繊維業界のソーシャルグッド動向とは?

ソーシャルグッド(Social Good)って最近よく耳にする機会が増えたのではないでしょうか?

繊維業界でもソーシャルグッドに注目され、社会貢献のためにも、企業や消費者への取り組みも本格的になってきました。今回は、繊維業界の生産者側がソーシャルグッドに繋がる取り組み事例について、紹介したいと思います。

目次

ソーシャルグッド(Social Good)とは?

ソーシャルグッド(Social Good)

ソーシャルグッド(Social Good)とは、地球環境や地域コミュニティなどの「社会」に対してプラスの影響を与える活動や製品、サービスの総称を指します。コロナウイルスによって、本当に大切にすべきものを考える機会が増えたことによって、繊維業界でも社会貢献に関わる製品への注目が高まっています。

ソーシャルグッドは、SDGsの発足と同時頃に、よく使用されるワードの一つとなりました。

繊維業界におけるソーシャルグッドの具体例とは?

繊維業界のソーシャルグッドに関わる例は、下記のようなものがあげられます。

循環型資源の利用

資源は有限です。乱用を続けると、資源の枯渇や生態系に影響を及ぼす可能性もあります。繊維業界でも、以前から新しく生産する量を減らして、リサイクルすることによって、循環して資源の再利用を行う取り組みをしています。

リサイクル原料で作られた商品が店頭で並ぶ機会も増えましたが、多くの資源が生産工程から廃棄されたものの再利用となっています。実際に私たちが身に着けている服や製品からリサイクルされているのは、まだそこまで多くありません。次のステージとして、全ての製品からリサイクルをすることができれば、廃棄量や資源の循環に大きく貢献するでしょう。

ファストファッションからスローファッションへ

自粛生活によって外へ出る機会が減ったり、リモートワークが発展したことによって、トレンドにフォーカスしたファッションよりも、いいものを長く着ることに重きが置かれるようになりつつあります。以前は大量生産の安いコストで、次から次へと新しいものを生産して、消費者の手に渡るファストファッションの動向強くありました。安く購入することが可能なため、品質が悪いものも多く、製品寿命が短いことで、買い替えのサイクルも早く、生産→廃棄が短期スパンで行われていました。常に大量生産を続けることで、在庫問題や生産工程による環境汚染が問題視されていました。

コロナウイルスによって、そのようなファストファッションからスローファッションへ動向が高まっています。いいものを買って長く着たり、リメイクなどによって製品寿命を延ばすことで、新たに購入するスパンを延ばすことが期待できます。その影響で、資源を抑制したり、廃棄される製品の量を減らすことができるため、環境負荷を抑えることができます。

普遍的で誰でも使いやすい製品作り

ファストファッションはトレンドをどんどん生み出して、新しいものに目が行きがちでしたが、現在では逆行して、普遍的な製品作りへの注目が高まっています。奇抜な製品スタイルやトレンドカラーなどの製品は、流行が過ぎると着られなくなって、廃棄されることがありました。誰にとっても使いやすい製品スタイルや、ブラック・ホワイトなどのベーシックカラーは流行に左右されにくく、長い間着ることができます。そうすることで、短期スパンでの買い替えを抑制することができるので、スローファッションにも繋がります。

製品スタイルやサイズ展開を減らす

フリーサイズやユニセックスなどで製品を販売する方が、多くのサイズ展開や、メンズ・ウィメンズ展開するよりも、在庫リスクを減らすことができます。フランスでは、アパレル業界の循環経済に向けて、2020年に「売れ残った衣服の廃棄を禁止する法律」が施行されました。衣料品の廃棄を減らすことができれば、廃棄物の焼却量の減少によるCO2 削減にも繋がります。それほど大量に新しい服が廃棄されているのが現状でした。このような廃棄問題を減らすためにも、そもそも在庫を持つリスクを減らすことが重要です。

在庫を持たない方法として、オーダーメイドでの生産は、受注があってからの生産となるので、在庫を持つリスクがありません。自分の体にぴったりとフィットした理想のものが作れるので、タンスの肥やしになることがなく、サステナブルに繋がると言えるでしょう。

3Dモデリングの活用

3Dモデリングとは、3D CGの作業の中で、ものつくりのデザインや詳細を確認するための作業ツールです。パソコンを使って、デザインや生地のイメージを作ることができるので、実際に生地を作ったり、副資材を集めてガーメントを作ったりするよりも、サンプル作成の生地ロスや廃棄を減らすことができます。サンプルを数着作るだけでも、ミニマムロットで加工した場合に、余剰在庫が発生する可能性があります。サンプルを実際に作るのではなく、デジタル上でイメージを作成することによって、無駄な在庫を減らすことに繋がります。

さらに、3Dモデリングは、大幅なリードタイムの短縮ができることも利点です。

パターンロスを減らす

服飾を作る上で重要な型取りの作業ですが、生地からデザインに沿った型取りで多少なりともカットロスが発生します。この工程で、極力ロスが出ないように最大限に生地を利用することで、ロスや廃棄を減らすことで、サステナブルに繋がります。

また、ホールガーメントの編み機は必要最低限の原料を使用して、計画的に1着の服を作り上げることが可能です。ホールガーメントの編み機を使用することで、裁断・縫製の工程を省略することができ、生地のカットロスを大幅に抑えることができます。生産効率は悪くなるため、コスト面やリードタイムではデメリットはありますが、環境にやさしい生産法として注目されています。

まとめ

POINT

ソーシャルグッド(Social Good)

  • 地球環境や地域コミュニティなどの「社会」に対してプラスの影響を与える活動や製品、サービスの総称

繊維業界におけるソーシャルグッドの具体例

  • 循環型資源の利用
  • ファストファッションからスローファッションへ
  • 普遍的で誰でも使いやすい製品作り
  • 製品スタイルやサイズ展開を減らす
  • 3Dモデリングの活用
  • パターンロスを減らす

ソーシャルグッドの活動は、今後とも活発化すること間違いないでしょう。今回は、生産者サイドでの事例を紹介させていただきましたが、私たち消費者一人ひとりも意識して協力することが、環境を改善するには必要不可欠です。本当に着る服なのか?原料由来はどこからか?購入することで、社会貢献に繋がるのか?購入する前に、少しでも頭の中で考えてみましょう。

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