「ソロテックス®」って聞いたことありますか?
環境配慮と機能面を両立している素材で、注目度が高いことから名前を聞いたことはあるかもしれません。色んな素材のいいところ取りをしたような繊維で、着心地の快適さを追求するのであれば、欠かせない素材の一つです。
今回は、「ソロテックス®」の魅力について紹介したいと思います。
「ソロテックス®(SOLOTEX®)」とは?
「ソロテックス®(SOLOTEX®)」
ソロテックス®は帝人フロンティアが商標登録している繊維です。環境配慮素材でありながら、高機能と優れた繊維で、数多くのファンがいる素材です。衣料向け素材としてはもちろん、資材向けにも使用されるほど、無限の可能性を秘めた素材です。衣料用途としては、ファッションはもちろん、インナーやパンツ、ユニフォームやスポーツなど、分野を問わず使用されています。
ソロテックス®の由来は、2002年に旭化成とソロテックスの原料でもあるPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)繊維を事業とする合弁会社ソロテックスの設立から来ています。残念ながら、当時は期待したほど業績が芳しくなく、原糸製造の担当であった旭化成が2010年に事業撤退を決定し、合弁会社を解散しました。2011年以降は、帝人フロンティアが単独で事業を始めて、現在の発展に繋がりました。
「ソロテックス」の位置づけ
ソロテックス= ポリエステル x ポリウレタン x ナイロン
引用:ソロテックスとは|「ソロテックス® -SOLOTEX®」ブランドサイト 暮らしは、繊維からできている。|帝人フロンティア
帝人のホームページでは、PTTを原料とするソロテックスは、「ポリエステル」「ポリウレタン」「ナイロン」を掛け合わせた特徴があると説明しています。それぞれどのような特徴があるかご紹介します。
ポリエステル
ポリエステルは、衣料品では最も使用されている素材です。比較的に安価で、特に形状記憶力に優れている繊維です。ポリエステルは耐熱温度が高いことで、加工で熱セットと呼ばれる工程で、熱を加えることで、形状記憶がしやすくなります。ポリエステルは寸法変化に優れていて、洗濯しても伸びたり縮んだりしにくいことが特徴です。
ポリウレタン
ポリウレタンは、プラスチックから作られる化学繊維でストレッチ性に非常に長けた繊維です。ゴムの代用品として開発され、パンツやインナー、靴下などの伸びる生地に使用されています。ポリウレタンを使用した生地は、動きやすく着ていて快適になります。
ナイロン
ナイロンは石油由来の「ポリアミド」と呼ばれる合成樹脂から作られる繊維です。ナイロンの開発者でもあるデュポン社の開発当時のキャッチフレーズは「鋼鉄よりも強く、クモの糸より細い」だったように、非常に強度に優れた合成繊維です。重い荷物を入れることから、強度や耐久性を重視されるリュックサックや、軍事服にもナイロンの素材は高頻度で使われています。耐久性において信頼度の高い繊維です。
それぞれが優れた繊維ですが、それの特徴を持ち合わせる「ソロテックス®」は、とても万能で優秀な素材ということが分かりますね。
繊維の形状
ソロテックス®の繊維の形状は、「バネ」と表現されます。
引用:特長|「ソロテックス® -SOLOTEX®」ブランドサイト 暮らしは、繊維からできている。|帝人フロンティア
帝人のホームページにも掲載されている写真が分かりやすいのですが、ソロテックス®はバネのような螺旋形状をしています。この構造によって、伸縮性を持ち合わせます。これによって、どのような特徴や効果があるのでしょうか?
