羊の王様、メリノウールとは?特徴や産地別の種類とは?

「メリノウール」はウールの中でも特に有名ですよね。聞いたことがある人やメリノウール素材の衣料品を持っている人も多いのではないでしょうか?世界では、約3,000種類の羊が存在するのですが、その中でも、メリノウールが最高品質であると言われています。いったいどのような理由があるのでしょうか?

目次

羊の王様、メリノウールとは?

メリノウールとは?

「メリノウール」は、メリノ種の羊から採られる羊毛です。日本で輸入される羊毛のうち、80%近くがメリノウールと言われるほど、日本でも馴染みのある素材です。大手の有名ブランドでも、メリノウールとタグを付けてアピールされています。

メリノウールの生産地とは?

メリノ種の羊は、主に「オーストラリア」「ニュージーランド」「フランス」で生息しています。特にオーストラリアは、メリノウール全体の中でも、生産量が一番多く、全体の40%ほどを占めていると言われています。生産地によって「オーストラリア・メリノ」や「フランス・メリノ」などと呼び分けされています。産地が変わることで、微妙に風合いや特徴が変わります。

「オーストラリア・メリノ」

オーストラリア・メリノは、スパニッシュ・メリノを交配して、オーストラリアの気候や環境に適応できるような品種改良がされました。生産量が一番とあって、メリノウールの中でも、最高品質であると言われています。

オーストラリア・メリノには、繊維の細さによって、ランク分けがされています。

一番細いスーパーエクストラファインメリノは、繊維の直径が16.5~17.5μmで、メリノウールの中でも高級ゾーンで特に滑らかな肌触りです。エクストラファインメリノは直径18.5~19.5μm、ファインメリノは直径20~22μm、ストロングメリノは直径23~25μmと、繊維の細さでランクが分けられます。

オーストラリア・メリノの特徴

美しい白さ
オーストラリア・メリノは、メリノウールの中だけに留まらず、3,000種もあるとされる羊全体の中でも特に白く美しいと評価されています。

耐久性が高い
毛質が丈夫で、耐久性を持ち合わせています。

繊維が細い
繊維が細く、柔らかさがあります。ウール全体の中でも、オーストラリア・メリノの繊維は特段に細く、しなやかです。

捲縮が強い
捲縮が強いので、弾力性とふんわりとした仕上がりになります。

保温性に優れている
繊維の捲縮が強いことで、空気をよりよく含み温かい熱気を逃しません。断熱性に優れているので、夏は涼しく冬は暖かい特徴があります。

「ニュージーランド・メリノ」

オーストラリアの次に品質がいいと評価されているのは、隣国でもあるニュージーランドのメリノウールです。生産量は多くなく、流通量は少ないので、貴重な繊維です。山岳放牧地の環境で育てられ、適度な降水量と四季の変化に恵まれた国で、先進的な放牧技術で育てられた羊は、豊富な栄養を摂取して優れた品質のウールが採れます。

ニュージーランド・メリノの特徴

美しい白さ
オーストラリア産メリノウールの特徴と近く、際立つピュアな白さと繊維が細く柔らかさがあります。

繊維が細く柔らかい
繊維の直径は、19~24μm程度で、オーストラリア・メリノのファインメリノあたりに該当する細さです。

均一性のある品質
先進的な管理がされているニュージーランド・メリノは、品質の均一性には定評があります。

ミュールジングを禁止している
ミュールジングとは羊の臀部などに糞や虫が湧いてしまうことで病気になることを防止するために、麻酔なしの状態で皮膚や、肉の一部を切り落とす行為を指します。病気を防ぐためとはいえ、羊に痛みが伴い、負担があるとして、動物愛護の観点から、批判する意見が多くあがってきていました。メリノ種には、ミュールジングが行われているとされていますが、ニュージーランドでは、2018年にミュールジングを禁止して、自主的にニュージーランド・メリノでも廃止しています。

ミュールジングに反対の意見を持つ方は、ぜひこの観点からも素材選びを意識していただきたいです。

「フランス・メリノ」

フランスメリノは、ニュージーランドメリノと同様に、限定的な生産地でのみ飼育されているため、生産量にも限りがあります。供給量の少なさから「幻のウール」とも呼ばれています。フランス・メリノの特徴は、ふっくらと厚みがあり、温かいので、布団に使用されることが多いです。品質の均一性に乏しいため、衣料向けにはあまり使用されず、ダウン用途の中綿などに使用されます。

フランス・メリノの特徴

ふっくらとかさ高性がある
ふっくらと厚みがあるので、クッションのような反発性があります。

保温性に優れている
かさ高のため、空気を多く含み、保温性も優れているので、布団やジャケットの中綿用に使われます。

「ウール」と「メリノウール」の違いとは?

繊維が細い

ウール全体に比べて、メリノ種のウールは繊維が細く、柔らかさがあります。

チクチクしない

一般的なウールより繊維が細いので、チクチクとした感触はありません。直接肌に触れても、ごわつかず、着心地の良さをキープできます。

優れた保温性

メリノウールは特に保温性に優れていると言われています。他のウールより捲縮が細かく、繊維同士が絡み合って、空気を多く溜め込むことができます。体温の熱を逃がさないので、高い保温効果があります。

通気性が高い

一般的なウールは、保温性に優れて、秋・冬向けに使用されることが多いです。メリノウールの場合は、通気性も高いので、年間を通して使うことができます。

熱伝導率が低い

メリノウールは特に空気を多く含むため、熱伝導率が低く、夏は涼しく、冬は暖かいことが特徴です。

防臭力が高い

メリノウールは、獣毛の天然繊維で、免疫機能を持ち合わせているので、繊維自体に防臭力があります。繊維がキューティクルの膜で覆われているので、汚れがつきにくく、さらに臭いの原因となる細菌を抑制することができるので、防臭性に優れています。

まとめ

POINT

メリノウール

  • メリノ種の羊から採られる羊毛

オーストラリア・メリノ

  • 美しい白さ
  • 耐久性が高い
  • 繊維が細い
  • 捲縮が強い
  • 保温性に優れている

ニュージーランド・メリノ

  • 美しい白さ
  • 繊維が細く柔らかい
  • 均一性のある品質
  • ミュールジングを禁止している

フランス・メリノ

  • ふっくらとかさ高性がある
  • 保温性に優れている

「ウール」と「メリノウール」の違いとは?

  • 繊維が細い
  • チクチクしない
  • 優れた保温性
  • 通気性が高い
  • 熱伝導率が低い
  • 防臭力が高い

ウールの中でも優れていると言われるだけあって、魔法の着心地を実現してくれるようなさまざまな機能を素材自体が持ち合わせています。

そしてメリノ種と一言で言っても、たくさんの種類があるんですね。産地が変われば、それぞれ違う特徴や性質を持ち合わせています。これらの特徴を使い分けて素材選びをするとなると、かなりの繊維通ですね。

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