「ベルベット」と言えば、なんといってもその高級感あふれる見た目が魅力ですよね?ファッションだけではなく、高級家具にもベルベット素材の生地は欠かせないですよね。
今回は「ベルベット生地」について紹介したいと思います。
「ベルベット」生地とは?
ベルベット生地
「ベルベット生地」とは、美しい光沢と表面に細かい毛羽が生えている生地です。美しいツヤのある生地で、高級感を演出してくれることから、セレブファッションや高級家具でよく取り扱われている生地です。パーティーや普段使いでも、シックな雰囲気を装いたい時には、ピッタリの素材です。
ベルベットは、別名「ビロード」や「天鵞絨(てんがじゅう)」とも呼ばれています。ビロードは、ベルベットをポルトガル語で読んだ名前です。非常によく似た生地に「ベロア」や「別珍(ベッチン)」があります。別名があったり、似た生地もあったりで少し混同してしまいそうですね。
ベルベットは、パイル織物に該当し、その中でも表面のパイル(輪っか)をカットした「カットパイル」組織です。組織は、平織または綾織で構成される織物で、パイルは、経糸(たていと)で形成される「経パイル」にあたります。なんだか複雑で難しいように聞こえますが、織り方が微妙に変わるだけで、別の名前が付けられているのです。
「ベルベット」の素材
ベルベットに使用される代表的な素材は、高級素材としても知られる天然繊維のシルクや再生繊維に位置するレーヨンなどのフィラメント糸が使用されることが一般的です。また、最近ではコットンやポリエステルなどの合成繊維でも作られます。
ベルベットの作り方
ベルベットのパイル製法には、いくつかのやり方があるようです。
カットパイルベルベット
織り上がったパイル生地のパイルの輪の部分をカットして作ります。
二重織ベルベット
ベルベットの生地を、2反分を織り上げて、その間にパイルになる糸を組み合わせて二重織の生地を作ります。そして、その生地の間のパイルをナイフでカットして切り開くことで、2組のベルベットの生地が出来上がります。この手法が、ベルベット生地を作るには多く使用される方法です。手間のかかる製法ではありますが、美しいベルベット作りに重宝されています。
「ベルベット」の特徴
ベルベット生地にはどのような特徴があるのでしょうか?
上品な光沢とラグジュアリーな見た目
ベルベットは、非常に美しい光沢が魅力の生地です。主に使用される素材も、シルクやレーヨンで、素材そのものの光沢感も掛け合わせて、さらに艶やかな生地に仕上がります。高級感と重厚感を感じさせてくれる見た目は、セレブファッションにも多く取り入れられています。
立体感がある
光沢感のある生地が動く度に、陰影を生み出してくれるので、立体感のある生地になります。光沢感と立体感で、色の奥行きが感じられます。
柔らかい肌触り
パイルカットされているので、毛羽のふわふわとした柔らかい手触りです。また、生地にも厚みがあるので、より一層のふっくらとした風合いを感じられるでしょう。
保温性が高い
カットパイルの毛足が、空気を含みやすくなるので、保温性に優れた生地に仕上がります。ベルベットやベロアなどの素材は、冬のイメージが強いのではないでしょうか?それは、この保温性の高さと重厚感のある見た目によって、特に冬に活躍する生地となっています。
水に弱い
ベルベットは、水に弱く、水に濡れると表面の毛羽が寝てしまうことで、本来のツヤや手触りを失ってしまいます。デリケートな生地のため、美しい表面をキープするためにも、頻繁に洗濯するよりもブラッシングなどで表面の汚れを落とすことが推奨されています。ブラッシングすることで、毛並みも整えることができるので、本来の生地の美しさを保つことができます。どうしても汚れが強い場合は、スチームアイロンでケアすることで、素材のダメージを軽減してくれます。
「ベルベット」「ベロア」「別珍(ベッチン)」の違いとは?
「ベルベット」と「ベロアは」と「別珍」はどれもよく似た生地で、いまいち違いが分からないと感じる方もいるかもしれません。どちらの生地も、美しい光沢と温かみのある毛羽による表面が特徴です。
組織の違い
まず大きな違いは、ベルベットと別珍は織物です。ベロアはニットの組織も含まれます。
ベロアは範囲が広く、世界的にも完全な定義がないとされています。ベルベットと別珍は織物と定義されているので、ニットはベロアともされていますが、織物でもベロアと呼ぶ人もいるので、光沢のあるカットパイルと広義で定義されることもあります。ちなみにベロア(Velour)は、毛むくじゃらという意味のラテン語に由来していると言われています。
別珍はカットパイル織物の中でも、緯糸(よこいと)でパイルを作る緯パイルに該当するので、経パイルのベルベットとも少し異なる組織になります。
ストレッチ性
組織の違いから、ストレッチ性も異なります。ベルベットと別珍は、織物のため、ニット組織のベロアのような伸縮性がありません。
風合いや柔らかさ
組織と製法の違いにより、風合いに差がでます。ニットは織物に比べて柔らかい傾向にあります。そして織物の中でも、ベルベットに比べて別珍の方が少し硬い傾向にあります。柔らかさにフォーカスを置いて比較する場合は、柔らかい生地から順に、ベロア、ベルベット、別珍となります。使用する素材によっても、風合いの差は出ますので、あくまでも同じ素材を使用した場合として考えてください。
素材の違い
素材は、さまざまなアレンジがされていて、今では幅広い素材を使われていますが、一般的な定義では素材が限定されています。
「ベルベット」は、高級なシルクやレーヨンなどで作られることが一般的です。
「別珍」は、ベルベットを安価に作るために、主にシルクより安価なコットンで作られます。そのことから、別名「綿ビロード」と呼ぶこともあります。
「ベロア」は、範囲が広いため、シルクやレーヨン、そして安価なコットンまでさまざまな素材で作られています。
まとめ
ベルベット
- 美しい光沢と表面に細かい毛羽が生えている生地
- 別名:ビロードや天鵞絨(てんがじゅう)
- カットパイル・経パイル
ベルベットの作り方
- カットパイルベルベット
- 二重織ベルベット
ベルベットの特徴
- 上品な光沢とラグジュアリーな見た目
- 立体感がある
- 柔らかい肌触り
- 保温性が高い
- 水に弱い
ベルベットがとても美しい生地であることが伝わったでしょうか? また、良く比較される「ベロア」や「別珍」との違いもなんとなく伝わったでしょうか?とても似た生地なので、見た目で違いを見分けるのは難しいかもしれませんが、違いがあることを知っているだけでも、かなり生地に精通した印象になります。