秋冬の定番生地「コーデュロイ(コール天)」とは?由来や特徴とは?

特に秋冬にかけてよく見かける「コーデュロイ」。なんとなくどんな生地かはご存知かと思います。

今回は、「コーデュロイ」の特徴や魅力について、改めて発信しようと思います。

目次

「コーデュロイ」とは?

コーデュロイ

「コーデュロイ」は、なんといっても「畝(うね)」のある表面の凹凸感が特徴の生地です。畝にはやわらかな毛羽が見られ、秋冬に活躍する暖かな印象があります。畝の太さを変えることで、雰囲気も変わります。太い畝の方がカジュアルで、細い畝の方が上品で大人っぽい印象になります。この畝の大きさによって、コーデュロイの呼び方も少し変わります。

「コーデュロイ」とは、タオルでお馴染みのパイル織物の一種です。そしてパイル織物の中でも、「カットパイル」に該当します。そして、緯糸(よこいと)をパイル状にする緯パイルにあたります。素材は主に、綿やポリエステルなどの短繊維(ステープル)が使用されます。長繊維と比べて、毛羽感をより感じられます。

コーデュロイは別名「コール天」とも呼ばれています。コール天の由来としては、「Cord(畝織)」+「天鵞絨(てんがじゅう=ベルベットの和名)」から来ているとされています。

「コーデュロイ」の作り方

  • 製織

コーデュロイは、緯糸を使ってパイル(輪っか)を作ります。この工程で、畝の大きさや密度をコントロールしていきます。

  • カッティング工程

織り上がった生地のパイル部分を切る「カッティング」工程をします。専用の機械を使って、緯糸のパイルをカットしていきます。のパイル組織に、ガイドニードルと呼ばれる針を通して、緯糸を浮かしながら、カッターで緯糸をカットしていきます。専用の機械が必要になるため、コーデュロイの生産工場は限られた工場でしたか生産することができません。

  • 揉み込み工程

カッティング後の生地は、水を使って生地を揉み込みます。そうすることで、カットしたパイルがほぐれ、畝を作り出します。畝が太くなるほど、パイルの立ちのばらつきが目立ちます。キレイにパイルを立たせるように、揉み込み時間を増やしたりしながら、パイルの立ちを調整します。

  • 仕上げ工程

揉み込んだ生地を乾燥した後、畝をローラーで焼いて光沢感を出していきます。この作業を行うことで、畝の表面にある不要な毛羽を焼き付けて、毛並みを整えることができるので、コーデュロイ生地の特徴でもある光沢感を生み出すことができます。

これらの工程を経て、染色などの加工に入ります。一般的な平面の織物に比べて、工程も多く、デリケートな生地になります。職人さんの技術によって、コーデュロイの生地が生産されるのですね。

「コーデュロイ」の歴史

独特の畝を持つコーデュロイですが、どのように誕生したのでしょうか?

ルーツは古代エジプト

古代エジプトでは、ファスチャン織と呼ばれる緯糸(よこいと)には綿糸、経糸(たていと)には綿糸または羊毛糸を用いて密に織り、短い毛羽(けば)立てた丈夫な綾織物がありました。ジーンズのルーツとも呼ばれており、このファスチャン織は、イギリスの織物における産業革命にもつながっています。

(参考 イギリス大工業化の歴史的前提条件

コーデュロイの語源は王様の畝?

コーデュロイ(Corduroy)の語源は、一説では、フランス語の「Corde du Roi」から来ていると言われています。フランス語で、”Corde”は”畝”、”du”は英語でいうところの”of”にあたり、”Roi”は”ルイ王朝”を意味します。つまり、「王様の畝」の意味が込められています。ルイ王朝時代の中でも有名なルイ14世に向けて献上されたコーデュロイの生地を、ルイ14世は気に入り、自分の召使たちの制服としてコーデュロイ生地を採用したと言われています。

