オックスフォード生地とは?由来やブロードとの違いとは?

「オックスフォード」生地といえば、シャツ地によく使用される生地です。とてもポピュラーな生地のため、オックスフォード組織で作られたシャツ地を持っている方も多いかもしれません。ラルフローレンなどのシャツなどをイメージされる方も多いかと思います。(生地としては、80/2のピンオックスなどになります。)

今回は、「オックスフォード」生地の魅力について紹介したいと思います。

目次

オックスフォード生地とは?

オックスフォード

「オックスフォード」は、平織組織の中でも斜子織り(ななこおり)に該当する組織の名称です。斜子織りとは、平織の変化組織で、1本ではなく数本の糸を束ねて平織にする織り方です。オックスフォードの正式名称は、「オックスフォード・シャーティング」と呼ばれ、「オックス生地」などと省略されることもあります。

スタンダードの平織は、経糸と緯糸を1本ずつ交差させて織りますが、オックスフォードの場合は、2本ずつ引き揃えて交差させて織ります。中には3本ずつ交差させて作られることもありますが、2本交差がスタンダードとされています。シャツ地向けの生地では、代表的な組織で、ベーシックで汎用性の高い生地です。

オックスフォード生地の由来

引用:オックスフォード大学 – Wikipedia

「オックスフォード」と聞くとあの有名なオックスフォード大学(University of Oxford)を思い浮かべるのではないでしょうか?生地のオックスフォードも、この有名なオックスフォード大学から来ています。オックスフォード大学は、英語圏では最古の大学と言われ、11世紀の末に創設されていています。世界でも3番目に古い歴史的にも有名で、トップレベルに優秀な大学として知られています。

このオックスフォード大学とオックスフォード生地には密接な繋がりがあって、19世紀にスコットランドの紡績会社が、コットンで作ったシャツ地のオックス組織の生地をエリート大学であるオックスフォード大学にちなんで名づけられたことが誕生のきっかけとなりました。この紡績会社は他にも「ケンブリッジ」「イェール」「ハーバード」の名門校から名前を取った生地を販売しましたが、現在残っているのはオックスフォード生地のみになります。オックスフォード生地を使ったボタンダウンシャツが人気を博し、イギリスやアメリカと瞬く間に世界中に愛される生地となりました。

元々は、コットンで作られた生地を指していましたが、現在ではコットンに限らずナイロンやポリエステルなどの合成繊維やレーヨンなどの再生繊維など幅広い素材で生地が作られています。

オックスフォード生地の特徴

カジュアルとフォーマルの両方の要素がある

オックスフォード生地の見た目は、太目の糸で織目がしっかりと見えるので、カジュアルな印象に仕上がります。しかし、そのカジュアルさの中にも光沢感やきれいに整列した織目のおかげで、フォーマルな印象にも仕上がります。特に、細くて光沢感のある糸を用いる「ロイヤルオックスフォード」と呼ばれる生地は、滑らかな肌触りでビジネスシャツなどのフォーマルな場面でも活躍する生地になります。反対に、太めの糸を使用した「ヘビーオックス」は、凹凸がより強調されてカジュアルで温かみのある印象になります。オックスフォード生地の中でも、使用する糸に変化をつけることで、さまざまな表情の生地が仕上がります。

厚みとハリがある

オックスフォード生地は、比較的に太番手の糸を使用して、2本ずつ交差して織り上げられるので、生地に厚みとハリがでます。厚みとハリがあることで安見えしない上品さがあります。

シルエットがきれい

オックスフォードはハリ感と、適度に光沢があり落ち感もあるので、服を着た時のシルエットが美しく見えます。カジュアルな織り方に見えますが、シルエットがきれいに出るので、安見えはしません。

丈夫で耐久性が高い

厚手で太めの糸を使用するので、丈夫で破れにくく強度が高い特徴があります。日常使いのシャツ地はもちろん、強度を重視されるアウトドアスポーツ向けやカバン素材の生地としても使用されます。洗濯耐久性にも優れているので、洗濯を繰り返してもへたることなく使用できます。

シワになりにくい

厚手とハリ感があるオックスフォードはシワになりにくい利点も持ち合わせています。特に糸が太くなればなるほど、シワは入りにくくなります。都度アイロン掛けをするとなるとかなり面倒なので、シワになりにくい素材は魅力的ですよね。薄手の生地の場合は、シワが入ることもありますが、カジュアルなオックス生地に味が出るかもしれません。

通気性が高い

通常の1本ずつ交差する平織組織よりも、オックスフォード生地は織目の間に隙間が多いことから、通気性にも優れた生地です。この通気性のよさとハリのある生地が、シャツ地向けにブレークした理由の一つです。厚手の生地となると通気性が低いイメージがあるかもしれませんが、オックスフォード生地は通気性も備えるので、衣服向けにも適した素材です。

オックスフォードとブロード(ポプリン)との違いとは?

オックスフォードと見た目が似ている生地として、ブロード(ポプリン)生地があります。同じくシャツ地によく使用される生地です。パッと見は似ているかもしれませんが、よく見ると生地の表面の違いが分かるでしょう。

ブロード↓

オックスフォード↓

ブロードとポプリンほとんど同等の認識をされていて、フランスやイギリスでは、「ポプリン」、アメリカや日本では「ブロード」と呼ぶことが多いです。ブロードの特徴としては、細かい畝と認識されています。柔らかさと光沢感があり、癖のない汎用性が高い生地は、オックスフォード生地と同様にシャツ地としてもよく使用されています。

オックスフォードとの違いは、横方向に細かい畝がある点です。ブロードの畝は主張が抑えられているので、少し分かりにくいかもしれませんが、よく見るとボーダー調のような畝が見られます。ブロードは経糸に比べて緯糸は2倍近い太さの糸が使用されます。そのため、横方向に畝が現れます。オックスフォードの場合は、経糸と緯糸が同じ太さの糸を使用するのが一般的のため、縦方向にも横方向にも畝は見られません。

まとめ

POINT

オックスフォード

  • 平織組織の中でも斜子織りに該当する組織
  • 経糸と緯糸2本または3本ずつ引き揃えて織る織物
  • 正式名称:オックスフォード・シャーティング

オックスフォード生地の特徴

  • カジュアルとフォーマルの両方の要素がある
  • 厚みとハリがある
  • シルエットがきれい
  • 丈夫で耐久性が高い
  • シワになりにくい
  • 通気性が高い

オックスフォードとブロード(ポプリン)との違い

  • ブロード:横畝がある
  • オックスフォード:縦方向と横方向も同じ見え方

オックスフォード大学にちなんで名付けられた生地と聞くと、なんだか着ていると背筋が伸びるような気になりますね。見た目もシンプルで、万能なオックスフォード生地なので、これからも長く愛される生地の一つでしょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次