前回は「ラッセル編み」について紹介しましたが、今回もニットについて紹介したいと思います。今回は、ニットの中でも緯編みの「リブ編み」について紹介していきます。
リブ編みやリブニットというワードはラッセル編よりは聞き馴染みのある言葉ではないでしょうか?どのような組織か掘り下げていきたいと思います。
リブ編みとは?
リブ編み
リブ編みとは、緯編みの中でも表目と裏目を交互に配列した編地のニットです。表目と裏目は同じ組織に仕上がります。横方向へのストレッチ性が高く、ゴムのように伸縮性のある編み方で、「ゴム編み」や「フライス編み」、「畔編み(あぜあみ)」とも呼ばれています。特にストレッチ性が高いセーターの袖口(リブ袖)などによく使用される編地になります。全体をリブ編みで編んで製品を作るよりは、特にストレッチが高いリブ編みを袖口や裾などのポイント使いで使うことで、末端部分を締めることで、すっきりしたシルエットを作り出すこともできます。
表目と裏目を1つずつ交互に編む、「1 x 1リブ」や、2列ずつ編んでいく「2 x 2リブ」の他にも、表目2列に裏目を1列配列する「2 x 1リブ」などがリブ編みの種類にはあります。畔を強調する場合は、「3 x 2リブ」など表に出る目を増やすなどで調整されます。配列を調整することで、柄の印象を変えることができるので、好みの柄を探してみてはいかがでしょうか?
リブ編みの名前の由来とは?
リブ編みは、英語では「Rib knit」と表し、Ribは英語であばら骨の意味があります。リブステーキなどで骨付きの肉が出てきますが、あの部位はあばらになります。編み目があばら骨が並んでいるように見えることから名づけられました。
また、ゴムのように伸縮性が高いことから「ゴム編み」、稲作の水田間に土を盛り上げてつくった小さな堤に見えることから「畔編み(あぜあみ)」とも呼ばれます。
リブ編みの特徴(メリット)
ストライプの畝がある
なんといっても、リブ編みの特徴と言えばストライプ調の模様です。ストライプも凹凸があるので、立体的で、アクセントにもなる存在感があります。細番手で細かいゲージにすれば、落ち着いた印象や高見えする印象を与えることができます。太番手の糸で粗めのゲージにすることで、より畝が大きく目立ちカジュアルな印象が、柄の協調をすることができます。
細かいゲージのリブ編み
細かいゲージのリブ編みは、癖がなく使いやすい生地で、オフィス向けなどのフォーマルな場面でも使用されます。薄手のリブ編みは、フィット感もあるので、タートルネックやインナーのような生地としても使用されます。
粗いゲージのリブ編み
粗いゲージのリブ編みは、写真のようなニット帽や、セーター、マフラーなどによく使用されています。柄感がはっきりしているので、印象的で陰影がしっかり出るので、ファッションのアクセントにもなるほど強いインパクトを与えることもできます。
フィットしたシルエットに仕上がる
伸縮性が特に高いリブ編みは、体にフィットする奇麗なシルエットに仕上がります。厚手のニットで、伸縮性が低いと、ダボついた印象になりますが、リブニットの場合は厚みがあってもシルエットがすっきりするので、清潔感が高く見えるでしょう。
透けにくい
適度に厚みの出るリブ編みでは、透けにくい特徴があります。透けにくいので、下着やインナーが透けることを防ぐことはもちろん、紫外線カット効果も期待できます。
保温性が高い
厚みがあり、凹凸があるリブ編みは、空気を多く含みやすいので、保温性に優れています。さらに体に密着する生地なので、体の熱も逃がしにくいので、冬には欠かせない生地のひとつです。特に目を細かくすると、冷気が入ってこないので、厳寒な冬でも活躍してくれるでしょう。
スタイルアップして見える
縦方向にストライプ状のラインが出る点と、体にフィットする生地なので、スタイルアップして見える効果があります。締め色の濃色を使うことで、さらに痩せ見えすることが期待できます。
ストレッチ性が高い
緯編みは、ストレッチ性に優れています。リブ編みは特に、横方向へのストレッチに長けていて、体を動かしても動きに制限なく、ストレスフリーに着ることができるでしょう。組織自体に伸縮性があるので、ストレッチ性のないコットンやウールなどの糸を使用しても、十分の伸縮性があります。
シワになりにくい
織物に比べるとニットはシワになりにくい特徴があります。リブ編みの場合、伸縮性も高くシワになりにくい特徴があります。
オールシーズン使える
保温性が高く、冬のイメージが強いかもしれませんが、リブニットは素材や配列を調整することで、オールシーズン活躍する生地になります。コットンやポリエステルなどの素材は、特に夏場に活躍し、細番手のハイゲージなどでサマーニットなどが作られます。冬物はウールやアクリル、ポリエステルなどの素材をローゲージで作り上げることで、保温性に優れた温かい生地に仕上がります。靴下や袖口のポイント使いにも見られる組織で、リブニットはオールシーズン見かけます。
カーリングがしにくい
ニットの中には、生地の端がくるんとカールして巻いた状態になる生地がありますが、リブ編みはカーリングが起きにくい点が利点に挙げられます。カーリングが起きると縫製しづらく、製品作りの障害となります。また着ていても橋がカーリングを起こすと見栄えもよくありません。リブ編みはカーリングが起きにくいので、袖口などの服の末端パーツに適しているのです。
リブ編みの特徴(デメリット)
伝線しやすい
緯編みは、1か所ほつれてしまうと、全体までほどけてしまう可能性があります。なるべくひっかけたりして、伝線のきっかけとなるほつれや穴あきを避けるようにしましょう。
経方向のストレッチ性がない
横方向にはしっかり伸びてくれますが、リブ編みは経方向の伸縮性はあまりありません。
まとめ
リブ編み
- 緯編みの中でも表目と裏目を交互に配列した編地のニット
- 別名:「ゴム編み」、「フライス編み」、「畔編み(あぜあみ)」
リブ編みの名前の由来
- リブ編み:編み目があばら骨が並んでいるように見えることが由来
- ゴム編み:ゴムのように伸縮性が高いから
- 畔編み(あぜあみ):稲作の水田間に土を盛り上げてつくった小さな堤に見えることから
リブ編みの特徴(メリット)
- ストライプの畝がある
- フィットしたシルエットに仕上がる
- 透けにくい
- 保温性が高い
- スタイルアップして見える
- ストレッチ性が高い
- オールシーズン使える
- カーリングがしにくい
リブ編みの特徴(デメリット)
- 伝線しやすい
- 経方向のストレッチ性がない
リブニットは、オールシーズン見かけるとてもポピュラーな編み方の一つです。特にストレッチを持たせたい時や、シルエットの締まりが欲しいとき、単調な印象から変える時など、さまざまな場面で活躍する編み方です。