引用:ルイ14世 (フランス王) – Wikipedia

しかし、その肝心のフランス語ではコーデュロイは、「velours côtes(畝のあるベルベット)」と呼び、過去を調べてもコーデュロイと呼ばれていた文献は存在しないため、「王様の畝」を裏付けるものがなく、民間伝承ではという説が有力のようです。

産業革命でイギリスへ、そしてアメリカへ

そしてコーデュロイは、18世紀中半ばから起こった産業革命により、イギリスに伝わり、ランカシャー州の工場で数多く生産されました。そのため、畝がロープのように見え、厚手の生地から、「cord」と、イングランド原産の毛織物「deroy」が転じた「duroy」を合成して、「コーデュロイ」になったという説もあります。

また、イギリス以外のヨーロッパではランカシャー州の都市名であった「マンチェスター」とも呼ばれていたようです。

イギリスでは上流階級の人々のカジュアルウェアとして愛用されていたとされています。

1950年代のアメリカでは、名門学生の間で生まれたアイビースタイルの定番素材となりました。

日本では明治時代ごろに、コーデュロイが伝わったとされ、草履や下駄の鼻緒にコーデュロイ生地が使われていました。

1960年代になると、アイビールックやアメリカンカジュアルが日本で流行し、その定番素材としてコーデュロイが浸透しました。

今では、カジュアルなイメージの強いコーデュロイですが、かつては王様に献上するほどのきらびやかな生地として使用されていたのです。

「コーデュロイ」の種類

前述しましたが、コーデュロイは畝の大きさによって、いくつかの種類に分けられます。コーデュロイの畝は、英語で「WALE(ウェール)」と呼ばれ、このWALEが1インチ(2.54cm)間にいくつあるのかで、下記のように分けられています。

「鬼コール」が一番畝が太く、「極細コール」が一番畝は細かくなります。太コールや中太コールは、パンツ地やジャケットなどに使用され、極細コールは、シャツ地などの使用によく使われます。

<中太コール(14ウェール)>

<極細コール(21ウェール)>

畝の大きさを変えることで、カジュアルルックから、上品な見た目にまで変化を生み出せます。

「コーデュロイ」の特徴

保温性が高い

コーデュロイが秋冬のイメージがあるように、生地自体も保温性が高い生地になっています。畝の凹凸部分に、空気を含みやすいため、温かい空気を溜め込むことができます。

光沢感がある

表面を焼き付ける工程があるので、表面は整えられて、畝に光沢感があります。強すぎない光沢感が、上品な印象を与えます。

立体感がある

畝の凹凸による立体感はもちろん、畝部分にのみ光沢感があるので、動く度に光の反射による見え方が変わります。これにより、陰影を作り、より一層の立体感を生み出してくれます。

ふわふわした肌触り

畝の部分がパイルカットされているので、ふわふわとした手触りです。また、生地にも厚みがあるので、より一層のふっくらとした風合いに仕上がります。

摩擦に強い

焼き付け工程を行っているので、表面は平らで、摩擦に強い生地です。耐久性も強いので、洗濯で、ポロポロ毛が抜ける心配もありません。摩擦には強いですが、粘着性のあるテープなどをくっつけると毛が抜ける可能性があるので、粘着テープなどには注意しましょう。

まとめ

POINT

コーデュロイ

  • 「畝(うね)」のある表面の凹凸感が特徴の生地、別名:コール天
  • カットパイル・緯パイル

「コーデュロイ」の種類

  • 鬼コール:1インチ間に畝が3本以下
  • 太コール:1インチ間に畝が6本前後
  • 中太コール:1インチ間に畝が9本前後
  • 細コール:1インチ間に畝が15本以上
  • 極細コール:1インチ間に畝が20本以上

「コーデュロイ」の特徴

  • 保温性が高い
  • 光沢感がある
  • 立体感がある
  • ふわふわした肌触り
  • 摩擦に強い

カジュアルな印象の強い「コーデュロイ」が、王様への献上として誕生していたのは意外ではないでしょうか?なんだか、コーデュロイ生地の見方が変わる機会になりました。

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