オーガニックコットンのトレーサビリティとは?

環境負荷のないオーガニックコットンのトレーサビリティにスポットを当てて紹介します。

目次

オーガニックコットンの認証機関

オーガニックコットンの認証機関は、世界にいくつか存在します。

そして、それぞれが基準を設けているため、基準や認証範囲に多少の差異が見られます。

各認証機関の基準をクリアすると、オーガニックコットンとして認証が得られます。

認証機関は利害関係の全くない第三者機関のため、公平で公正な判断の下認証されます。

認証機関は、オーガニックコットンの綿花がどういうルートで製品化されたかを確認します。原料の綿花が機屋に引き渡される際や、そこで織り上がった生機が染工場に渡る際などのモノの流れの度に、証明書を発行して管理しています。

消費者にとって、見た目では判断することはできないので、認証機関によって証明されることで、オーガニックコットンを購入する際に安心して購入できますね。

今回は、代表的なオーガニックコットンの認証機関を2つ紹介します。

OCS(オーガニック・コンテント・スタンダーズ)

代表的な認証機関である「OCS(Organic Content Standard/オーガニック・コンテント・スタンダーズ)」は、製造と管理等に対して認証する国際認証機関です。オーガニックコットンの普及・啓発を目的に2002年に、アメリカ・テキサス州に本部があるNGO・NPO団体のTextile Exchangeによって発足されました。

OCSでは有機製造方法に関する EU の ECC 規則や、アメリカの NOP 規則等に従った有機農法の認証を受けている原料のみを使用することが求められます。また、原料から製品まで全ての過程が明確に追跡できることが条件となっています。

OCSの認証は、5%以上のオーガニック原料を含む製品である「OCS Blended」と、95%以上のオーガニック原料を含む製品に値する「OCS 100」の2 種類があります。各基準を満たせば、「OCS Blended」「OCS 100」のロゴマークを製品に付けることができます。

GOTS(グローバル・オーガニック・テキスタイル・スタンダード)

GOTS(Global Organic Textile Standard/グローバル・オーガニック・テキスタイル・スタンダード)は、オーガニック・テキスタイルの国際認証機関です。2002年に、当時オーガニック繊維製品に関する基準がたくさん存在していて、認証方法を統一するための国際共通基準を作ることが合意されました。この共通基準が、今のGOTSの始まりです。

GOTSのラベルには、製品の95%以上が認証されたオーガニック繊維である「Organic」と、70%以上が認証されたオーガニック繊維である「Made with Organic」の2種類があります。GOTSは、残りの非オーガニック繊維に関しても、天然繊維や合成繊維に関する規定があるため、どの繊維と組み合わせてもいいということではありません。

対象となる繊維製品は、衣料品やホームテキスタイルだけでなく、糸やアクセサリーまでの広い繊維製品をカバーしています。

GOTSの基準は「認証された原料とそのトレーサビリティ」「ケミカルの使用について禁止と制限の規定」「分離と識別」「環境管理」「残留物の限界」「社会的規範」などから構成されていて、オーガニックコットン認証の中でも厳しい基準を設けています。

OCSとGOTSの違い

代表的な認証機関であるOCSとGOTSは、よく比較されますが、GOTSはOCSよりも、基準が高いと言われています。具体的にはどのような違いがあるのでしょうか?

(※ OC=オーガニックコットン)

OCS認定基準GOTS認定基準



* 原料にOCを5~100%含むこと

* OC含有率の表記

* 原料から製品までの全行程を明確に
追跡できること





*原料にOCを70%以上含むこと

* 毒性のある薬品や遺伝子組み換えを使用しない

* 有機農法で製造工程を行う

* 衛生的で安全、差別のない労働環境

* 原料から製品までの全行程を明確に追跡できること


主な違いはオーガニックコットンの含有率と、労働環境に対する基準です。

含有率はOCSの場合は、オーガニックコットンの含有率は5%から認証されることに対して、GOTSの場合は最低でも70%以上となっています。

OCSはオーガニックコットン率を下げることで、安価で多くの人が購入しやすいように認証しています。対して、GOTSは純度の高いオーガニックコットン商品のみを認可する原理主義の思考が根付いています。

また、GOTSの場合は、含有率や追跡だけではなく、労働環境や自然環境への影響も重視されます。有機農法基準に加えて、社会規範を守ることを保証した認証機関になります。より、コットン農家の人権と労働環境を守ることに貢献することができます。

オーガニックコットンのトレース(追跡)

オーガニックコットンのトレース方法

オーガニックコットンのトレース方法は、どのようなしくみになっているのでしょうか?

栽培農家から製品になって店舗に並ぶまで、多くの工場を渡ります。そのモノの動きは「SC(Scope Certificate)」「TC(Transaction Certificate)」と呼ばれる証明書を各認証機関に提出することで、管理されます。

SC(Scope Certificate)は、認証された範囲を示すものであり、取得企業の範囲(認証商材)や拠点、有効期限などが記載される認証書です。オーガニックコットンのトレースのためには、認証機関からSCを発行された企業間のみで製造工程を進める必要があります。原料がオーガニックコットンであったとしても、SCを持ってない工場等と通すと、オーガニックコットンとしては認められないため注意が必要です。

TC(Transaction Certificate)は商取引の証明であり、認証取得者がオーガニック製品を出荷する際に発行されます。「出荷日・出荷先・商品・数量」がTCに記載され、出荷毎のトレースができます。TCはSC認証が下りた後に、初めて発行することができるようになります。

TCは該当品の出荷後に、必要書類を提出することで発行できます。また、出荷毎に発行する必要があるため、1,000mの発注を受けた機屋が、先に500m出荷して、残りを別日に出荷した場合は、TCは2回発行する必要があります。オーダー単位ではなく、出荷毎単位で管理されます。

上記の表のように、原料から製品まで細かくトレース管理がされています。そのため、トレースの透明性は高く、安心と信頼から値段以上の価値を感じられるのではないでしょうか。

まとめ

POINT
  • OCSは有機綿含有率5%以上で、原料から製品までのトレースが認証基準
  • GOTSは含有率70%以上で、トレーサビリティ以外にも、環境問題や
    労働環境までカバーして社会規範を守るサステイナブル認証機関
  • オーガニックコットンのトレース方法
    • SC認証書を持つ認可の下りた企業間で全行程が完了する
    • 出荷毎にTCを発行することで、いつ・どこに・なにを・どれだけ出荷したかトレースが可能

オーガニックコットンは厳しい基準の中で製造され、認証される商品のため、とても安心して購入することができます。しかし、オーガニックコットンはコットン全体の1%も満たない量しか生産されていないのが現状です。地球環境を守るためにも、農家の労働環境や健康を守るためにも、より社会に普及してほしいですね。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次