ソロテックス®の特徴
帝人のホームページでは、7つの特徴が紹介されています。その中でもいくつかピックアップして、特におすすめの特徴について解説したいと思います。
ソロテックス®の7大特徴は下記になります。
- きわだつソフト感
- 優れた形状回復性
- 軽快なストレッチ性
- 高い調和性
- 最高のクッション性
- 優れた発色性
- 環境負荷の低減
優れた形状回復性
ソロテックス®はストレッチ性を持ち合わせながら、優れた形状回復性があります。弾性繊維で気になるポイントは形状回復力です。ナイロンも耐熱温度が低く、ポリエステル繊維に比べると、セット性が低く、寸法変化がしやすい素材です。ポリウレタンは伸びるのはいいけど、伸びっぱなしでへたったような生地になることがあります。伸びきった服は清潔感も落ちて、印象が悪いですよね。ソロテックス®は、バネが伸びても元に戻るように、しっかりと元の形に戻り、常に体にフィットします。寸法変化の安定さは、ポリエステルのような特徴があります。
洗濯にも強く、複数回の洗濯でも型崩れすることがありません。タンブラー乾燥機は熱もかかり、縮みやヨレやすい原因ともなりやすいのですが、ソロテックス®の場合は熱乾燥にも強いです。洗濯でもシワになりにくいことから、「イージーケア」商品としても魅力的です。
軽快なストレッチ性
ソロテックス®のおすすめな点は、心地のいいストレッチ性です。ポリウレタンの方が伸びる力は一般的にソロテックス®より高いのですが、戻る力も強く、ゴムのようにぎゅっと締め付け感があります。ソロテックス®は十分なストレッチを持ち合わせながらも、締め付け感が少ないことが特徴です。インナーなどの締め付けが強く、体に跡が残ったり、血流が悪くなった経験はないでしょうか?バネのような構造が特徴のソロテックス®は、ゴムのように勢いよく伸びて戻るポリウレタンよりは、徐々に伸びて戻るようなゆるやかなキックバック性があります。
優れた発色性
ポリウレタン繊維は、染色性はあるのですが、対応していない染工場も数多く存在します。従来ポリウレタンは、他のポリエステルやナイロンなどの繊維を表側にカバリングするように作られることが多く、表側を染めて、ポリウレタンを染色しないケースが多くあります。ポリウレタンは劣化がしやすいので、露出を減らし、劣化を遅らせる効果を期待して、カバリングヤーンとして使われています。そのため、染色されないことが多いです。下着や靴下を伸ばす際に、透明のゴムのような繊維を見たことはないでしょうか?それは、染色されていないポリウレタン繊維でしょう。
ソロテックス®の場合は、染色性があり、発色もとてもきれいです。カバリングも不要なため、ムラもなくキレイに染色します。ポリウレタンのように、伸びた時に透明な糸がちらつくこともなく、均一性があります。
また、低温で染色できることも魅力です。
環境負荷の低減
サステイナブル原料
ソロテックス®を構成する一部のポリマーは、植物由来です。そのバイオ含有割合は、全体の繊維の37%を占めていて、化石資源を減らすことで、資源の枯渇問題や、温室効果ガスの低減に貢献できることも、サステイナブルファッションに繋がるとして、注目を浴びています。
弾性繊維のポリウレタンは石油由来で、リサイクル糸も流通はあまりされていません。サステナブルかつストレッチ性のある糸はまだまだ希少です。
低温染色
先ほど紹介した通り、ソロテックス®は低温で染めることができます。そのため、温度を上げる際に消費するエネルギーや、温度を下げるためにかかる時間を消費できるため、エネルギー削減ができ、CO2の排出量も減らすことができます。
この他にも、ソロテックス®は、豊富なラインナップがあり、スタンダードな長繊維タイプや短繊維タイプに加えて、給水速乾や蓄熱・保温機能を加えた機能性ソロテックス®などがあります。衣料向けだけではなく、資材向けにも使用されている用途を選ばない繊維です。
まとめ
ソロテックス®
- 環境配慮素材でありながら、高機能と優れた繊維
- PTTが原料でバネのような繊維構造
ソロテックス®の特徴
- きわだつソフト感
- 優れた形状回復性
- 軽快なストレッチ性
- 高い調和性
- 最高のクッション性
- 優れた発色性
- 環境負荷の低減
優れたポイントを寄せ集めたソロテックス®は、どのような用途にも満たすような機能があるとして、高い価値と注目が期待されます。素材選びは、料理と同じで完成品に大きな影響を与えるので、いいものを選定していきたいですね。