夏に大活躍の繊維「COOLMAX®(クールマックス)」をご存じでしょうか?
暑い夏をしのぐために、さまざまな繊維が開発されています。その中でも、暑さ対策で開発された機能性素材である「COOLMAX®」は特に有名で、一度は店頭の製品タグなどで見たことがあるかもしれません。
今回は、「COOLMAX®」について紹介したいと思います。
「COOLMAX®」とは?
COOLMAX®
「COOLMAX®」とは、アメリカに本拠地を置くLYCRA社(ライクラ社)が取り扱う繊維の登録商標名です。1986年に高度な技術で開発された吸水速乾繊維です。汗を吸収して素早く発散することで、涼しくてドライな着心地を保つことができる夏場に大活躍の素材です。名前にある通り、最大限に涼しく快適に着られるように開発されました。多くのスポーツブランドやファッションブランドから愛用されています。
ライクラ社は他にも1958年に開発された自社の名前を取った「LYCRA®」が、スパンデックス繊維の中でも世界的に有名なブランドです。LYCRA®のブランドや商品タグは一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?繊維メーカーの大手から開発された繊維なら安心して使用することができますね。
引用:The LYCRA Company | Innovative Fiber and Textile Solutions
ちなみにCOOLMAX®がインビスタ社の商標と書かれる記事を見かけますが、分割や合併などのさまざまな歴史があったため、複雑になっているのが原因かと思われます。ライクラ社は、インビスタ社からアパレル事業をカーブアウトする形で設立された会社です。現在では、レナウンを買収したことで、その当時話題になった中国の山東如意科技集団がインビスタ社からライクラ社を買収して、山東如意科技集団の子会社になっています。
COOLMAX®の特徴とは?
高い吸水速乾性
なんといってもCOOLMAX®の特徴は、非常に優れた吸水速乾性です。使用される原料は、ポリエステルで、ポリエステルは適度な疎水性があるため、水をほとんど吸収しない性質があります。そのため、コットンなどの高い吸水力を持つ繊維に比べると、早く乾くことができます。
吸水力を高めるには、4つの溝を持つ異形断面糸にあります。この異形断面糸によって、通常の円形のポリエステル繊維と比べると、表面積が増える構造を持っているため、水分を素早く吸収することができます。高い吸水力と、速乾性を兼ね備えているので、汗を吸ってムレやべたつきを抑えて、ドライな着心地を保つことができます。
汗冷えしにくい
素早い吸水と速乾力は、汗冷えを軽減してくれます。汗をかいた後に、クーラーの効いた部屋にいると体がとても冷えますよね。汗をかいた後に服が乾かないと、暑さではなく寒さに悩むこともあるかと思います。また、暑い夏はもちろん、COOLMAX®は冬にも活躍します。雪山登山などは速乾性は非常に重要視されています。濡れたままの状態が長く続くと、凍傷を起こす危険があります。インナーなどにCOOLMAX®を使用して、常にドライな環境を作り出すことで、必要以上に体温を下げる心配もありません。
通気性がいい
COOLMAX®は優れた通気性を持ち合わせています。通気性がよくなると速乾性も高まるので、汗やムレを素早く外に放出することができます。通気性がいいと、風をほどよく通してくれるので、涼しく着ることができます。洗濯なども乾きやすい点もメリットです。
シワになりにくい
独特な形の異形断面糸を使用することで、シワの入りにくい生地に仕上がります。シワになりにくいので取り扱いしやすく、面倒なケアも減らすことができます。
同じ生地を使用して、無地とメランジの展開をすることも可能なので、印象の異なるバリエーションを増やしやすくなります。
イージーケア
化学繊維であるポリエステル繊維を使用しているので、ウォッシャブルで洗濯しても形状変化が起きにくく、さらにシワになりにくい特性を持っているので、取り扱いしやすい生地です。洗濯やアイロンかけの頻度が多くなると、以外に負担は大きいものです。
下げ札が使用できる
製品に下げ札があると消費者にとっても、どのような商品か理解しやすく安心して購入することができます。
COOLMAX®の用途例とは?
衣料品
COOLMAX®の高い吸水・速乾性機能は、スポーツウェアやビジネスシャツ、インナーなどさまざまな素材に愛用され、特に夏場で活躍するのも納得です。
マスク
最近では、COOLMAX®生地を使ったマスクが人気を高めていっているようです。マスクをするのが習慣化してきているものの、やはり暑い夏でのマスクは息苦しくしんどいですよね。COOLMAX®に接触冷感機能を付帯したマスクなど工夫が施されています。
寝具
寝ている間に人はコップ1-2杯程度の汗をかくと言われています。寝ている間に体温調整をする中で、寝汗は通常どの人もかいているのです。特に暑い夏は通常よりも多くの汗を出すことになるでしょう。そのような不快な暑さを和らげるためにも、COOLMAX®の素材は使用されているようです。
環境配慮素材「COOLMAX® EcoMade」
「COOLMAX® EcoMade」とは、環境配慮型のCOOLMAXシリーズです。このシリーズでは、100%リサイクル資源が使用され、ポリエステル繊維の廃棄物及びリサイクルペットボトルのいずれかを使用して、作られています。リサイクル資源を使用しても、従来のCOOLMAX®の機能性を保ったままなので、環境配慮に力を入れる企業からは高く評価されています。リサイクル資源を使用することで、約86%以上のエネルギー節約と、約77%以上のCO2削減に貢献すると推計されています。
さらにCOOLMAX® EcoMadeは、GRS(グローバル・リサイクルド・スタンダード)と呼ばれる国際認証に認定されています。GRSとは、“リサイクル含有物”、“加工流通過程管理”、“社会および環境慣行”、および“化学規制の第三者認証の要件”を設定する、国際的で自発的な完全製品基準です。リサイクル含有物の確認だけではなく、生産や労働環境も認証の対象となるため、GRS認証取得企業はクリアなサプライチェーンと高い基準で環境配慮に沿った生産を行っていると言えます。
COOLMAX®には、環境配慮素材以外にも、防臭加工が施されたものやマスク用に抗ウイルス加工がされたものなど、さまざまな追加機能をつけて販売されているものもあります。
COOLMAX®(クールマックス)まとめ
COOLMAX®
- アメリカに本拠地を置くLYCRA社が取り扱う繊維の登録商標名
- 1986年に開発された高度な技術で開発された吸水速乾繊維
COOLMAX®の特徴とは?
- 高い吸水速乾性
- 汗冷えしにくい
- 通気性がいい
- シワになりにくい
- イージーケア
COOLMAX®の用途例
- 衣料品:スポーツウェア・ビジネスシャツ・インナーなど
- マスク
- 寝具
環境配慮素材「COOLMAX® EcoMade」
- 100%リサイクル資源で作られたCOOLMAX®
猛暑がまだまだ続いているので、COOLMAX®はまだまだ活躍が期待できます。店頭に並んでいる商品タグにも注目してみてください。多くのアパレルブランドなどに使用されているので、COOLMAX®のタグを見かけることがあるかもしれません。