疑問に思った方も多いと思います。
タイベックは、透湿防水性、遮熱性に優れているのですが、織物ではなく、不織布のため、通気性は低く、そのまま使うと強風などを受け流すことができないという欠点がありました。そこで、奈良県三宅町の機業(製織工場)である日本テキスタイルは、シート状のタイベックをスリットして糸状にしたタイベックのスリットヤーンにしたものを使って織布することで、その欠点を解消しました。
日本テキスタイルは、カラミ織りの設備を持つ工場です。カラミ織りとは通常の織物と違い経糸を捻じって交差させながら一本一本織り上げていくため、緯糸がほつれにくく、経糸がしっかり緯糸に捻じられているため、生地に力がかかっても耐えることが出来ます。この技術をもつ同社だから、できたユニークな製品開発になっています。


まとめ
タイベック®:デュポン社によって開発された高密度ポリエチレン不織布。
タイベック®の特性と利点
- 軽量性と耐久性
- 耐水性と防護性
- 環境への配慮とリサイクル性
- 独特の質感とデザイン性
- 耐薬品性と紫外線耐性
ファッション業界・繊維業界でのタイベックの活用
- プリンタブルメディア(P下)としての利用
- スリットヤーン織物でサンシェードとして利用

