注目の植物由来繊維、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)とは?

PTT繊維ってご存知でしょうか?

あまり聞きなれない繊維かもしれませんが、環境配慮型素材として、徐々に高い注目を浴びている繊維なのです。

今回は、そんな注目の繊維、PTTに焦点を当てたいと思います。

目次

PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)とは?

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植物由来PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)

PTTとは植物由来のポリトリメチレンテレフタレートのことで、ポリエステルの一種です。高い伸縮性がなんといっても特徴です。そのほかにも形状安定性や形状記憶、さらには柔らかい肌触りなどの特徴があります。

PTTはテレフタル酸と1,3プロパンジオールの重縮合体からなる繊維です。1,3プロパンジオールがとうもろこしなどのでんぷんから抽出して作られたもののため、PTTが植物由来な所以です。植物由来のため、環境配慮素材としても、特に近年注目を浴びています。

PTTと同じポリエステルの種類であるPET(ポリエチレンテレフタレート)を組み合わせた複合繊維としても使用されます。

PTTの強みとは?

PTTの強みは、なんといっても環境配慮素材であることです。

 植物由来

PTTは、先ほども記述した通り、植物由来のでんぷんを原料に作られます。一般的なポリエステルは化石資源から作られており、有限資源として資源枯渇の危惧がされています。PTTは植物由来で、循環資源の位置付けにあるため、化石資源を減らすことができるとして、環境配慮素材として知られています。

中には植物由来に対する疑問の声を耳にすることもあります。それは、植物由来が可食か非可食かにより、サステイナブルではないのでは?という点です。将来、食料不足の可能性を危惧する意見もある中で、可食の植物から繊維にすることに反対する意見があります。人や動物が食べられない非可食の植物から繊維を作り出す企業もありますが、どの植物由来か辿れないバイオ繊維も存在します。そんな中で、一部からバイオ繊維に対する消極的な意見が出ていることも確かなようです。

 PUの置き換え

高いストレッチが必要な時に、一般的にはPU(ポリウレタン弾性繊維)が使用されてきました。しかし、ポリウレタンは加水分解が起きやすい性質のため、時間が経過するにつれて、劣化することは避けられません。加水分解に強いPTTを使用することで、劣化の速度をゆるやかにし、長く愛用できる製品作りに貢献します。

ポリエステルの一種であるPTTのため、ポリエステルとPTTを組み合わせた生地はモノマテリアルとしても成り立つとして、リサイクルへの促進に貢献しています。PUなどの異なる素材と組み合わせた生地は、リサイクルとして回収する際に、分別・分解が必要となり、大変な手間がかかります。同じポリエステルの仲間同士で作られた生地の場合、分解が容易となり、リサイクルしやすい生地として活躍します。

また、全面PU使いや全面PTT使いなどされることはなく、弾性繊維は他の生地と使用するケースが多いです。PTTを使用した際に、ポリエステル繊維と一緒に織り上げることで、ポリエステルと同じく、分散染料で一度に染めることができます。ポリマーの違いから、染色差が生まれる可能性はありますが、一浴(1回の染色)で染色することができるので、有益です。

最近の製品では、透湿防水を使用するフィルムも、一般的なポリウレタン製よりも、ポリエステル製のフィルムを使用し、表地をポリエステル生地にすることで、完全モノマテリアル製品として工夫するなどの商品も増えてきました。

 ストレッチ性

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環境配慮に加えて、伸縮性まで優れている繊維です。上記のように、PUに置き換えることができるストレッチ性を持ち合わせています。PUと比較すると、ストレッチ性は若干劣りますが、締め付け過ぎないフィット感が出るとして、好まれることもあります。形状安定性は、PUよりも優れている傾向で、伸びっぱなしや型崩れがしにくい点も、メリットとして挙げられます。

PTTを使用した糸種例

PTTを使用した糸は、さまざまな企業からリリースされています。今回は「ソロテックス®」と「ライクラT-400®」をピックアップして紹介します。

 ソロテックス®

「ソロテックス®」は帝人フロンティアが商標登録している繊維です。従来のポリエステル、ポリウレタン、ナイロンでは表現できなかった、ソフトな風合い、ストレッチ、発色の良さ、ソフトなクッション性を出すために開発された糸で、PTTが使用されています。ソロテックス®を構成するポリマーの約37%が、植物由来の原料を使用しているため、化石資源を抑えることができるとして、環境配慮素材となっています。化石資源を減らすことで、資源の枯渇問題や、温室効果ガスの低減に貢献できることも、サステイナブルファッションに繋がるとして、注目を浴びています。

帝人のソロテックス®は、豊富なラインナップがあり、スタンダードな長繊維タイプや短繊維タイプに加えて、給水速乾や蓄熱・保温機能を加えた機能性ソロテックス®などがあります。衣料向けだけではなく、資材向けにも使用されている用途を選ばない繊維です。

 ライクラT-400®

ライクラT-400®は、東レが商標登録しているポリエステル系の複合繊維として有名な糸です。は、PET(ポリエチレンテレフタレート)と PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)の2種類のポリマーを紡糸段階で複合したバイコンポーネントの複合繊維です。形状としては、∞マークのような形状をしており、一方がPET、もう一方が植物由来のPTTから成っています。このような複合繊維は「サイドバイサイド型」などとも呼ばれています。

テキスト

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引用:T400.pdf (toray-opt.co.jp)

この 2 種類のポリマーの収縮率の違いを利用することで、高いストレッチ性とクリンプ性を出すことができます。このポリマーは原糸段階かららせん状のクリンプがあり、染色などで熱を加えると写真のようなさらに高いクリンプができます。クリンプが大きくなるほど、ストレッチ性が上がるため、仮撚りなどの加工糸よりもクリンプの大きいT-400®の方がストレッチ性は高くなります。

特にクリンプが大きいT-400は、ハリ感が強くふっくらした生地感や厚みを感じながらも、軽いといった特徴があります。ポリエステル繊維の仲間である特性を活かした、イージーケアやアルカリ処理やケミカルウォッシュなどの後加工などに対する高い耐久性など、扱いやすい繊維です。肌触りも柔らかく、直接肌に触れても、心地のいい生地に仕上がります。

通常のポリエステルよりも染色温度は低いため、天然繊維の混用などにも適しています。

まとめ

POINT

PTT(ポリトリメチレンテレフタレート):ポリエステルの仲間で、とうもろこしなどのでんぷんから抽出して作られた植物由来繊維

PTTの強み

  • 植物由来
  • PUの置き換え
  • ストレッチ性

PTTを使用した糸種例

  • ソロテックス®(帝人)
  • ライクラT-400®(東レ)

合成繊維の中でも、環境に配慮された開発がどんどん進められてきています。

生地の伸びないシャツ地もいいですが、衣料品全般において、ストレッチ性ってとても重要ですよね?ゆったりくつろぎたい時、運動する時など、さまざまな場面で活躍する弾性繊維の中で、できるなら環境負荷の少ない生地を選びたいですよね?

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