「1WAY」・「2WAY」生地とは?使い分け方や用途とは?

生地や製品タグなどに、「1WAY」または「2WAY」などの記載を見たことがありますか?繊維業界では、「1WAY」・「2WAY」という表現がよくされています。

今回は、「1WAY」・「2WAY」の違いや使い分け方を紹介したいと思います。

目次

「1WAY」・「2WAY」とは?

「1WAY」・「2WAY」

生地で使われる「1WAY」や「2WAY」という言葉は、ストレッチを指しています。

「1WAY」とは、主に横方向にストレッチがある生地を指します。横の1方向にストレッチ性があるので、1WAYと呼ばれます。

「2WAY」とは、縦方向と横方向の両方にストレッチがある生地を指します。縦と横の2方向にストレッチ性があるので、2WAYと呼ばれます。少し紛らわしいですが、2WAY生地は、上下左右の4方向に伸びることから、4WAYストレッチと呼ばれることもあります。実際に、縦方向と横方向に生地を伸ばしてみると、すぐに1WAYか2WAYの生地か判断できるでしょう。

1WAY・2WAY生地の作り方

1WAYは、織物でもニットでも比較的に容易に作ることができます。ニットはループの分、伸縮性の幅があり、その分だけ伸びるのですが、織物の場合は伸縮性のある糸を使用する必要があります。

織物

1WAY:経糸は伸縮性のない糸に、緯糸に伸縮性のある糸で織られることが一般的です。伸縮性の糸の例としては、ポリウレタンや撚糸したストレッチ加工糸、ソロテックス®などのストレッチ繊維などが使用されます。

2WAY:経糸・緯糸の両方にストレッチ糸を使用して作られます。 経糸と緯糸のテンションコントロールが難しくなるのに加えて、染色や乾燥条件でもストレッチ感が変わるので、製織・加工ともに技術が要求されます。

ニット

1WAY:ニットは、特にストレッチ糸を使用せずともある程度のストレッチ性のある生地に仕上がります。経編と緯編で伸びる方向が変わり、経編は縦方向、緯編は横方向によく伸びる生地が仕上がります。密度や組織でストレッチ感は変わりますが、どちらか1方向によく伸びます。ストレッチ糸を使用することで、さらに強いストレッチ性とキックバック性を持たせることができます。

2WAY:組織次第では、縦方向と横方向の両方にストレッチを持たせることができます。密度が詰まるとストレッチが出なくなるので、密度を甘くすることで、2方向に伸縮するニット生地が作れます。より2方向に高い伸縮性を持たせるために、ストレッチ糸を使用されることも一般的な製法です。

1WAY・2WAYの使い分け

ストレッチの方向に違いがありますが、1WAYと2WAYでは他にどのような違いがあるのでしょうか?

ストレッチ

ストレッチ方向の違いで、動きやすさは変わります。製品の用途に合わせて使い分けられます。

ハリ

ストレッチが縦と横の両方にある2WAY生地の方が、ハリ感は強くなります。ストレッチ糸が縮むことで、密度が詰まるので、ハリの強い生地に仕上がります。

フィット感

1WAYよりも2WAY生地の方が、体へのフィット感は高まります。生地が体にしっかりフィットすることで、服がもたつきなくきれいに着ることができます。また、フィット感が強い方が、体に生地が密着するので、熱を逃がしにくく温かく着ることができます。冬用のインナーなどは体にぴったり張り付くような生地がよく使われるのも、保温性の高さからです。

反対に、体のシルエットが出過ぎるのを好まない人も多いのが事実です。動きやすいストレッチ性はありながらも、適度なフィット感に抑えるには、1WAY生地の方が適しています。

透け感

透け感は、使用する糸や組織によっても左右されますが、密度の高い2WAY生地の方が透けにくくなります。ただし、伸びる生地のため、生地が伸びきった時に透けて見える可能性があるので、パンツなどの透けてはいけない製品作りの際は、伸びた状態での透け感の確認も重要です。

重さ

重さも密度が詰まる2WAY生地の方が重くなります。ストレッチ糸を使用する場合は、重くなる傾向があるので、経糸・緯糸ともにストレッチ糸を使用する2WAY生地は、目付がどうしても重たくなってしまいます。

コスト

縦方向と横方向に縮む分、密度が上がるので、糸量の使用量が増えて、コストは高くなります。また、仕上がりの幅も短くなる分、採算は悪くなってしまいます。コスト部分では、1WAYの方が価格を抑えられるので、使用のハードルが下がります。

1WAY生地の用途

1WAY生地は、私たちが持っている服の多くに使用されています。かっちりしたシャツ地などは伸びない生地もありますが、動きに制限があると着心地が悪いですよね。Tシャツやトップスなどの身近な服で、横に伸びるけど、縦にはあまり伸びない生地はよくあります。あまり意識しないかもしれませんが、伸ばしてみると、1WAY生地だったりするので、引っ張って試してみてはいかがでしょうか。

2WAYよりもコスト面が抑えられるので、1WAY生地は多くの用途で活躍します。

2WAY生地の用途

2WAY生地は、高いストレッチ性から、デイリー使いの衣料品から、高いストレッチ性を要求されるスポーツやインテリア素材向けなどさまざまな用途に使用されます。

デイリー向けの例

インナー・アンダーウェア・ストレッチパンツ・パーカーなど

インナーやアンダーウェアは、体の動きに制限がかからないように2WAYストレッチ生地が使用されることが多いです。

スポーツ向けの例

水着・レオタード(バレエ服)・ヨガウェアなど

2WAY生地は、スポーツ向け全般に非常に高い需要があります。特に水着やレオタードなどは体にフィットするような高いストレッチ性が必要です。スポーツは動き回るため、動きやすさから、ストレッチ方向に制限のない2WAY生地が使用されています。

インテリア向けの例

シーツ・ソファカバーなど

最近では、楽にカバーできるベッドシーツや、ソファの形を限定しないでいいように、縦・横ともに伸びる2WAYストレッチ素材の生地が人気を高めています。ベッドやソファを買い替えても、そのまま使えることもあり、また洗濯などで着脱する際も楽にできるので、扱いやすさが評価されています。さらには、密着性が高いので、インテリアの形状をそのままのキレイなシルエットでカバーすることができます。1WAY生地でもカバー製品は作られますが、片方向だけ伸びることで、生地がダボつきやすく、見た目が悪くなることがあります。この点は、2WAY生地を使用する大きなメリットです。

まとめ

POINT

1WAY

  • 横方向にストレッチがある生地

2WAY

  • 縦方向と横方向の両方にストレッチがある生地

1WAY・2WAYの使い分け

  • ストレッチ – 1WAY:1方向、 2WAY:2方向
  • ハリ – 1WAY:弱い、 2WAY:強い
  • フィット感 – 1WAY:低、 2WAY:高い
  • 透け感- 1WAY:透けやすい、 2WAY:透けにくい
  • 重さ- 1WAY:軽い、 2WAY:重い
  • コスト- 1WAY:安い、 2WAY:高い

ストレッチは、着心地や見た目を大きく左右する重要な要素です。実際に私たちが着用するほとんどの生地は、大なり小なりストレッチ性のある生地が使用されています。素材・組織でも生地の仕上がりは大きく変わりますが、1WAY・2WAYそれぞれのメリットを理解することで、生地の選定がしやすくなるかもしれません。

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