先日、ファッションワールド東京 2021秋にて開催された「第一回 国際サステイナブルファッションEXPO 秋」の展示会に足を運びました。出展者も驚くほどの来場者で、対応するスタッフの人数が足りなかったと声も上がったほど盛り上がった展示会となりました。どのような展示会だったのかシェアしたいと思います。
第一回 国際サステイナブルファッションEXPO 秋
第一回 国際サステイナブルファッションEXPO 秋
第一回 国際サステイナブルファッションEXPO 秋が、2021年10月18日から20日の3日間にかけて開催されました。サステナブル専門の展示会は、今回が初めてで、注目を集めた展示会となりました。本展示会では、「エコ」、「リサイクル」、「アニマルフリー」、「エシカルファッション」、「オーガニック」、「フェアトレード」といったサステナビリティを考慮したファッション製品や素材を扱う世界各国の企業が出展していました。
サステイナブルファッションEXPOは、「ファッションワールド東京 2021秋」のイベント内の一つで、同イベントでは、下記の5つの展示会が同時開催されました。出展社数は、400を超える企業が出展しました。
- 第1回 国際サステイナブルファッションEXPO 秋
- 第12回 ジャパンファッション EXPO 秋
- 第12回 インポートファッション EXPO 秋
- 第7回 国際 ファッション OEM EXPO 秋
- 第7回 海外生地・素材 EXPO 秋
<イベント概要>
名称 | 国際サステイナブルファッション EXPO 秋 (ファッションワールド東京 2021秋 イベント内) |
会期 | 2021年10月18日~20日 |
開場時間 | 10:00~15:00 |
会場 | 東京ビックサイト 西展示棟1F |
主催 | RX JAPAN株式会社 |
入場料 | ¥5,000円/人(事前登録での招待券を持っていれば、無料) |
サステイナブルファッションEXPOの注目度は?
「ファッションワールド東京 2021秋」イベント速報によると、コロナ渦にも関わらず3日間で19,383名が来場しました。また、報道関係者の来場者人数は、3日間で129名と、注目の高さがうかがえる結果となりました。特に、「第一回 国際サステイナブルファッションEXPO 秋」の展示会は、報道関係者の取材が集まっていました。環境汚染が深刻な問題となっているファッション業界において、サステナブルな取り組みは必要不可欠であり、各企業がいかに環境負荷を軽減する取り組みをしているのかアピールする場となりました。
展示会では、大手企業や有名な方のセミナーも開催され、貴重な話を聞ける機会として、多くの方が足を運びました。3日間でのセミナー受講者の数は、5,392名だったとのことです。
サステイナブルファッションEXPO 秋 レポート
サステナブルの考え方はさまざまで、原料、工程、水の使用量が化学薬品などたくさんの分野に視点を置き、各企業がよりよい環境に向けて取り組んでいます。各企業がどのような展示をしていたのか、何点かピックアップしてシェアしたいと思います。
長く着るサステイナブルファッション
服の寿命を延ばして、なるべく長く同じ服を着続けることで、服の廃棄量が減り、サステイナブルファッションに繋がります。
TORAIN
今回の展示会では、東レインターナショナルが展示していた「TORAIN」が例になります。今回展示会では、長く着るだけでなく、基布や副資材のリサイクルやバイオ由来化など、さらにエコを目指して、メーカー商社として、SDGsや環境配慮の活動への取り組みを表明していました。
「TORAIN」では、自社の高い「シームリング縫製技術」に加えて、同グループの東レ㈱が手掛ける「高耐久生地」、東レコーテックス㈱が開発する、「高耐久目止めテープ(seam tape)」も組み合わせて作られる透湿防水3層レインウェアです。 一般的な高透湿防水ウェアは、洗濯する度に防水膜などの劣化が進み、高い防水をキープし続けることは難しく、寿命がありました。「TORAIN」では、耐久性の高い素材の掛け合わせで、高いスペックをキープしたまま製品寿命サイクルを伸ばすことに成功しています。アウトドアスポーツなどの厳しい環境基準に対応するか確認するための「ジャングルテスト」と呼ばれる衣料品の耐久試験で、「TORAIN」は10年間の使用に相当する耐久性を実証したとされています。
10週間のジャングルテストの比較のサンプルとして展示されていましたが、写真左の一般的な3層生地は、縫製テープの剥離が目立ちますが、TORAINでは、縫製品の劣化は見られませんでした。縫製テープが剥離すると、そこから漏水する可能性があります。TORAINでは、しっかりと縫製されていることから、耐久性の高さが目に見えて分かります。
C反の活用
C反とは、汚れや編み・織り段などの欠点要因のため、出荷できない生地を指します。C反に格付けされると出荷できずに、ストックとして残り、うまく活用ができないと廃棄処理されています。繊維の取り扱いは非常に難しく、C反を完全になくすことはできないため、このC反の廃棄は大きな問題として取り上げられています。そんなC反の活用に力を入れている企業がありました。
U反
U反とは、KAJI-Fが掲げたプログラムで、C反を活用して使えるようにするUターンとかけた興味深いプログラムでした。愛知県に所在する「㈱熊谷」とコラボして、C反生地に有松絞り加工して、製品に返す取り組みをしています。絞り染にすることで、欠点をうまくぼかすことができます。絞り方の種類もたくさんあり、ファッション性の高い生地に生まれ変われるとして、C反をうまく活用していました。廃棄すると環境負荷にしかならないC反を、廃棄しないために工夫している取り組みで、今後もこのような取り組みが増えてC反廃棄を減らせていけたらいいですね。
CO2削減、燃焼配慮素材
リサイクルやリユースなどの声かけや取り組みをしても、なかなか完全に廃棄を避けることは難しいのが現状です。どうしても売れ残ってしまう服の在庫圧迫や個々の環境対策への意識の違いから、服の廃棄は出てしまいます。実際に、国内で年間約90万トンの衣類を廃棄しており、そのうちの65万トンは焼却されているというデータがあります。そんな中で、廃棄燃焼時にCO2を減らす環境配慮素材がありました。
OFFCO NANO®
OFFCO NANO®はシキボウ株式会社が開発した「燃焼時CO2 削減ポリエステル」です。
CO2削減剤カプセルをポリエステルに練り込むことで、製品が廃棄され、焼却処理される際のCO2の排出を大幅に軽減できるようです。このCO2削減ポリエステルを使用して燃焼した場合、一般的なポリエステルと比較して、約60%削減できるようです。
先ほど記述したように、年間約65万トンの衣料品が焼却処理されているため、燃焼時のCO2を大幅に減少することができれば、環境破壊を軽減することができます。
まとめ
第一回 国際サステイナブルファッションEXPO 秋:
- 日本初 サステナブル専門展示会
- 3日で19,000人以上来場した注目の展示会
展示会レポート
- 長く着るサステイナブルファッション: TORAIN
- C反の活用法:U反
- CO2削減、燃焼配慮素材:OFFCO NANO®
注目の展示会とあって、どのブースも賑わっていました。
各企業、興味深い取り組みをされていて、新しい情報をインプットする場としても、いい機会となりました。今回紹介しきれなかった内容は、次回の記事で紹介させていただきます。