テキスタイル加工の種類とは?加工の用途とは?

テキスタイル加工の種類と用途

テキスタイルはとても奥が深いです。糸種もたくさんありますし、織り方・編み方や加工の種類を組み合わせると無限の組み合わせがあります。

今回は、加工に注目して解説したいと思います。

撥水加工

撥水加工とは、水をはじく加工です。

撥水剤を塗布することで、撥水基が生地の表面にできます。その撥水基のおかげで、水滴に表面張力が働き、水滴が球状になりコロコロとはじかれます。

比較的値段も安価な加工のため、日常使いのタウンユースとしても使用される加工の一種です。梅雨の時期など、ちょっとした雨や水ははじいてくれるので、ストレス軽減になり一枚あると活躍します。

主な用途:レインジャケット・タウンジャケットetc

コーティング加工

コーティング加工は、耐水効果や通気度(ダウンプルーフやウィンドブレーカー用途など)を止める役割があります。生地に樹脂を塗布して、膜を作ります。

アパレルで主に使用されるコーティングは下記の通りです。

アクリルウレタン多孔コーティング
耐水性
通気度〇 / △
通気性××
値段
風合い固いやや柔らかい固い

コーティングすることで、通気度(空気の通りを止める)を止める力がありますが、その分通気性は悪くなるため、蒸れやすいことが難点です。その欠点を改善するために、多孔のコーティングがあります。

多孔とは樹脂に目に見えない小さな孔(穴)が無数にあり、ムレや水蒸気がこもらない働きがあります。

防水性を保ちながらも、ムレを外に放出してくれるので、快適な着心地が続きます。

主な用途:耐水ジャケット・ダウンプルーフ・ウィンドブレーカージャケットetc

ラミネート加工

ラミネート加工は、コーティング加工に比べてより耐水性が高く、高スペックな機能として使用されます。

値段は張りますが、厳しい天候の下で運動するアウトドアスポーツにとっては、高い防水性から信頼できる加工として採用されます。

ポリエステルポリウレタンポリウレタン
透湿防水ラミネート
耐水性
通気度
通気性△ /×△ /×
値段△ /×
風合い固いやや柔らかい固い

ポリウレタンは伸縮性があることから、ストレッチ性のある生地と相性がいいです。

主な用途:耐水ジャケット・アウトドアジャケットetc

シレー・カレンダー加工

シレー加工やカレンダー加工は同一の加工を指します。温めたロールで生地の上を圧力かけて通します。アイロンのようなイメージの加工です。生地に熱と圧力をかけることで、生地の表面がフラットになります。

この加工は目潰し加工とも呼ばれていて、生地の目を押しつぶすことで、糸同士が密着して隙間が埋まることで、通気度を止める効果があります。ダウンプルーフやウィンドプルーフ用途や、生地がフラットになるので、コーティング加工を塗る前に均等に塗布できるように、生地表面にシレー加工処理がされることがあります。

生地が平らになることで、光をより反射しやすくなるため、光沢感が生まれます。ブランドによって、シレー加工したツヤのある面を表生地にすることもあれば、本来の表面感を活かして、シレー加工を施さない面を表生地として採用することもあります。見た目の変化を楽しんでみるのもいいかもしれません。

主な用途:ダウンプルーフ・ウィンドブレーカージャケットetc

吸水速乾加工

吸水速乾加工は、汗や水を素早く生地に吸収させて外に放出し、素早く乾燥させる加工です。

暑い夏や、汗をかくスポーツなど幅広い分野で需要が高くある加工です。また、スノースポーツにも吸水加工はよく使用されます。雪の中で汗をかいて時間が経つと、体が冷えてしまいます。スノースポーツのインナーには、吸水速乾の機能がある生地がよく使われます。

主な用途:タウンユース・ポロシャツ・スポーツ全般etc

UVカット加工

近年オゾン層の破壊により、日差しが年々強くなってきています。紫外線は人体に悪影響があると言われることから、アウトドアスポーツ向けに需要が高くあります。

後加工の場合は、生地に薬剤をコーティングします。ただし、UVカットは生地自体のポテンシャルに左右されやすく、透過性のない高密度生地が最適です。また白などの明るい色は、黒などの濃い色に比べて透け感があるので、UVカット加工を施しても効果が薄くなる可能性があるので、注意が必要です。

主な用途:タウンユース・アウトドアスポーツetc

撥油・防汚加工

撥油・防汚加工とは、その名の通り油をはじき、汚れを付きにくくする加工です。原理は撥水剤と似ていて、コーティングすることで生地と接地面積が少なくなり油が球状になってはじかれます。

アウトドアスポーツや、油を使用するサイクリングスポーツには力強い加工です。近頃はデイリーユースとしても、防汚加工済のジーンズが発売されていたり、普段使いとしても人気がある加工です。

主な用途:デイリーユース・サイクリングetc

帯電防止加工

帯電防止加工とは、静電気を発生させないもしくは、静電気を逃がす加工になります。この加工に主に使用されるものは界面活性剤です。

この加工により、静電気のあの嫌なバチっとくる痛みを防止すること以外にも、ダウンプルーフ向けの生地にも使用されることがあります。静電気が発生すると、ダウンが抜けやすくなることもあるため、帯電防止加工を施して防ぎます。

主な用途:デイリーユース・ダウンプルーフetc

シワ加工

シワ加工はその名の通り、シワを加える加工です。このシワ加工には2つの用途があります。見た目にアクセントを加えるファッション要素と、見た目ではなく風合いを柔らかくするために揉み込むシワとあります。

ファッション用途でのシワは、細かいシワや粗いシワ、プリーツのようなタテシワなど多種多様な形状があります。シワの形状で生地の印象は変わるので、好みの形状を使い分けてみてください。

風合い出しのシワは、柔らかくすることで、手触りがよくなったり、引裂(生地が破れる耐性)に強くなることもあり、物性面でもメリットがあります。引裂がよくない場合は、風合い出しのシワ加工をしてみるのもいいかもしれません。

主な用途:デイリーユース・ファッションetc

目次

まとめ

POINT

繊維の加工の種類 

  • 撥水:水をはじく
  • コーティング:防水・通気度を止める
  • ラミネート:防水
  • シレー・カレンダー:通気度を止める
  • 吸水速乾:水を吸収して、素早く乾く
  • UVカット:紫外線遮断
  • 撥油・防汚:油や汚れを防ぐ
  • 帯電防止加工:静電気防止
  • シワ加工:ファッション用途と風合い出し用途

加工だけでもたくさんの種類がありますよね。この中で複数の加工を組み合わせることもあります。

繊維の奥深さの無限の可能性を感じれたのではないでしょうか?

ほんの少しの加工の変化や工程変化で、全然違う生地が出来上がります。それが繊維の面白さでもあります。

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